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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Structure-based design of antiviral drug candidates targeting the SARS-CoV-2 main protease" Dai W, Zhang B, Jiang XM, Su H. Science 2020-06-19 (online 2020-04-22) ; "Structure-based design of antiviral drug candidates targets SARS-CoV-2 main protease" 中国科学院. EurekAlert! 2020-04-22

 新型コロナウイルス (SARS-CoV-2)のメインプロテアーゼ
Mproは、ウイルスの増殖と転写に必須なタンパク質であり、また、ホモログ・タンパク質がヒトには存在しないことから、抗ウイルス薬の合理的な標的である。

 上海薬物研究所のYechun XuとHong Liu, 上海科技大学のHong Liuならびに武漢ウイルス研究所のLei-Ke Zhangが率いる研究グループは、
Mproの基質結合ポケットの構造情報に基づいて、2種類のリード化合物11aと11bを設計・合成した。
  • 11aと11bは、蛍光共鳴エネルギー移動 (FRET)による切断アッセイから測定したIC50値がそれぞれ、0.053 ± 0.005 μM と0.040 ± 0.002 μMと、いずれも優れたMpro阻害活性を示した。
  • また、免疫蛍光法と定量的RT-PCRおよびウイルスプラークアッセイによって、11aと11bが双方とも優れた抗ウイルス活性を示すことも確認した。プラークアッセイでは、EC50値がそれぞれ0.53 ± 0.01 μMと0.72 ± 0.09 μMを示した。
  • 研究グループは11aと11bとMproのそれぞれの複合体構造のX線結晶構造解析 (~1.5 Å分解能) を行い、11aと11bのアルデヒド基とMproのシステイン145との共有結合を同定した。PDB 6LZE
    6LZE Mpro11a複合体結晶構造 [PDBjから引用し右図参照]
  6M0K Mpro11b複合体結晶構造
  • 11aと11bのマウスin vivoでの薬物動態がいずれも良好であることも確認したが、半減期が長くクリアランス速度が遅い11aについてはSDラットとビーグル犬にて薬物動態を再度確認し、長い半減期、遅いクリアランス速度、および、高いAUC値を確認した。
  • さらに、点滴静注による1日1回7日間投与 (SDラット 2, 6, 18 mg/kg; ビーグル犬 10 ~ 40 mg/kg)し、毒性が見られないことも確認した。
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