2020-07-08 ブログのタイトル改訂 (旧: CRISPR-Cas・BE・Tn・PE実用辞典)
2020-06-23 初稿
[出典] "Genome editing with CRISPR–Cas nucleases, base editors, transposases and prime editors" Anzalone AV, Koblan LW, Liu DR. Nat Biotechnol 2020-06-22

 D. R. LiuがTwitterで「本編21ページ、 補足16ページ、文献454編のCRISPR-Cas技術レビュー、今すぐにでも読みたいでしょ」*とツイートしたレビュー
[*] "Itching to read a 21-page review article (plus 16-page Supplement) on CRISPR nucleases, base editors, transposases, and prime editors with 454 total references?"

 レビュータイトルにあるように、Casのヌクレアーゼとしての利用から始まり, 塩基エディター、トランスポザーゼ随伴、ならびに、プライムエディターまで [Fig. 1参照]、CRISPR-Casを巡るゲノム編集技術を網羅、以下に各段落の目次を列記:

1. CRISPR-Casヌクレアーゼによるゲノム編集 [Fig. 2参照]
  • Cas9ヌクレアーゼ (Cas9とdCas9)
  • Cas12ヌクレアーゼ
  • DSBからのDNA修復過程
  • Casの改変および新たなCasによるPAMの拡張 (標的可能領域の拡大)
  • Casの改変とsgRNAの改変による高精度化
2. 塩基エディターによるゲノム編集 [基本型 Fig.3参照; 改変型 Fig. 4参照]
[参考 crisp_bioタグ参照 #塩基エディター(BE&PE)]
  • CBEとABE (Cas9をベースにしたトランジッション置換)
  • 塩基エディターの標的可能領域 の拡大 (ウインドウ幅の拡大; デリバリー効率化; 多重化)
  • ウインドウ幅 (R-ループとデアミナーゼの相互作用)を調節するCasの改変とデアミナーゼの改変
  • 望ましくない塩基編集の最小化: オンターゲットでのトランスバージョンとindels変異;バイスタンダー編集; DNAまたはRNAのオフターゲット編集; 高精度Casの利用; デアミナーゼに由来するオフターゲット編集;  RNAデアミナーゼに由来するRNAオフターゲット編集; デアミナーゼの合理的改変
  • 目的に最適な塩基エディターの選択法4種類のフローチャート[Figure 5] [**] とその使用法が詳細に説明されている。
    [**] DNAターゲットの観点から (CBEとABEの選択から始める); DNAオフターゲットの観点から (関心事はCas由来オフターゲットかCas非依存オフターゲットか); RNAオフターゲットの観点から
  • 塩基エディターによる標的ランダム突然変異誘発 (UGIを組み込まないCBE, シチジンデアミナーゼの多重化またはアデノシンデアミナーゼとの組合せ)
  • 展望
3. トランスポザーゼとリコンビナーゼの融合 [Fig. 6 - a参照]
  • CRISPR随伴トランスポザーゼ [参考: crisp_bio2019-07-19]
  • dCas9-トランスポザーゼとリコンビナーゼの融合
  • 展望
4. プライムエディティング [Fig. 6 - b参照]
[参考: crisp_bio 2020-05-08更新]
 基礎から応用まで2ページにわたり記述

5. 結論

  • 表1 ゲノム編集に利用されてきたCasヌクレアーゼの網羅的リスト
     
    SpCas9, SpCas9-VQR, SpCas9-VRERから始まり、BhCas12b-v4, Cas12e (CasX), CmCas12f (Cas14)に至るまで、野生型と変異型, サイズ, PAM, スペーサの向き, スペーサの最適長さ, および切断位置の一覧
  • 表2塩基エディターに利用されているCasドメイン
     CBEとABEの別に、ウインドウ位置と組合せるデアミナーゼの一覧
  • 表3塩基エディターに利用されているデアミナーゼドメインとその誘導体
     APOBEC1, APOBEC3, CDA, AID, ならびにDeoxyadenosine deaminasesとその変異体について、ウインドウ位置と置換配列のpreferenceの一覧