[出典] "CRISPR-Mediated Protein Tagging with Nanoluciferase to Investigate Native Chemokine Receptor Function and Conformational Changes" White CW [..] Hill SJ. Cell Chem Biol 2020-05-21; PREVIEW "Playing Tag with Your Favorite GPCR Using CRISPR" Horioka M, Huner T, Sakmar TP. Cell Chem Bio 2020-06-18

 University of NottinghamにFrancis Crick InstituteとU Western Australiaが加わった研究チームは今回、CRISPR-Cas9ゲノム編集によるHDRを介して内在GPCRにNanoLucまたはNanoBiTのエレメント [*]をノックインすることで、蛍光標識したタンパク質を細胞へと導入することなく細胞環境に対する擾乱を最小限に留め、本来の状態のHEK293細胞とHeLa細胞内で、CXCR4 (CXCモチーフ型ケモカイン受容体4)とACKR3 (非定型ケモカイン受容体3)の動態解析を可能とした。
[*] NanoLucをN末端側の~18 kDaの大きなエレメントLgBiTと、C末端側11アミノ酸の小さなエレメント (低親和性のSmBiTと高親和性のHiBiT)

ゲノム編集によるタンパク質の標識
  • HEK293細胞: NLuc-CXCR4またはHiBiT-CXCR4; CXCR4-LgBiT, ACKR3-LgBiT; βアレスチン2-SmBiT
  • HeLa細胞: NLuc-CXCR4とNLuc-ACKR3
解析対象
  • HiBiTと相補的なLgBiT結合によるケモカイン受容体の細胞外ドメインのコンフォメーション変化
  • 蛍光色素で標識したリガンドCXCL12-AF647とNLucで標識したケモカイン受容体との結合 (NanoBRET)
  • リガンド結合に伴うケモカイン受容体のコンフォメーション変化と内在化およびケモカイン受容体へのβアレスチン2のリクルート (smBiTとLgBiTの相補性)
  • 細胞外で標識したケモカイン受容体を導入した細胞の系での対照実験も行い、内在タンパク質標識した場合との相違を明らかにした。
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