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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "Recognition of Semaphorin Proteins by P. sordellii Lethal Toxin Reveals Principles of Receptor Specificity in Clostridial Toxins" Lee H, Beilhartz GL, Kucharsk I [..] Julien JP, Melnyk RA, Taipale M. Cell 2020-06-25

 C. difficileの毒素TcdBは腸上皮細胞上の宿主受容体Frizzledから侵入することが知られている。一方で、Paeniclostridium sordellii (クロストリジウムソルデリ)のTcsLは、血管内皮細胞に感染することから、TcdBに対する配列類似度は87%であるが、TcsLの宿主受容体は異なる可能性があった。

 U Toronto, SickKids Research Instituteを主とするトロントの研究グループは今回、ゲノムワイドCRISPRスクリーンにより、TcsLの宿主受容体がセマフォリンのSEMA6A/SEMA6Bと同定し、TcsLとセマフォリンとの相互作用を探った:
  • 組換えSEMA6Aの可溶性外部ドメインがマウスの肺をTcsLに因る浮腫から保護することを見出した。
  • SEMA6Aに結合したTcsLの3.3 Å分解能のクライオ電顕構造を再構成した [PDB  3OKW]。TcdB結合Frizzledの構造 (TcdB-FZD2/6C0B)と比較したところ、SEMA6AとFrizzledの構造は異なるが、TcsLとTcdBの受容体結合ドメイン(RBD)は同一領域であった。
  • TcsLのRBDを変異誘発によってTcdBのRBDへと改変したハイブリッドTcsLの受容体が、SEMA6AからFrizzledへと切り替わることを同定し、コロナウイルスと同様に、クロストリジウム毒素がRBDにおける変異誘発を介して新奇宿主への感染能を獲得する可能性を示唆した。 
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