2020-07-24 関連crisp_bio記事へのリンクを追加: 2020-07-24 新型コロナウイルスのスパイク(S)タンパク質D614G変異体の構造・機能解析
出典
出典
- "Tracking changes in SARS-CoV-2 Spike: evidence that D614G increases infectivity of the COVID-19 virus" Kober B et al. Cell 2020-07-03.
Received 29 April 2020, Revised 10 June 2020, Accepted 26 June 2020, Available online 3 July 2020. - PREVIEW "Making sense of mutation: what D614G means for the COVID-19 pandemic remains unclear" Grubaugh ND, Hanage WP, Rasmussen AL. Cell 2020-07-03.
1. 論文

- D614G変異は殆どの場合、他の3種類の変異を伴っていた: 5'UTRにおけるC-to-T (3037); C-toT (3037)サイレント変異; C-to-T (14408)RdRpにおけるアミノ酸変異P323L。この4種類の変異を帯びたハプロタイプは、997例の10% (3月1日)から4月1日-5月18日の12,194例の78%を占めるに至った。
- D614G単独の変異は中国で発生したが、4種類の変異がそろったハプロタイプはイタリア由来2月20日の配列が最初であった。D614からG614への遷移は地域間で非同期であり、欧州に始まり、北米、オセアニア、そしてアジアという順であった。
- D614はSプロトマーの表面の他のプロトマーの残基との間で水素結合を形成可能であり、また、グリコシル化に影響する部位に位置し、Sの受容体結合ドメインには位置していない。
- S (G614)を帯びた上気道由来臨床検体が、S (D614)を帯びた検体のそれよりも高いウイルスRNAのレベルを示したが、COVID-19の症状のレベルとは相関しなかった。
- In vitro実験では、S (G614)を発現するシュードタイプの水泡口炎ウイルスとレンチウイルスが、S(D614)シュードタイプウイルスの2.6 - 9.3倍のウイルス感染価を示した。
- 研究グループは、D614G変異は自然突然変異に由来し、また、ウイルスの感染力を強めたとする仮説を提示した。
2. PREVIEW
Kober論文が提示したD614G変異に対して様々な考察が発表されているが、Kober論文掲載と同日Cell誌から公開されたPerspectiveにて、イエール大、ハーバード大、およびコロンビア大の公衆衛生大学院の研究者は、Kober論文の臨床検体のデータとシュードタイプウイルスの実験結果は、他の研究グループの報告とも整合するが、D614G変異とウイルスの感染力/伝播性強化との因果関係の証明にはならないとし、より大規模な疫学研究、in vivo実験および臨床研究が必要とした。
3. 後発論文紹介crisp_bio記事
Kober論文が提示したD614G変異に対して様々な考察が発表されているが、Kober論文掲載と同日Cell誌から公開されたPerspectiveにて、イエール大、ハーバード大、およびコロンビア大の公衆衛生大学院の研究者は、Kober論文の臨床検体のデータとシュードタイプウイルスの実験結果は、他の研究グループの報告とも整合するが、D614G変異とウイルスの感染力/伝播性強化との因果関係の証明にはならないとし、より大規模な疫学研究、in vivo実験および臨床研究が必要とした。
3. 後発論文紹介crisp_bio記事
- 2020-07-18 新型コロナウイルス: スパイクの天然変異80種類と26ヶ所のN結合型糖鎖削除が感染性と抗原性をどう変えたか?
Received 8 June 2020, Revised 7 July 2020, Accepted 10 July 2020, Available online 17 July 2020.
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