2020-07-24 関連crisp_bio記事へのリンクを追加: 2020-07-24 新型コロナウイルスのスパイク(S)タンパク質D614G変異体の構造・機能解析
[出典] The impact of mutations in SARS-CoV-2 spike on viral infectivity and antigenicity. Li Q, Wu J, Nie J, Zhang L [..] Huang W, Wang Y. Cell 2020-07-17 (Pre-Proof版).
論文刊行経過: Received 8 June 2020, Revised 7 July 2020, Accepted 10 July 2020, Available online 17 July 2020, 2020 Sept 03:182(5);P1284-1294.E9.
著者の主たる所属: Division of HIV/AIDS and Sex-transmitted Virus Vaccines, Institute for Biological Product Control, National Institutes for Food and Drug Control (NIFDC) and WHO Collaborating Center for Standardization and Evaluation of Biologicals
[関連crisp_bio記事] 2020-07-05 新型コロナウイルス: パンデミックの中でD614G変異型スパイク (S)タンパク質が優勢になる意味
論文刊行経経過: Received 29 April 2020, Revised 10 June 2020, Accepted 26 June 2020, Available online 3 July 2020.
著者らは、今回の感染拡大の間にSタンパク質に新たな変異が発生してきたことから、その変異の意味を知ることが重要であるとし、5編の論文および329種類の変異データをもとに、80種類の天然変異ならびに26ヶ所のN-結合型糖鎖を欠損させたバリアントと、感染性および抗原性 (一連の中和抗体と回復者由由来の血清に対する応答)との相関を分析した。
[crisp_bio注] 天然変異とN結合型糖鎖削除サイトのSタンパク質上の分布図がFigure 1に、フェノタイプとの対応関係がTable 1に用意されている。図表の中でグループCはN結合型糖鎖削除, グループAとBが天然変異であり、AとBはそれぞれRBDの外と内に対応している。
[出典] The impact of mutations in SARS-CoV-2 spike on viral infectivity and antigenicity. Li Q, Wu J, Nie J, Zhang L [..] Huang W, Wang Y. Cell 2020-07-17 (Pre-Proof版).
論文刊行経過: Received 8 June 2020, Revised 7 July 2020, Accepted 10 July 2020, Available online 17 July 2020, 2020 Sept 03:182(5);P1284-1294.E9.
著者の主たる所属: Division of HIV/AIDS and Sex-transmitted Virus Vaccines, Institute for Biological Product Control, National Institutes for Food and Drug Control (NIFDC) and WHO Collaborating Center for Standardization and Evaluation of Biologicals
[関連crisp_bio記事] 2020-07-05 新型コロナウイルス: パンデミックの中でD614G変異型スパイク (S)タンパク質が優勢になる意味
論文刊行経経過: Received 29 April 2020, Revised 10 June 2020, Accepted 26 June 2020, Available online 3 July 2020.
著者らは、今回の感染拡大の間にSタンパク質に新たな変異が発生してきたことから、その変異の意味を知ることが重要であるとし、5編の論文および329種類の変異データをもとに、80種類の天然変異ならびに26ヶ所のN-結合型糖鎖を欠損させたバリアントと、感染性および抗原性 (一連の中和抗体と回復者由由来の血清に対する応答)との相関を分析した。
[crisp_bio注] 天然変異とN結合型糖鎖削除サイトのSタンパク質上の分布図がFigure 1に、フェノタイプとの対応関係がTable 1に用意されている。図表の中でグループCはN結合型糖鎖削除, グループAとBが天然変異であり、AとBはそれぞれRBDの外と内に対応している。
- 天然変異とバリアントを帯びたSタンパク質からなるシュードウイルスで感染性と抗原性を評価した。
- D614G変異を帯びた変異体、ならびに、D614Gと他のアミノ酸置換の双方を帯びた変異体が、他よりも有意に高い感染性を示した。
- Sタンパク質の受容体結合ドメイン (RBD: 319-541)におけるアミノ酸置換のほとんどは感染性を弱めた一方で、N439K, L452R, A475V, V483A, F490LおよびY508Hの変異が、一部の中和抗体に対する耐性を高めた。
- D614G+I472Vの変異は、感染性を高め、中和抗体に対する耐性も高めたが、現時点では、この変異を帯びた配列はカナダ由来**の1例に留まる。
[**crisp_bio 注] Discussionでは、この他にも配列が由来した国も参照した議論が行われている。 - N-結合型糖鎖の欠損の殆どは感染性を弱め、N331とN343の2ヶ所の糖鎖が失われると感染性が劇的に低下した。したがって、新型コロナウイルスの感染性に糖鎖が重要な役割を果たしていることが明らかになった。中和抗体に対しては、N234Qの変異が耐性を著しく高める一方で、N165Qは逆に感受性を高めるという興味深い相関関係も存在した。
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