[出典] "Glycosylase base editors enable C-to-A and C-to-G base changes" Zhao D, Li J, Li S [..] Bi C, Zhang X. Nat Biotechnol 2020-07-20
[関連crisp_bio記事] 2020-07-22 Joungグループ, BE4max (C-to-T)をCGBE1(C-to-G)へと変身させた

 天津工業生物技術研究所を主とする研究グループは今回、Escherichia coliにおいてC-to-Aトランスバージョンを、哺乳類細胞においてC-to-Gトランスバージョンを実現した。

 グリコシラーゼ 塩基エディター (glycosylase base editors: GBEs)はCas9ニッカーゼ, シチジンデアミナーゼ, およびウラシルDNAグルコシラーゼ (Ung)で構成され、Ungが、シチジンデアミナーゼによってCから変換されたUを二本鎖DNA (dsDNA)から除去し、AP (apurinic/apyrimidinic)サイトが形成され、塩基除去修復 (base-excision repair: BER)が進行することになる。
  • E. coliにおいて、シチジンデアミナーゼとしてAID (activation-induced cytidine deaminase: 活性化誘導シチジンデアミナーゼ)を採用したGBE 'AID-nCas9-Ung'によって、特異度93.8% ± 4.8%と効率87.2% ± 6.9%のC−to−A変換を実現した。
  • HEK293T細胞においては、AIDをラットのAPOBEC1に差し替えたGBE 'APOBEC-nCas9-Ung'によって、30サイト [Fig. 3 参照]において、プロトスペーサのPAMから最も遠位から6番目に位置するCを対象として、C−to−G変換を特異度29. 7 ~ 92.2%と、変換効率 5.3 ~ 53.0%にて実現した。
  • GBEが誘導したindels頻度はBE APOBEC-nCas9-UGIと同程度であった。
  • E. coliにおいては、C-to-Aが実現したことで、C-to-anyの変換 (any base editing: NBE)も実現した。例えば、変換可能領域 (ウインドウ)内のCを、CBEを介してTへ変換可能なことに加えて、GBEを介してAに変換、次いでABEを介してAをGへと変換することで、C-to-A/T/Gが実現する。