[出典] Mass Spectrometric Identification of SARS-CoV-2 Proteins from Gargle Solution Samples of COVID-19 Patients. Ihling C [..] Sinz A. J Proteome Res 2020-06-22.

 Martin Luther University Halle-Wittenberの研究グループは、COVID-19患者のうがい液から微量の新型コロナウイルスを質量分析によって検出し、ウイルスタンパク質を検出する質量分析はウイルス遺伝子を検出するPCR検査を相補するとした。
  • 3名のCOVID-19患者のうがい液(20 mL in 0.9% NaCl)からタンパク質のアセトン沈殿とトリプシン消化を経て、nano-HPLC/nano-ESI-Orbitrap-MS/MSでターゲットMS/MS分析した。
  • 3検体のうち2検体で、SARS-CoV-2の核タンパク質に由来するSARS-CoV-特異的ペプチド RPQGLPNNTASWFTALTQHGK  (アミノ酸 41-61)を同定した。この結果はPCR検査との結果と整合した。すなわち、2検体については、ウイルス量が105-106ゲノム相当/μLであったが、非検出検体では~103ゲノム相当/μKLと極めて微量であった。
  • 実用化にはまだ最適化が必要であるが、質量分析によるSARS-CoV-2同定が可能なことを実証した。
[crisp_bio注] 2020年5月22日付化学工業日報によると、島津製作所は「感染症対策プロジェクト」において、「まずは、微生物特定に最適化した質量分析計(MS)のウイルス同定への応用や、肺炎検査用のウイルス除去装置などの開発に進めたい」としている。