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2020-03-13 Science Advances誌掲載論文へのリンクを追加し, タイトルを「ヌクレオソームはCas9の切断活性を阻害するが, Cas12aに対しても同じように阻害するのか?」から「ヌクレオソームとクロマチンによるCas12aのDNAターゲッティング阻害」へと変更し, テキストを若干改訂した。
2020-07-25 初稿
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[出典] Inhibition of CRISPR-Cas12a DNA Targeting by Nucleosomes and Chromatin. Strohkendl I [..] Russell R, Finkelstein IJ. (bioRxiv 2020-07-21Sci Adv 2021-03-10. https://doi.org/10.1126/sciadv.abd6030

 DNAを標的とするヌクレアーゼはCas9もCas12a [*1]も、クロマチン構造内のDNAにアクセスすることで、DNA切断活性を発揮できる。Cas9の活性ヌクレオソームの揺らぎ (breathing)とクロマチン再構成によって制御されることが報告 [*2]されていたが、UT AustinにUT Southwestern Medical Centerが加わった研究グループは今回、AsCas12aについて、ヒトのヌクレオソーム内、および相分離したクロマチン様液滴内のヌクレオソームのアレイにおいて、DNAを切断する動態を解析した。
  • ヌクレオソームは揺らぎDNAは解離と結合を繰り返している。この動態がAsCas12aの標的DNAへの結合とPAM認識、および、R-ループ形成を調節していた。
  • 単一のヌクレオソームにおいては、Cas12aの標的DNAへの結合が、ヌクレオソームのコアから離れた領域でも阻害された。
  • DNA鎖の柔軟性を抑制、ヒストンH3の翻訳後修飾、または、Cas12aに加えてCas12aの標的近位を標的とするdCas9を併用 (proxy-CRISPR [*3])することで、ヌクレオソームDNAを弛緩すると、AsCas12aの切断活性が~10倍になった。1be40b8d
  • AsCas12aは一方で、ヌクレオソーム・アレイ内では、ヌクレオソーム間のリンカーDNAを容易に切断し、ひいては標的DNA切断活性を発揮した [Figure 4 - A), -G)引用右図参照]
 ヌクレオソームDNA弛緩を介して真核生物におけるDNAターゲッティングの効率を向上させる可能性が示された。

 [*] 引用crisp_bio記事
  1. crisp_bio 2019-01-16 Cas12aのdsDNA/ssDNA切断分子機序の統合モデル
  2. crisp_bio 2017-04-15 CRISPR/Cas9の活性はヌクレオソームの揺らぎ (breathing)とクロマチン再構成によって制御される
  3. crisp_bio 2019-02-23 メルクのproxy-CRISPR米国特許成立, Broad欧州特許2件目の取り消し
 Cas9の活性とヌクレオソーム/クロマチン構造の相関に関連するcrisp_bio記事

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