2022-07-26 2021年Nature 刊行論文の書誌情報と図のリンク先を追記
2020-07-27 bioRxiv 投稿に準拠した初稿
[出典] De novo design of modular and tunable protein biosensors. Quijano-Rubio A, Yeh HW [..] Oh BH, Baker D. Nature 2021-01-27. (De novo design of modular and tunable allosteric biosensors. Quijano-Rubio A, Yeh HW [..] Oh BH, Baker D. bioRxiv 2020-07-20.)
2020-07-27 bioRxiv 投稿に準拠した初稿
[出典] De novo design of modular and tunable protein biosensors. Quijano-Rubio A, Yeh HW [..] Oh BH, Baker D. Nature 2021-01-27. (De novo design of modular and tunable allosteric biosensors. Quijano-Rubio A, Yeh HW [..] Oh BH, Baker D. bioRxiv 2020-07-20.)
UWのD. BakerらはUCSFのH. El-Samadらと共同で2019年に, 天然タンパク質の改変ではなくコンピュータでde novo設計した合成タンパク質スイッチLOCKR [*]を公開したが、今回、KAISTや江原大学の研究グループと共同で、LOCKRをベースに標題を実現した。
[*] De novo design of bioactive protein switches. Langan RA, Boyken SE, Ng AH [..] Baker D. Nature 2019-07-24; 2019-07-29 [NEWS] 生細胞内でスイッチとして機能するコンフォメーション可変タンパク質のデノボ合成 ; 2019-08-06 8nmの合成タンパク質スイッチLOCKRに関する楽しいQ&A:LOCKRの由来など
LOCKRのOFFとON (復習)
[2019-07-29 crisp_bio記事の一部を手直しの上転載; 下図はUW Medicine Newsroom 2019-07-24のツイートを引用]
CRISP_SCIENCE@ScienceCrisp
Designed switch allows unprecedented control over cells https://t.co/03OCCLa8IK
2020/07/27 22:29:07
- OFFの状態: 5重のヘリックスからなる安定な人工タンパク質 (ケージと称する)にヘリックス (ラッチと称する)が 結合している状態 [crisp_bio注: ケージが飛び出しナイフの本体に、ラッチが刃にあたる、とも言えそうだ]。
- ONの状態: "他のペプチド"が分子間相互作用を介して、ラッチに取って代わってケージに結合することで、ケージからラッチが複合体の状態から飛び出し、そのことで、ラッチ内に組み込んでおいた生理活性ペプチドが活性を発揮する。著者らはこの"他のペプチド"をキーと称した。
- ラッチ内の生理活性ペプチドには、標的分子への結合、標的タンパク質分解、核移行シグナル、さらには細胞分解 (degronLOCKR)などの機能を持たせることができる。
バイオセンサーの構成 [Fig. 1 参照]
- ルシフェラーゼの活性化(発光)をリードアウトとするバイオセンサーは、lucCageとlucKeyと命名された2種類の合成タンパク質で構成されている。
- lucCageはケージとラッチと命名された2種類のドメインで構成されており、関心のある分子 (ターゲット)が存在していない状態では、ケージとラッチは一端がリンカーで結合された二つ折りの形に固定されている (状態1)。
- ラッチは、ケージにリンカーで結合されている端から続く領域にルシフェラーゼのサブユニットであるペプチドSmBiTが位置し、もう一方の端にターゲットが結合するモチーフが位置している。
- lucKeyはルシフェラーゼのサブユニットLgBiTをターゲット (キー)に結合した構成である。
- 標的分子がラッチの標的分子結合モチーフに結合すると、ケージからラッチがその先端側から離れ (二つ折りが開き)、キーの本体がケージに結合し、キー結合LgBiTがラッチ内のSmBiTに結合する (状態7)。こうして、ルシフェラーゼが活性化し、発光が観察されるに至る。
- このバイオセンサーは、状態1よりも、ケージ・ドメインにキーが結合した状態 (状態6)の自由エネルギーが大きく、状態7が状態1よりも自由エネルギーが小さくなるように設定される。
- このバイオセンサーはまた、ケージ・ドメインとラッチ・ドメインのベース部分およびキーはターゲットによらず一定であり、ラッチ・ドメイン末端のターゲット結合モチーフを変えることだけで、多様なターゲットに展開可能である。
バイオセンサーのモジュール性と感度の実証
- 抗アポトーシスタンパク質Bcl-1, hIgG1 Fcドメイン, Her2受容体, ボツリヌス毒素B, 心筋型トロポニンI (cTnI), および, 抗B型肝炎ウイルス抗体の多様なターゲットそれぞれについて、最小限の最適化にて、臨床診断に十分な感度 (サブナノモル濃度)で検出可能なことを実証した。
新型コロナウイルスの抗体またはスパイクタンパク質をターゲットとするバイオセンサー
[Fig. 4参照]
[Fig. 4参照]
新型コロナウイルスに対する抗体検出
- はじめに、SRAS-CoVとSARS-CoV-2のプロテオームから免疫原性が高く、風邪を引き起こす"common"コロナウイルスには存在しない線形エピトープを、文献情報から同定した。
- その中から、それぞれ膜タンパク質 (Mタンパク質)とヌクレオカプシド(Nタンパク質)に位置するエピトープを2種類を選択し、lucCageSARS2-MとlucCageSARS2-Nを作出し、Mタンパク質とNタンパク質に対する抗体を高感度検出を実現した。
- SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン (RBD)に対してピコモル濃度の結合親和性を帯びたバインダー (LCB1)を設計・合成し、検出検出限界15 pMでダイナミックレンジが1700%に及ぶバイオセンサーlucCageRBDを実現した。
- ウイルス粒子あたり~100 RBDsと仮定すると、ウイルス粒子を対象とするバイオセンサーは少なくとも100 fMの感度を期待できる。
新型コロナウイルスの抗体とRDBのバイオセンサーの作出に要した期間はいずれも、遺伝子合成から発現、タンパク質精製を経てセンサーの性能評価まで、わずか3週間であり、LucCageシステムのモジュール性の効果と、その工作が容易であることを実証された。

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