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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2021-02-08 査読付きジャーナルから出版されたことを受けて, その論文の書誌情報とリンクを追加: The Journal of Infectious Diseases, 2021-02-03; 223(2): 206–213 (Online 2020-10-10). https://doi.org/10.1093/infdis/jiaa641
2020-07-31 初稿
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[出典] Rapid, sensitive and specific SARS coronavirus-2 detection: a multi-center comparison between standard qRT-PCR and CRISPR based DETECTR. Brandsma E, Verhagen HJMP [..] van den Akker E. medRxiv 2020-07-29. [プレプリント]
[参考] crisp_bio 2020-03-05 新型コロナウイルス検出プロトコル改訂: DETECTR

 DNAを標的とするCas12aのコラテラル活性を巧妙に活かした超高感度核酸検出法DETECRに、栄光化学が開発したRT-LAMP法 を組合せることで、RNAウイルスの一種であるSARS-CoV-2の検出が可能になる ([参考]参照)。

 Amsterdam University Medical Centerを主とするオランダの研究グループは今回、LbCas12aをベースとしてSARS-CoV-2のNタンパク質を標的とするDETECTR (RT-LAMP + Cas12a-RNP)を自製し、オランドの3ヶ所の病院において、のべ378人のCOVID-19患者由来検体を検査し、qRT-PCRによる検査と比較した。
  • DETECTRの処理時間は、RT-LAMPから判定まで、30分以内に収まった (実際の検査ではこれに検体からRNAを抽出する時間が加わる)。
  • DETECTRの検出感度はqRT-PCRと同等であり、両者の一致度は3センターでそれぞれ94.1%, 96.7%および94.7%となった (crisp_bio注: 両者の差異について詳細な分析がなされている)。
  • DETECTRのアッセイは96ウエルプレートを対象とする分光測色法で行った。40例についてはラテラルフローアッセイ (LFA)も行ったが、判定結果は100%一致した。
  • SARS-CoV-2アッセイに設計したDETECTRは、他のヒトコロナウイルスに対しては無反応であった。
  • DETETRは分子生物学研究室などで日常的に利用されている機器で組み立てられることもあり、PCOTに適している。また、DETECTRは今回行った希釈アッセイの結果から、複数人からのRNAをまとめて検査するプール型検査に展開可能であり、感染率が低い地域での利用にも適している。しかし、現場でのコンタミネーションを抑止するため、RNA抽出からRT-LAMPを経てラテラルフローアッセイまでの一体化が求めらる。
  • 今回、Nタンパク質遺伝子を標的とする2種類のgRNAを組合せたが、gRNAsの設計によりNタンパク質の変異に容易に対応可能である。
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