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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

バクテリア/アーケア vs プラスミ/ファージ
進化の過程で、バクテリアのほぼ半数やアーケアの殆どが、トランスポゾン、バクテリオファージ、プラスミドなどの侵入DNAに抗する手段の一つとして獲得免疫機構”CRISPR-Cas”システムを備えてきた。一方で、ファージがCRISPR-Casシステムに抗する手段を備えていることも明らかになってきており、このところその構造基盤の解明が進んでいる。 また、この機構をCRISPR-Casオフスイッチとして細胞内でのゲノム編集活性制御へと利用することも示唆されている。

CRISPR-Casシステムの免疫応答は3段階
外来DNAからその断片を獲得しCRISPR座位に格納する過程(acquisition/adaptation、
CRISPR座位の転写から成熟に至るcrRNA生合成の過程(biogenesis/expression)
Casタンパク質がcrRNAとtrans-activating crRNA(tracrRNA)からなるガイドRNAによって標的DNAに誘導され外来DNA/RNAを切断する過程(interference)の3段階
[注]医学生物学研究に最も広く使われているCasタンパク質Streptococcus pyogenes Cas9(SpyCas9)によるゲノム編集では、crRNAとtracrRNAを人工合成したsgRNAが、Cas9の標的DNAへのガイドとして使われている。2つのRNAのうちtracrRNAを必要としないCasタンパク質Cpf1が発見されその応用も始まっている。

CRISPR-Casシステムは多様である
CRISPR座位の構成引いては免疫応答の分子機構に応じて、CRISPR-Casシステムは現在、2クラス、6タイプ、19タイプに分類されている(以下の[]カッコ内はゲノム編集するエフェクター名)
 クラス1:マルチユニットのタンパク質複合体がエフェクター
  タイプ I [Cascade, Cas3];III [Cmr/Csm];IV [Cas13b]
 クラス2:単一ユニットのタンパク質がエフェクター
  タイプ II [Cas9];V [Cpf1; C2c1; C2c3];VI [C2c2(Cas13a)]
[注]  関連ブログ:[レビュー]CRISPR/Casシステムの多様な進化のルーツ:http://crisp-bio.blog.jp/archives/1703087.html

抗-CRISPRタンパク質(出典 Mol Cell 0609 https://t.co/HNSCPZiDxp 
抗タイプI-F10種類
抗タイプI-E4種類
抗タイプII-A 4種類
抗タイプII-C 3種類
抗タイプIV-B 1種類
  • Cas13b is a type VI-B CRISPR-associated RNA-guided RNase differentially regulated by accessory proteins Csx27 and Csx28. Smargon AA, Cox DB, Pyzocha NK, Zheng K, Slaymaker IM, Gootenberg JS, Abudayyeh OA, Essletzbichler P, Shmakov S, Makarova KS, Koonin EV, Zhang F. Mol Cell. 2017 Feb 16;65(4):618-630.e7. Epub 2017 Jan 5. [注] Csx27はCas13bによるRNA干渉を抑制
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