[出典] Evaluation of the mRNA-1273 Vaccine against SARS-CoV-2 in Nonhuman PrimatesCorbett KS [..] Seder RA, Graham BS. NEJM 2020-07-28

 NIAID/NIHを主とする研究グループが、第3相試験が進行中のmRNA-1273の効果を霊長類モデルで検証し、mRNA-1273が、安定したSARS−CoV−2中和活性を発揮し、上気道と下気道を迅速に保護し、肺に病理的変化を引き起こさないことを同定した。
  • アカゲザル8頭からなる3グループにそれぞれ、10 μgまたは100μgのmRNA-1273、およびリン酸緩衝生理食塩水を4週目と8週目の2回筋肉注射した。
  • mRNA-1273投与群は、COVID-19感染回復期患者由来の血清を上回るレベルの中和抗体を誘導した。ID50抗体価は10 μgと100 μgそれぞれ 501と 3481 (幾何平均)に達した。細胞性免疫応答を担うTh1細胞応答も見られたが、Th2細胞またはCD8陽性T細胞の応答は弱いか非検出であった。
  • 2回目の接種後、肺と鼻をSARS-CoV-2に暴露し、その2日後に気管支肺胞洗浄液のPCR検査を行った。mRNA-1273投与群では、投与量によらず、8頭中7頭には肺でのウイルス増殖が見られなかった。また、100 μg接種群の鼻腔スワブでは、8頭全てウイルス非検出であった。
  • mRNA-1273投与群では投与量の如何に関わらず、ウイルスに暴露した8頭のうち7頭からの気管支肺胞洗浄液には暴露後2日後の時点でウイルス複製がみられなかった。
  • また、いずれのmRNA-1273投与群も、肺における炎症、ウイルスゲノムまたは抗原が限定的であった。
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