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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2020-09-04 更新: 原論文を支持するCommentaryへのリンクを追加し、ブログのテキストもCommentaryを参考にして拡充:  COMMENTARY "Expanding the horizons of genome editing in the fruit fly with Cas12a" Ewen-Campen B, Perrimon N (Blavatnik Institute/HMS). PNAS 2020-09-03.  
2020-08-28 初稿

[出典] Multiplexed conditional genome editing with Cas12a in Drosophila. Port F, Starostecka M, Boutros M. PNAS 2020-08-25. https://doi.org/10.1073/pnas.2004655117

 Baylor College of Medicineの研究チームがSpCas9に替えて、Lachnospiraceae bacterium由来Cas12a (LbCas12a) によるショウジョウバエの遺伝子編集を実証した。なお、Acidaminococcus (AsCas12a)は30 °C以下で低活性なため、ショウジョウバエの遺伝子編集は不適であった。また、LbCas12aはSpCas9を完全に代替することはなく、互いに相補的とした。
  • SpCas9のPAMが"NGG"に対してCas12aのPAMは"TTTV"である。
  • LbCas12aは29 °Cで高活性であるが18 °Cでは低活性のため、SpCsa9と異なり、遺伝子編集を温度で制御可能である。
  • SpCas9は標的部位へのガイドにtracrRNAとcrRNAの合成"sgRNA"を必要とするが、LbCas12aはコンパクトなcrRNAで十分である。LbCas12aはまた、単一の配列から多重なcrRNAsを成熟させるに必要なRNase活性を帯びていることからも、多重化が容易である。
  •  SpCas9が誘導するindelsの規模は ~1-10 bpであるが、LbCas12aが誘導するindelsの規模 ~10-15 bp である。
  • LbCas12aは、Gal4-UASシステムを介した条件付き活性化による組織特異的遺伝子編集が容易であり、多細胞生物における遺伝子機能解析に有用である。Gal4-UASによるSpCas9の高発現は細胞毒性を示し、また、標的以外の組織で発現する傾向があったが、LbCas12aにはそうした問題が発生しなかった。
  • LbCas12a (D156R)変異体 [*] 'Cas12a+'は、SpCas9よりも有意に編集効率が高い: [*] CRISPRメモ_2019/10/15 [第3項] 比較的低温で培養される植物のゲノム編集に有効なLbCas12a変異体を作出 -  "... 低温でも室温でも(temperature-tolerant)高活性な ttLbCas12a (D156R) ..."
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