[出典] Clinical validation of a Cas13-based assay for the detection of SARS-CoV-2 RNA. Patchsung M, Jantarug K, Pattama A, Aphicho K, Suraritdechachai S, Meesawat P, Sappakhaw K [..] Horthongkham N, Uttamapinant C. Nat Biomed Eng 2020-08-26.
Vidyasirimedhi Institute of Science and Technology (VISTEC), Mahidol Universityなどタイと、Broad Instituteなど米国の共同研究グループからの報告:
- Vero細胞をプラットフォームとする予備実験で、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質 (S)を標的とするcrRNAをベースとするSHERLOCK [1] が最も高感度であり、他のヒトコロナウイルスと交差反応しないことを同定した。また、SARS-CoV-2の検出限界が、1反応あたり42コピー、RT-qPCRのCt値~33.5であることを同定した。
- Siriraj Hospitalで3月3日から4月10日の間に採取された鼻咽頭および咽喉のスワブ154サンプルをRT-qPCRで検査後、同一サンプルの残りをSHERLCOCKで検査した。事前のRT-qPCRでは81サンプルが陽性で73サンプルが陰性であった。
- 検出は、ハイスループット判定に向いた蛍光法 (以下, FLU)と、臨床現場即時検査 (POCT)に向いたラテラルフロー・ストリップ (以下、LFS)の2種類で行った。73陰性サンプルについては、FLUもLFSも全て陰性を判定し、81陽性サンプルについては、FLUは78サンプル、LFSは71サンプルを、陽性と判定した。
- 次に、施術上エアロゾルに晒されるリスクが高い医療関係者の保護の観点から、手術前の患者からのスワブサンプル380件をSHERLOCKとRT-qPCRの双方で検査した。SHERLOCKの検出は、青色LEDトランスイルミネーターとスマホのカメラを介して行った。結果は、全て陰性*ということで、RT-qPCRの結果と一致したが、反応時間はRT-qPCRの120分以上に対して、概ね70分であった [* サンプル採取時期、タイはロックダウン中]。
- クリーンな施設や装置が必ずしも整っていない場所での検査にはリボヌクレアーゼ (RNase)によるコンタミネーションが問題になる。SHERLOCKには、RNase阻害剤, ヌクレアーゼ不活性化およびネガティブコントロールを組込み、偽陽性をもたらすコンタミネーションを排除する設定がなされているが、研究グループは、コンタミネーションのLTFでの可視化を実現した。Cas13a切断に耐性を示すが、RNase I-, RNase A-, およびRNase T1に切断され、ジゴキシゲニン (DIG)とフルオレセインで機能化したRNAレポーターを組み込み、ビオチンで機能化したウイルスRNAのレポーターRNAと識別可能にした。
- 今後、RNA抽出から判定までのSHERLOCKのワンポット化 [2-3]や、等温増幅の効率向上 [4]が待たれるが、SHERLOCKはCOVID-19に限らず、再興・新興感染症の診断に有効な手法である。
- 2020-02-15 CRISPRによる核酸検出・診断（DETECTRとSHERLOCK）
- SHINE (SHERLOCK and HUDSON Integration to Navigate Epidemics): Integrated sample inactivation, amplification, and Cas13-based detection of SARS-CoV-2. Arizti-Sanz J, Freije CA [..] Sabeti PC, Myhrvold C. bioRxiv 2020-05-28;
crisp_bio 2020-08-31: 新型コロナウイルス: 不活性化-増幅-SHERLOCKを統合したSHINEシステム - STOP (SHERLOCK Testing in One Pot): Point-of-care testing for COVID-19 using SHERLOCK diagnostics. Joung J, Ladha A [..] Gootenberg JS, Abudayyeh OO, Zhang F. medRxiv 2020-05-28; STOPCovid.science https://www.stopcovid.science/;
crisp_bio [20200508更新] 新型コロナウイルス：SHERLOCK、唾液からの迅速その場検査も可能な"STOP"へと進化 - An enhanced isothermal amplification assay for viral detection. Qian J, Boswell SA, Christopher Chidley C, Lu Z [..] Springer M. bioRxiv. 2020-05-29.
- 2020-08-21 SHERLOCKによるエボラとラッサ・ウイルスの検出結果をスマホで判定
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