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[出典] CRISPR/Cas12a-based dual amplified biosensing system for sensitive and rapid detection of polynucleotide kinase/phosphatase. Wang DX [..] Kong DM. Biosens Bioelectron 2020-08-27. 

 Cas12aのコラテラルssDNA切断活性は、DETECTR [1] によって核酸の超高感度検出への利用が実現されて以来、そのさまざまなバリエーションが開発され、また、低分子や抗体の高感度検出 [2-3] にも拡がってきた [crisp_bio注: 本ブログではCas12aバイオセンサーと呼ぶことにする]。

 南開大学のグループは今回、Cas12aバイオセンサーに、等温増幅法の一種であるニッキング酵素Nb.BbvCIを介した鎖置換増幅 (Strand displacement amplification; SDA)を組み合わせることで、DNA切断修復に必須のポリヌクレオチドキナーゼ/フォスファターゼ (PNKP)の高精度・高効率な活性測定を実現した。また、酵素阻害剤のスクリーニングと阻害活性の測定も可能なことを示した。
  • PNKPは、一本鎖 (ss)または二本鎖(ds)DNA切断を修復する過程に必須であり、切断された一本鎖DNAの3´末端を脱リン酸化し5´末端をリン酸化する酵素である。
  • PNKPの基質として3種類の領域 (I, II, およびIII)からなる不完全な二本鎖DNA (dsDNA) を設計・作出した:
   領域I: PNKの標的となるリン酸化された3'末端に続くヘアピン構造の領域
   領域III: 5'末端側の領域; その相補鎖にCas12aをガイドするcrRNAの標的となる一本鎖DNA
   領域II: Nb.BbvCIが認識しニックする配列を帯び、領域Iと領域を連結する短い領域
  • 基質DNAはPNKP存在下で、(1) 3'末端のリン酸基が水酸基へと加水分解され、(2) クレノウ断片DNAポリメラーゼ (Klenow)によって伸長され、(3) 完全なdsDNAを形成し、続いて、(4) Nb.BbvCIによって領域IIにニックが入り、(5) それによって新たに生成された3'末端からKlenowによる伸長が始まり、(6) SDA反応のニッキング、ポリメリゼーション、鎖置換のサイクルが始まる。
  • SDAによって増幅・蓄積された領域IIIが"アクチベーターDNA"として、Cas12a-crRNAがコラテラル活性を誘導し、消光されていたssDNAプローブを切断することで、プローブから蛍光が発する。
  • リニアディテクションレンジは3桁以上に及び (1× 10−5  - 2.5 × 10−2  U/mL T4 PNKP) 検出限界は3.3 × 3.3 × 10−6 U/mL.に達した。測定時間は 80分 以内に収まった。
    この手法は、SDAを開始する機構を設計することで、ウラシルDNAグリコシラーゼ (UDG)やDNAメチルトランスフェラーゼといった他の酵素の検出へと展開可能である。
  • この手法は、SDAを開始する機構をそれぞれに設計することで、ウラシルDNAグリコシラーゼ (UDG)やDNAメチルトランスフェラーゼといった他の酵素の検出へと展開可能である。
[参考crisp_bio記事]

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