[出典] CORRESPONDENCE "Robustly improved base editing efficiency of Cpf1 base editor using optimized cytidine deaminases" Chen S, Jia Y, Liu Z [..] Yu H, Lai L, Li Z. Cell Discov. 2020-09-15. https://doi.org/10.1038/s41421-020-00195-5
Cpf1はチミジン・リッチなPAM (TTTV (V=A/G/C))を認識し、二本鎖DNA切断 (DSB)後に粘着末端を残すことから、ゲノム編集においてCas9を相補するヌクレアーゼである。しかし、標的DNAへの結合がCas9よりも弱いため、Cpf1をベースとするCBEの効率はCas9をベースとするCBEより低い。
Cpf1の遺伝子ノックアウト効率は、crRNAの3'末端を修飾することで、大幅な向上が実現されたが [1-3]、Cpf1-BEsの効率向上については体系的な評価が行われないまま、Cpf1-BEsによるヒト細胞の塩基エディティング [4]の例も稀であった。

Cpf1の遺伝子ノックアウト効率は、crRNAの3'末端を修飾することで、大幅な向上が実現されたが [1-3]、Cpf1-BEsの効率向上については体系的な評価が行われないまま、Cpf1-BEsによるヒト細胞の塩基エディティング [4]の例も稀であった。

吉林大学の研究グループは始めに、dCas9にラット由来シチジンデアミナーゼrAPOBEC1を融合するBE3を、dCpf1ベースに変更したdCpf1-BE3に、前述のDSBの効率向上に寄与した先行研究の修飾型crRNA (U-rich crRNA [1], crRNA (tRNA) [2], およびcr-HDV [3])を組合せた効果を、HEK293T細胞の6種類の遺伝子におけるC-to-T変換率で評価し、遺伝子により若干の向上が見られる場合もあるが、野生型crRNAに対する顕著な向上は見られないと判定した [Figure 1 - a 引用右図参照]。

研究グループは次に、rAPOBEC1を3種類のデアミナーゼ (evoAPOBEC1とevoCDA1 [5], およびヒトAPOBEC3A (A3A) [6, 7])に変更する効果を同じく評価し、dCpf1-evoCDA1**が最も安定したC-to-T変換率向上をもたらすと判定した [Figure 1 - b 引用右図参照]。
[*] 以下、"dCpf1-BE3"のほかは、"dCpf1-改変デアミナーゼ"の表記を採用
- dCpf1-evoCDA1とCpf1-A3Aの変換効率は、dCpf1-BE3とdCpf1-evoAPOBEC1よりも高い。
- dCpf1-BE3とdCpf1-evoAPOBEC1の編集ウインドウがPAMから8-13塩基の範囲に対して、dCpf1-evoCDA1とdCpf1-A3Aの編集ウインドウはそれぞれ、5-21塩基と6-20塩基と広い。
- dCpf1-evoCDA1のCas-OFFinder予測によるオフターゲット候補部位 (ミスマッチ4塩基以下, 5ヵ所)での活性が、dCpf1-A3AとdCpf1-evoAPOBEC1よりも低い。
HEK293T細胞での評価を踏まえて、dCpf1-evoCDA1を選択し、ウサギ**の6遺伝子において、dCpf1-BE3よりも劇的にC-to-T変換効率が向上することを示した。
[**] 研究グループは、シチジンデアミナーゼへの変異誘導を介したSpCas9をベースとするBE4maxの効率向上をウサギをモデルとして実証しCell Death Dis 2020-01-20に発表していた[8]。
[**] 研究グループは、シチジンデアミナーゼへの変異誘導を介したSpCas9をベースとするBE4maxの効率向上をウサギをモデルとして実証しCell Death Dis 2020-01-20に発表していた[8]。
[参考crisp_bio記事と論文]
- CRISPRメモ_2018/09/12 [第2項] U-rich 3'-オーバーハングを伴うcrRNAによりCpf1によるゲノム編集の効率を向上
- CRISPRメモ_2018/04/16 [第1項] Cpf1による哺乳類ゲノムの編集効率向上を、gRNAへのtRNA前駆体挿入によって実現
- 2020-08-01 [プロトコル] Cas12aの遺伝子編集およびCRISPRiの性能向上をもたらすcrRNAの3'末端へのHDVリボザイム挿入
- CRISPRメモ_2018/03/21 [第1項] Cpf1とシチジンデアミナーゼの融合による1塩基編集 (BE)
- 2019-07-24 一塩基編集 (CBE)、ファージに依存する持続的進化法 (PACE)により、進化続く - evoAPOBEC1, evoCDA1
- CRISPRメモ_2018/08/22 [第4項] Cas9にヒトAPOBEC3Aを融合しメチル化領域における効率的塩基編集(BE)を実現 - A3A
- CRISPRメモ_2018/07/31 [第2項] 2. バイスタンダー活性とオフターゲット活性を最小限にとどめたAPOBEC3A-Cas9による1塩基編集(BE)
- Efficient base editing with high precision in rabbits using YFE-BE4max. Liu Z [..] Lai L, Li Z. Cell Death Dis. 2020-01-20; Fig. 2 Base editors with rationally engineered cytidine deaminase domains exhibit narrowed editing windows with maintained efficiency in rabbit embryos.
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