2021-02-16 JAMA (米国医師会雑誌)にて紹介: 感染者の鼻腔スワブから抽出したRNAを5分で検出; ウイルス量が低レベルの場合は30分で判定;  ウイルス量の定量的測定可能; 数ヶ月内にEUA承認申請予定
[出典] "CRISPR-Based COVID-19 Smartphone Test in Development" Abbasi J. JAMA. 2021-02-09. https://doi.org/10.1001/jama.2021.0493
2021-01-22 Cell 誌冊子体出版 Cell 2021-01-21;184(2):P323-333.E9; ブログタイトルを"新型コロナウイルスをCRISPR-Cas13aとモバイルフォンを介してスワブから直接検出"から"新型コロナウイルスをCRISPR-Cas13aとモバイルフォン顕微鏡を介してスワブから直接検出 - RNA増幅不要"へと改訂
2020-12-05 Cell誌採択論文の書誌情報を追加 (ブログ本文には更新無し): "Amplification-free detection of SARS-CoV-2 with CRISPR-Cas13a and mobile phone microscopy" Fozouni P, Son S, de León Derby MD [..] Fletcher DA, Ott Melanie. Cell. 2020-12-04.  https://doi.org/10.1016/j.cell.2020.12.001

2020-10-02 初稿
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[出典] "Direct detection of SARS-CoV-2 using CRISPR-Cas13a and a mobile phone" Fozouni P, Son S, de León Derby MD [..] Fletcher DA, Ott Melanie. medRxiv 2020-09-30. [Preprint] 

 Cas12ファミリーまたはCas13ファミリーが、それぞれ、標的DNAまたは標的RNAに結合すると、周囲のssDNAまたはssRNAを分解するコラテラル活性を利用して、消光状態のssDNAまたはssRNAの切断を介した発光によって、標的のDNAまたはRNAを超高感度で検出するDETECTRとSHERLOCKは、ごく短期間で、新型コロナウイルス検出に展開され、RNA増幅を必要としない直接検出、ワンポット反応、といった進化が続いている。

 Cas12aをベースとしてDETECTRを開発 [*]したJennifer A. Doudnaらを共著者に含むUCSFとUC Berkeleyなどカリフォルニアの研究グループは今回、Cas13aをベースとして鼻腔スワブから抽出したRNAを、増幅することなく、モバイルフォンで判定可能とするシステムを開発した。
  • Cas13aホモログの中で安定して高いコラテラル活性を示すLeptotrichia buccalis Cas13aを利用した。
  • 標的をヌクレオカプシド (N)遺伝子を標的とする12種類のcRANsを設計し、予備実験により、高活性な2種類のcrRNAsを選択して実験を進めた。
  • 2種類のcrRNAsの単独使用よりも併用することで (それぞれを組み込んだRNPを同時使用することで)感度を更に引き上げ、また、蛍光強度の時間変化を追うことで、30分のアッセイ時間で、感度 ~100 copies/μLを達成した。
  • 患者サンプルでの検証にあたって感度と特異度の向上を目的として、2種類のcrRNAsにウイルスのE遺伝子を標的とするcrRNAを加えた三重のRNPsを利用した。In vitroでは検出限界 31 copies/µLを達成し、 陽性患者由来のスワブサンプルから直接の反応を経て、100%識別 (PCRのCt値 14.37 -  22.13の範囲)を達成した。また、蛍光強度の時間変化の傾きとウイルスRNAゲノムのコピー数が相関することを確認した。
  • SARS-CoV-2以外のコロナウイルスとHIN1インフルエンザウイルス AとBに対しては、反応しないことも確認した。
  • モバイルフォンの利用は、検査現場の位置情報の取得と、即時のデータ処理とサーバへの送信を可能とし、COVID-19のPOCTツールとしての価値を高める。
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