crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "A boosting upconversion luminescent resonance energy transfer and biomimetic periodic chip integrated CRISPR/Cas12a biosensor for functional DNA regulated transduction of non-nucleic acid targets" Cheng-Yu Li, Bei Zheng [..] Hong-WuTang. Biosens Bioelectron. 2020-09-26. 

武漢大学と武漢科技大学に南開大学の研究グループが今回開発したCas12aバイオセンサーの要素と機序の概要
  • 核酸以外の標的分子の存在によって、Cas12-crRNAが認識可能なDNA (論文ではアクチベータと称されている) を遊離するコンバータ (crisp_bio注: 論文ではこの表現は使われていない):
    - アクチベータをATPアプタマーでサンドイッチしておくことで、ATP存在下のみでアクチベータが遊離する系
    - Naイオンによってのみ活性化するDNA酵素により、繋留していたアクチベータが切り離される系
  • 蛍光検出系 (その1):発光エネルギー共鳴エネルギー移動 (luminescent resonance energy transfer; LRET)過程をブーストするエネルギー供与体となるアップコンバージョン・ナノ粒子 (upconverion nanoparticle; UCNP) を開発し、それに、ブラックホールクエンチャー BHQ-1とアミノ基を帯びた短い (5 nt)のssDNAレポータ"NH2-TTATT-BHQ-1"を融合した。
    - 標的分子が存在しない場合はUCNPはBHG-1によって消光状態を維持する。
    - 標的分子が存在すると、Cas12a-crRNAにより、標的アクチベータの切断と共に、ssDNAレポータが切断され、UCNPsのスイッチが入る (発光する)。
  • 蛍光検出系 (その2): モルフォチョウの翅の構造を真似たフォトニック結晶 (photonic crystal)のチップ (PCチップ)に、スイッチが入ったUCNPをセットし、ポータブルレーザから波長980 nmの近赤外レーザを照射する。UCNPにPCを組み合わせることで、標的分子のシグナルを~35倍以上増強することに成功した。
  • 単一細胞でのATPとヒト血漿内のNaイオンの検出感度と特異度は十分であり、それぞれの検出限界は、~18 nMと~0.37 μMであった。
  • PCチップ上のUCNPからの発光をスマートフォンで読み込み、解析することで、フルオロメータを必要としないPOCTに適したコンパクトで低コストの構成を実現した。
[Casのコラテラル活性を利用した核酸以外の分子の高感度検出関連crisp_bio記事]
このエントリーをはてなブックマークに追加

コメント

コメントフォーム
評価する
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5
  • リセット