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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

いずれも、Rega Institute for Medical Research (ベルギー)を主とする研究グループの成果

1. 必須遺伝子群を対象とするCRISPR-Cas変異誘発スキャンによる低分子の標的同定
[出典] "Target identification of small molecules using large-scale CRISPR-Cas mutagenesis scanning of essential genesNeggers  JE [..] Daelemans D. Nat Commun. 2018-02-05

 低分子の作用機序と分子標的の同定が、未だ創薬における大きな課題となっている。多くの抗癌剤が癌の遺伝的脆弱性を標的としているが、機能喪失スクリーンは必ずしも抗癌剤の作用機序における必須遺伝子の同定につながらない。

 研究グループはこの2018年の論文でSpCas9をベースとして、薬剤耐性変異を必須遺伝子に誘発・同定可能とするCRISPR-induced resistance in essential genes (CRISPRres)の手法を発表した。
  • CRISPRresでは、タンパク質コーディング領域を隙間なく標的にする大規模なsgRNAのライブラリー (タイリングライブラリー)にもとづいて、SpCas9-sgRANを介したNHEJ修復過程がin frame (読み枠)内にもたらす変異を誘導する。
  • CRISPRresの性能を抗腫瘍薬KPT-9274をモデルとして検証し、ニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ (NAMPT)が主たる標的であることを同定した。
  • SpCas9をベースとするCRISPRresが所期の性能を示したのに続いて、AsCpf1をベースとしたCRISPRresもテストし、標的分解能が向上することを見出した。
2. enAsCas12aをベースとするタイリングスクリーンによる薬剤耐性変異の同定
[出典] "enAsCas12a Enables CRISPR-Directed Evolution to Screen for Functional Drug Resistance Mutations in Sequences Inaccessible to SpCas9" Neggers JE [..] Daelemans D. Mol Ther. 2020-09-20

 CRISPR-Casヌクレアーゼによってタンパク質をコードする領域を隈なく標的にするタイリングによって、in-frame (読み枠内)で発生した薬剤耐性変異をスクリーニングすることが可能になり、ひいては、薬剤の標的サイトと結合サイトを同定することが可能になった。

 研究グループは今回、野生型のAsCas12aに3種類の変異 (E174R/S542R/K548R)を導入し、PAM配列として野生型のTTTV限定に対して、TTYN, VTTV , TRTV, TATM, TGTMなども認識可能としたenhanced AsCas12a (enAsCas12a) [*]により、SpCas9を始めとするこれまで試みられてきたCasヌクレアーゼの限界を打ち破った。

 SpCas9, AsCas12a, SpCas9 + AsCas12a, xCas9-3.8, SpCas9-NG, enAsCas12a, およびSpCas9 + enAsCas12aを比較し、その過程で、enAsCas12aによって、 抗腫瘍薬のFK866 (NAMPT阻害剤), KPT-9274 (NAMPT阻害剤)およびイスピネシブ/ ispinesib (キネシンKIF11阻害剤)に対する新たな耐性変異を同定した。

[cas12a関連crisp_bio記事]
  • [*] 2019-02-12 CRISPR-Cas12aの拡張、東西で続く- enAsCas12a
  • 2020-07-15プール型CRISPRスクリーニングにはCas9よりもCas12a
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