2021-08-24 FDA,緊急使用許可で接種されてきたBNT162b2をCOMIRNATY (COVID-19 Vaccine, mRNA) として正式承認 [crisp_bio記事"新型コロナウイルス: ワクチンに関する雑感と専門家からの情報"の2021-08-24の投稿参照 https://crisp-bio.blog.jp/archives/25175024.html]
2021-08-20 新型コロナウイルス: ファイザー・ビオンテック社製BNT162b2 mRNAワクチンが誘導する自然免疫応答 https://crisp-bio.blog.jp/archives/27210165.html
2021-08-20 新型コロナウイルス: ファイザー・ビオンテック社製BNT162b2 mRNAワクチンが誘導する自然免疫応答 https://crisp-bio.blog.jp/archives/27210165.html
2021-06-11 BNT162b2が英国由来アルファ株 (B.1.1.7)と南アフリカ由来ベータ株 (B.1.351)にも有効であるとする報告が続いていたが,今回,インド由来変異株とナイジェリア由来変異株にも有効であること,University of Texas Medical Branch, Pfizer Vaccine Research and DevelopmentおよびBioNTechの研究グループが報告した.
[出典] "BNT162b2-elicited neutralization of B.1.617 and other SARS-CoV-2 variants" Liu J, Liu Y [..] Sahin U, Xie X, Dormitzer PR, Shi R-Y. Naure. 2021-06-10. https://doi.org/10.1038/s41586-021-03693-y
BNT162b2を2回投与した2週間後または4週間後に採取した20人のヒト血清が,2020年1月に分離されたUSA-WA1/2020株,インドで最初に同定されたデルタ株 (B.1.617.2), カッパ株 (B.1.617.1), およびB.1.618,ならびに,ナイジェリアで最初に同定された由来イータ株 (B.1.525)に対して中和活性を示した [デルタ株は懸念される変異株,イータ株とカッパ株は注目すべき変異株に指定されている. [crisp_bio 2021-06-04 変異株はギリシャ語のアルファベットで呼ばれることになった. https://crisp-bio.blog.jp/archives/26551487.html].
中和活性はシュードタイプウイルスを対象とするプラーク減少中和試験で判定したが,幾何平均中和力価 (geometric mean neutralizing titers)で見ると,変異株 (特に,カッパ株)はUSA-WA1/2020よりも低く見えるが,試験した血清全てが少なくとも40の力価でSARS-CoV-2を中和した.
2021-06-04 国内接種者におけるBNT162b2の有効性を示すデータ公開が続く[出典] ニュースリリース "新型コロナワクチン接種者1,774名のほぼ全員で抗体価上昇" 千葉大学医学部附属病院 2021-06-03 https://www.ho.chiba-u.ac.jp/hosp/dl/news/info/info2021_03.pdf
横浜市立大学と川崎医科大学に [*1]続いて,千葉大学が,比較的大規模な集団への接種から得られたファイザー・ビオンテックの新型コロナワクチン2回接種の有効性を報告した.
- ファイザー・ビオンテックのBNT162b2のワクチンを2回接種後,千葉大学病院職員1,774名のうち1,773名 (99.9%)にて抗体価が上昇した.中央値で言うと,接種前の < 0.4 U/mLの状態から接種後の中央値2,060 U/mLへと上昇した.[注] 第1回接種者は2,015名; ワクチン接種前に21名 (1.1%)が抗体陽性; 先の接種前の中央値は,ほとんどが抗体を持ったいなかったことを意味する.
- ワクチン接種後の抗体価と年齢,性別,飲酒頻度,接種期間,服用薬などの因子との相関関係も分析した.抗体価を上がりにくくする因子としては,免疫抑制薬の服用,高年齢,副腎皮質ステロイド薬服用,高頻度な飲酒が挙げられ,抗体価を上げる因子として,COVID-19感染歴 [*2],女性,2回の接種の間隔の長さ [*3],抗アレルギー薬内服が挙げられた.
[*注一覧]
2021-05-10 BNT162b2の接種国のカタールでの評価- 関連crisp_bio記事: [20210514更新] 新型コロナウイルス: 国内ワクチン接種者の~9割が,一連の変異株に対する中和活性を獲得する. https://crisp-bio.blog.jp/archives/26346516.html
- 関連論文: SARS-CoV-2感染歴がある場合は,BNT162b2 1回接種で抗体価が十分上昇する. [出典] "Antibody Response to the BNT162b2 mRNA COVID-19 Vaccine in Subjects with Prior SARS-CoV-2 Infection" Gobbi F, Buonfrate D [..] Barzon L. Viruses. 2021-03-05. https://doi.org/10.3390/v13030422 [Figure 1引用右図参照]
- 18日から25日の範囲で,間隔が長いほど抗体価が上がった.
なお,研究グループはこの成果を6月2日にプレプリントサーバーmedRxiv に"Antibody responses to BNT162b2 mRNA COVID-19 vaccine in 2,015 healthcare workers in a single tertiary referral hospital in Japan"というタイトルで投稿した [6月4日14:45時点では未公開].
[出典] "Effectiveness of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine against the B.1.1.7 and B.1.351 Variants" Abu-Raddad AA. et al. N Engl J Med. 2021-05-05. https://doi.org/10.1056/NEJMc2104974
[カタールの状況]
- 2020年12月21日にBNT162b2ワクチンの集団予防接種キャンペーンを開始した.
- 2021年3月31日の時点で,合計385,853人が少なくとも1回接種,265,410人が2回接種した.
- 2021年1月中旬からB.1.1.7変異株感染拡大し,3月の第1週にピークを迎えた.
- 2021年2月中旬からB.1.351変異株の感染拡大し,3月中旬から加速した.
- 2月23日から3月18日までのゲノム解析の結果,カタールCOVID-19の症例の50.0%がB.1.351,44.5%がB.1.1.7であり,3月7日以後のゲノム解析からほぼ全ての症例が,B.1.351またはB.1.1.7であった.
[カタールにおける感染症および疾病に対するワクチンの有効性]
- 2回接種から14日以上経過した時点で,B.1.1.7変異体に対する有効率89.5%,B.1.351変異株に対する有効率75.0%であった.
- B.1.1.7とB.1.351が大勢を占めるSARS-CoV-2感染による重症・重篤・致死的疾患に対する有効性は平均~97.5%に達し,その中で,感染防御の有効性が比較的低かったB.1.351変異体に対しても90%以上に達した.
2021-05-04 ビオンテック (BioNTech)社のCEO, BNT162b2はインド由来変異株にも有効と予期
[出典] "BioNTech CEO confident Covid vaccine works against ‘double mutant’ strain identified in India" Lovelace Jr, B. CNBC 2021-04-29 18:10 pm/UPDATED 2021-04-30 12:53 EDT https://www.cnbc.com/2021/04/29/covid-vaccine-biontech-ceo-confident-shot-works-against-india-strain.html
インド由来変異株B.1.617は,他のSARS-CoV-2ウイルスではそれぞれ単独で発生していたアミノ酸変異2種類 (L452RとE484Q)を帯びているいわゆる二重変異株であり,インドにて感染がいったん収束したかに見えたのちの感染爆発の一因と考えられている.また,感染力の強さとともに,ヒトの免疫応答を免れる能力が高まったいる可能性が示唆されている [crisp_bio記事: 新型コロナウイルス :インド由来変異株の2重変異または3重変異とは.https://crisp-bio.blog.jp/archives/26169166.html]
B.1.617に対して,ファイザーと共同でBNT162b2を開発したビオンテック (BioNTech)社のCEO Ugur SahinがCNBCのインタビューにて,「(自分は,これまでに種々の変異株について実験してきたデータに基づいて)BNT162b2はL452RとE484Qの2ヶ所アミノ酸範囲が特徴であるインド由来変異株B.1.617に対しても有効であると予期している (expect)が,ビオンテック社としては,データが蓄積されるまでは,断言するには至らない (won’t know for sure)」と述べた.
また,「ワクチンによる抗体の中和活性は,2回接種から8ヶ月過ぎすると低下するが,3回接種によって,少なくとも12ヶ月,おそらく18ヶ月効果を維持する」とし,Pfizer CEO Albert Bourla [本記事2021-04-16 投稿の項参照]と同様に「(ワクチンによる免疫を維持するために)3回目の接種が必要になる可能性」を示唆し,「新たな変異株に対する3回接種の効果をみている」とも述べた.
[参考] BNT162b2の変異株に対する有効性に関する査読付き論文
また,「ワクチンによる抗体の中和活性は,2回接種から8ヶ月過ぎすると低下するが,3回接種によって,少なくとも12ヶ月,おそらく18ヶ月効果を維持する」とし,Pfizer CEO Albert Bourla [本記事2021-04-16 投稿の項参照]と同様に「(ワクチンによる免疫を維持するために)3回目の接種が必要になる可能性」を示唆し,「新たな変異株に対する3回接種の効果をみている」とも述べた.
[参考] BNT162b2の変異株に対する有効性に関する査読付き論文
1. PfizerとBioNTechが加わっていない英国を中心とする国際共同研究チームからの論文
BNT162b2の有効性は,英国変異株 (B.1.1.7)に南ア由来変異株とブラジル由来変異株に共通のE484K変異が加わった変異株によって脅かされる.[出典] "Sensitivity of SARS-CoV-2 B.1.1.7 to mRNA vaccine-elicited antibodies" Collier DA, De Marco A [..] Gpta RK. Nature. 2021-03-11. https://doi.org/10.1038/s41586-021-03412-7
BNT162b2の2回接種者の血清の英国由来変異株に対する中和活性がWuhan-1株の1.9の1に低下し,英国由来変異株にE484K変異を加わると6.7分の1に低下した.COVID-19回復者の中和活性は英国型変異+E484K変異に対して11.7分の1に低下した [論文 Fig. 3参照 https://www.nature.com/articles/s41586-021-03412-7/figures/3]
2. U. Texas Medical Branch, Pfizer Vaccine Research and DevelopmentおよびBioNTechからの論文
2. U. Texas Medical Branch, Pfizer Vaccine Research and DevelopmentおよびBioNTechからの論文
- BNT162b2ワクチンは、英国由来変異株, 南ア由来変異株, ブラジル由来変異株に有効 (ただし,E484K変異を帯びた南ア由来変異株に対する中和活性は減少)[出典] "Neutralizing Activity of BNT162b2-Elicited Serum" New Engl J Med. 2021-03-08. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2102017; crisp_bio "新型コロナウイルス: ワクチンに関する雑感と専門家からの情報" https://crisp-bio.blog.jp/archives/25175024.html: 2021-03-21 14:20投稿の項
- BNT162b2ワクチンは、英国由来変異株と南ア由来変異株に有効 (ただし,E484K変異を帯びた南ア由来変異株に対する中和活性は減少)[出典] "Neutralization of SARS-CoV-2 spike 69/70 deletion, E484K and N501Y variants by BNT162b2 vaccine-elicited sera" Xie X, Liu Y, Liu J [..] Dormitzer PR, Shi P-Y. Nat Med. 2021-02-08. https://doi.org/10.1038/s41591-021-01270-4; crisp_bio 2021-02-14 ファイザー/ビオンテックmRNAワクチン接種後の血清は、英国・南アフリカ変異株にも中和活性を示す. https://crisp-bio.blog.jp/archives/25577470.html
2021-04-29 ニューヨクタイムズのWeb解説記事ファイザー/ビオンテック mRNAワクチンの製造から発送までの19ステップと,変異株対応ステップ」へのリンクを追加 (動画とイラストを駆使): "How Pfizer Makes Its Covid-19 Vaccine" Cott E. New York Times. 2021-04-28. https://www.nytimes.com/interactive/2021/health/pfizer-coronavirus-vaccine.html
2021-04-16 ファイザーCEO, 「12ヶ月以内に3回目の接種が必要になりそうだ」と述べた
2021-04-16 ファイザーCEO, 「12ヶ月以内に3回目の接種が必要になりそうだ」と述べた
[出典] "Pfizer CEO Says 3rd Dose Likely Needed Within 12 Months" Berkeley Lovelace Jr. CNBC News. Updated 2021-04-15 15:13 EDT. https://www.cnbc.com/2021/04/15/pfizer-ceo-says-third-covid-vaccine-dose-likely-needed-within-12-months.html
ファイザー社のAlbert Bourla CEOは4月1日に録画したビデオ講演で,「ワクチンを2回投与し接種を完了したのち6か月から1年以内に3回目のワクチン接種が必要になり,その後,年1回の接種をしていくことになろう.ただし,確定にはまだ検証が必要」と述べた.なお,ファイザー社とビオンテック社は2月の時点で,「変異株に対する免疫応答を確認することを目的として3回目の接種をテストしている」と発表していた.
また,4月1日に,6ヶ月までの有効性と安全性を確認できた,と発表していた [2021-04-05の項参照].
また,4月1日に,6ヶ月までの有効性と安全性を確認できた,と発表していた [2021-04-05の項参照].
2021-04-05 ファイザー がプレス発表2件にて「12-15歳に有効性100%; 6ヶ月後の有効性91.3%; 重症予防効果 95.3%; 南ア由来変異株にも有効」と発表し, 査読付きジャーナルに投稿予定とした:
1. "Pfizer-BioNTech Announce Positive Topline Results of Pivotal COVID-19 Vaccine Study in Adolescents" Pfizer 2021-03-31. https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-biontech-announce-positive-topline-results-pivotal
- 12 -15歳2,2,60名 (プラセボグループ 1,129名; ワクチングループ 1,131名)を対象とする第3相試験
- COVID-19患者はプラセボグループからの18例のみであり,有効性100%と判定した.
- 二回接種1ヶ月後の中和幾何平均抗体価 (BMTs)が1,239.5と,16-25歳のGMTsの705.1を上回った.
2. "Pfizer and BioNTech Confirm High Efficacy and No Serious Safety Concerns Through Up to Six Months Following Second Dose in Updated Topline Analysis of Landmark COVID-19 Vaccine Study" Pfizer. 2021-04-01 06:45 am. https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-confirm-high-efficacy-and-no-serious
- 46,307名が参加した第3相試験の2021年3月13日までの追跡調査
- 第二回接種後6ヶ月の判定で,COVID-19患者数は927名で,プラセボグループ (プラセボG)から850例,ワクチングループ (ワクチンG)から77例,有効性91.3%となった.
- 米国での有効性は92.6% (COVID-19患者697名; プラセボGから647名, ワクチンGから50名)
- 南アフリカでの有効性は100% (800名のコホートでCOVID-19患者9名全てプラセボG; 9名のうちB.1.351変異株感染者は6名)
- 927名に見られた重症予防効果はCDCの判定基準で100%であり,FDAの判定基準で95.3%となった [FDA判定基準の重症例は,プラセボGから21例,ワクチンGから1名]
- 妊婦および母乳を介した幼児への作用を判定するに十分なデータは得られていない.
Drug Discovery '& Development (Buntz B. 2021-04-01*)によるとファイザー 社は年末までに年に25億回分の生産能力が整い,ビオンテック社は,2021年後半には凍結乾燥版と,現場での希釈や分注を不要とする液体製剤を開発する予定 [* https://www.drugdiscoverytrends.com/pfizer-biontech-covid-19-vaccine-91-3-effective-after-six-months/]
[出典] FDA NEWS RELEASE 2021-02-25. "Coronavirus (COVID-19) Update: FDA Allows More Flexible Storage, Transportation Conditions for Pfizer-BioNTech COVID-19 Vaccine" https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-fda-allows-more-flexible-storage-transportation-conditions-pfizer
2021-02-20 BNT162b2ワクチンについて、通常の医薬品冷凍庫で2週間まで保存可能とするデータと、一回の接種で有効性が90%前後に達するデータが発表された:
[保存温度] ファイザーとビオンテックは、 BNT162b2 mRNA COVID-19ワクチンを通常利用されている医薬品冷凍庫 (-25°C ~ -15°C)で2週間まで保存可能というデータをFDAに提出し、EUAの条件変更が承認されるのを待っている。なお、超低温 ( -80ºC ~ -60ºC)では6ヶ月保存可能とされていた。 [出典] "Pfizer and BioNTech Submit COVID-19 Vaccine Stability Data at Standard Freezer Temperature to the U.S. FDA" Pfizer Press Release. 2021-02-19. 07:00 am EST. https://www.pfizer.com/news/press-release/press-release-detail/pfizer-and-biontech-submit-covid-19-vaccine-stability-data
[一回接種の有効性] FDAに提出されて公開されていた文書に記載されていたデータに基づいて、カナダの研究者が、BNT162b2 mRNAワクチンは1回の接種で有効性は92.6%に達し、モデルナ社のmRNA-1273ワクチンの1回接種による有効性92.1% [2]と同等とし、PolackらのNEJM論文における1回接種の有効性52.4%という報告 [3]は、免疫応答がピークに達していない期間のデータも含んだ解析に由来するとした。
Public Health Englandもレポート [3]の中で、第一回接種から15-28日後に間に有効性が81-91%に達すると算定しており、また、イスラエルのSheba Medical Centerが、主として若年で健康な集団への接種の結果ではあるが、一回接種後の有効性が85%に達すると見ていると報道 [4]されている。
Public Health Englandもレポート [3]の中で、第一回接種から15-28日後に間に有効性が81-91%に達すると算定しており、また、イスラエルのSheba Medical Centerが、主として若年で健康な集団への接種の結果ではあるが、一回接種後の有効性が85%に達すると見ていると報道 [4]されている。
- "Safety and Efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine" Skowronski DM, de Serres G. N Eng J Med 2021-02-17. https://doi.org/10.1056/NEJMc2036242
- Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee meeting. December 17, 2020. FDA briefing document: Moderna COVID-19 vaccine. https://www.fda.gov/media/144434/download
- "Safety and efficacy of the BNT162b2 mRNA Covid-19 vaccine" Polack FP, Thomas SJ, Kitchin N, et al. N Engl J Med 2020-12-10. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2034577
- Israeli study finds Pfizer vaccine 85% effective after first shot. Reuters. 2021-02-19 12:00. https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-israel-vaccine/israeli-study-finds-pfizer-vaccine-85-effective-after-first-shot-idUSL8N2KO72J
[crisp_bio注: タイトルから「開発の大逆転ストーリー」を削除した。
2021-02-14 ファイザー/ビオンテックmRNAワクチン接種後の血清は、英国・南アフリカ変異株にも中和活性を示す.https://crisp-bio.blog.jp/archives/25577470.html
2021-02-06 ブログ記事タイトルを「ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチン, CDCも推奨; 開発の大逆転ストーリー」から「ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチン, 開発の大逆転ストーリー」へ変更
2021-01-12 新型コロナウイルス:ファイザー/ビオンテックのmRNAワクチンは、N501Y変異株にも有効である.https://crisp-bio.blog.jp/archives/25278120.html
2021-01-12 新型コロナウイルス:ファイザー/ビオンテックのmRNAワクチンは、N501Y変異株にも有効である.https://crisp-bio.blog.jp/archives/25278120.html
2020-12-30 [参考] crisp_bio "新型コロナウイルス: ワクチンに関する雑感と専門家からの情報"
2020-12-14 12:30 ロックフェラー大学の船引宏則教授が、mRNAワクチンの種が実を結ぶに至るまでの逆転につぐ逆転のストーリーをツイートして下さいました。mRNAワクチンが画期的であることが良く理解できると共に、"選択と集中"のために打ち捨てられていた種を拾い上げて育てていた目利き達がいたという物語。mRNAワクチンが画期的であることを理解できると共に、研究のあり方・進め方について考えさせられる。
Hironori Funabiki@HironoriFunabi12020-12-14 00:27 FDA (食品医薬品局)のEUA承認に続いて, CDC (疾病予防管理センター)の予防接種の実施に関する関する諮問委員会 (Advisory Committee on Immunization Practices: ACIP)も、会議二日目の12月12日に投票の結果接種推奨すると結論した [https://www.cdc.gov/vaccines/acip/meetings/slides-2020-12-11.html]; 紙谷 聡医師 (エモリー大学小児感染症科)が、被験者数が少なかった18歳未満への接種、妊娠中と授乳中の女性への接種など、要点を「CDCの新型コロナワクチン推奨のまとめ」(和文)にまとめWebで公開しておいでです。米ファイザーと独BioNTechの新型コロナウイルスに対する革命的なmRNAワクチンの接種が明日から始まるが、このワクチン開発にいたるまでの経緯が実に感慨深いので紹介してみる。まさに、大逆転ストーリー。1/22
2020/12/14 08:15:49
2020-12-12 米国東海岸時間の11日にFDAが新型コロナウイルス: ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチンの緊急使用を許可したと報道された。ニューヨークタイムズ紙の記事"初回の出荷は来週米国内向け290万回分"を引用したEric Topolの気持ちが伝わるようなツイートを以下に引用
Eric Topol@EricTopolFDAの公式ニュースリリースはこちら: "FDA Takes Key Action in Fight Against COVID-19 By Issuing Emergency Use Authorization for First COVID-19 Vaccine" FDA NEWS RELEASE 2020-12-11.The FDA just gave the EUA approval for the vaccine
2020/12/12 11:26:22
https://t.co/fFyMKYNvCH
We're onto the vaccination phase in the… https://t.co/gHLzjwWruv
2020-12-11 STAT Newsが、12月10日に開催されたFDAの「ワクチンならびに関連の生物製剤に関する諮問委員会 (VRBPAC)」VIRTUAL MEETINGの1日を追いかけた記事をオンラインで公開している。投票結果は、諮問委員会YouTube版からキャプチャした右図にあるように賛成 17, 反対 4, 棄権 1であったことから諮問委員会はFDAにEUA承認を勧告し、FDAが最終判断する。[出典] "FDA advisory panel endorses Pfizer/BioNTech Covid-19 vaccine" STAT New 2020-12-10 ET.
なお、諮問委員会のビデオ (8時間41分45秒)がリアルタイムで公開され、また、YouTubeでも公開されている [YouTube https://youtu.be/owveMJBTc2I]
YouTubeビデオの8時間37分14秒ごろから投票結果が表示され、各委員の投票行動がアナウンスされている
[crisp_bio注]「自由闊達な議論ができない。本音が聞けない」という理由で、公的な会合でも議事録を録らない、議事録を公開しない、という日本では到底実現不可能な米国のこの透明性については羨ましい限り。
2020-12-03 英国12月7日の週から緊急使用を開始
BBC online news [*]など各種報道によると、医薬品・医療製品規制庁 (Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)が緊急使用を承認し、12月7日の週にケアホームの高齢者とスタッフから接種を開始予定; ベルギーで生産されたBNT162b2 80万回分輸送中; 英国内ではまず-70℃の冷凍保存庫を手配済みの病院へと配送されるため、接種に至るロジスティックスが課題; ジョンソン首相はワクチン接種開始を"fantastic"と歓迎しつつ「これですっかり安心したり, ワクチンとの戦いが終わったなどと思わぬように」とコメント
[*] "Covid-19: Pfizer/BioNTech vaccine judged safe for use in UK from next week" Roberts M. BBC News online 2020-12-03. https://www.bbc.com/news/health-55145696
[crisp_bio] ブログ記事タイトルを「ファイザー社とビオンテック社, mRNAワクチン候補の緊急使用許可をFDAに申請」から「ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチン, 英国で緊急使用承認」へ改訂
2020-11-21 ファイザーとビオンテックは18日、mRNAワクチン(BNT162b2)のEUAをFDAに申請
両社は170名のSARS-CoV-2感染者と18歳以上の8,000名以上の治験参加者からのデータなど提出; 12月にFDAのワクチンならびに関連の生物製剤に関する諮問委員会(Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee: VRBPAC)と両社の間で公開審議が行われ、その後、委員会からの勧告 (recommendation)を受けてFDAが最終決定する; EUA承認後2020年の12月末まで、ハイリスクの層に接種可能となる。
両社は170名のSARS-CoV-2感染者と18歳以上の8,000名以上の治験参加者からのデータなど提出; 12月にFDAのワクチンならびに関連の生物製剤に関する諮問委員会(Vaccines and Related Biological Products Advisory Committee: VRBPAC)と両社の間で公開審議が行われ、その後、委員会からの勧告 (recommendation)を受けてFDAが最終決定する; EUA承認後2020年の12月末まで、ハイリスクの層に接種可能となる。
[出典] Pfizer Webサイト "OUR COVID-19 VACCINE STUDY – WHAT’S NEXT?" 2020-11-20/2020-11-18
2020-11-18 更新 ファイザーとビオンテック, mRNAワクチンの170例の解析結果に基づいて有効率を95%へと改訂
[出典] "Pfizer and BioNTech Conclude Phase 3 Study of COVID-19 Vaccine Candidate, Meeting All Primary Efficacy Endpoints" BIONTECH. Press Release, 2020-11-18.
- BNT162b2の有効率は95%: 第3相試験内で発生したCOVID-19患者170名のうち162名はプラセボ・グループで、ワクチン・グループは8名であった; 重症者10名の中で9名がプラセボ・グループで、1名がワクチン・グループであった。
- 年齢、性別、人種、民族によらず有効であり、65歳以上の成人における有効率は94%を超えた。
- 副作用は疲労 (3.8%)と頭痛 (2.0%)程度で重大な副作用は見られず、米国FDAが求める安全基準を満たした。
- 数日のうちにFDAに緊急使用許可 (EUA)願いを提出する。
- なお、米国FDAは17日に「EUA願いに対する判定の根拠とした科学的なデータと情報のレビュー文書を公開する」と発表した [出典] FDA Statement 2020-11-17 "COVID-19 Update: FDA’s Ongoing Commitment to Transparency for COVID-19 EUAs"
2020-11-15 更新 関連記事へのリンクを追加: 「新型コロナワクチン『効果90%』という中間結果を現時点でどう受け止めるべきか」忽那賢志 (感染症専門医, 国立国際医療研究センター). Yahooニュース 2020-11-15.
2020-11-10 更新 新型コロナウイルス: ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチン候補, 有効率90% (94例での判定)
[出典] NEWS "Pfizer and Biontech announce vaccine candidate against COVID-19 achieved success in first interim analysis from phase 3 study" [参考] モデルナ社のmRNAワクチンに関するcrisp_bio記事はこちら: [20201024更新] 新型コロナウイルス: モデルナ (Moderna) のmRNAワクチン第3相試験, 終盤へ[crisp_bio注] 解析の対象とされた治験参加者数と解析を予定している治験参加者数について混乱していた点を2020年11月10日11:24 amに整理し直し、テキストを改訂 (黒下線部)しました。
11月9日にPfaizerは独BioNTechと第3相試験 (NCT04368728)を進めていたBNT162b2について、第三者委員会であるData Monitoring Committee (DMC)の解析結果として「新型コロナウイルスのスパイクタンパク質をコードするmRNAワクチン候補の第3相試験の第1回中間解析の結果、有効率 (effective)が90%を超えた」と発表した [注 論文発表は伴っていない]。
- 今回のプレスリリースは、治験開始前にはSRAS-CoV-2に感染していないことを確認し、治験中に感染が確定した94名についての解析結果である。今後、感染者164名に達するまで治験を継続し、最終判断に至る。有効率90%は、「感染者94名のうち90%が偽薬グループであり、ワクチン接種グループは10%未満」を意味する。
- ワクチンを接種したグループとプラセボ (偽薬)を接種したグループについて、第2回目の接種をしてから7日目 (第1回接種から28日目)の時点でのデータ解析に基づいている。
- 安全性マイルストーンを達成次第 (11月第3週を目指している)、FDAに緊急使用許可* (EUA)を申請する。[*] FDAのEUAの審査は数週間を要すると言われているところ、FDAは9月にCOVID-19ワクチンについては承認へのハードルを上げると発表している: "FDA Setting Higher Bar for Emergency Covid Vaccine Clearance" Edney A. Bloomberg. 2020-09-11
- 7月27日に開始した第3相試験の治験参加者は43,538名に達し、11月8日までに38,955名が第2回接種を完了したところで、重大な安全性の問題は発生していない [注: 治験参加者の42%は人種・民族が多様]。
- 治験参加者の追跡調査を、第2回接種から2年間継続する。
- 2020年のうちに接種5,000万回分 (2回接種のため2,500万人分), 2021年に13億回分を生産する予定でいる。また、第3相試験のフルレポートを査読付き論文誌に投稿する予定である [参考: 第1相試験からの論文: "Immunogenicity and structures of a rationally designed prefusion MERS-CoV spike antigen" Walsh et al. NEJM 2020-10-14]
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2020-10-15 初稿: 新型コロナウイルス: 独BioNTechと米ファイザーのmRNAワクチン治験, 12-17歳も対象に
[出典] "Will Kids Get A COVID-19 Vaccine? Pfizer To Expand Trial To Ages 12 And Up" Aubrey A. NPR News. 2020-10-13.両社は、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質をコードするmRNAワクチンの第1/2相試験を米国とドイツで進めていたが、その良好な中間結果に基づいて、18-85歳を対象としてワクチン候補 'BNT162b2'を30μgを2回投与する3万人規模の大規模な第2/3相試験を開始すると、2020年7月27日に発表 [1]した。続いて、3万人規模の達成が見えてきたところで、9月12日に、治験を44,000人規模へと拡張すると発表 [2]した。
その後、10月13日になって、FDAが12~17歳を治験の対象とすることを承認したことが一斉に報道された。この間に、SARS-CoV-2は成人だけでなく子供たちにも感染し (50万人を超えるとも言われている)、多くは軽症または無症状であるが、他への感染能を帯びることが明らかになっていた。
ファイザー社のWebサイト [3]によると、第2/3相試験は、4ヶ国120ヵ所で進行中であり、参加者は37,864名に達し (56-85歳が42%)、そのうち、31,062名が2回目の接種を終えている。なお、参加者に占めるアジア系の割合は4%である。
[参考]
米国NIHとFDAが共同でNLMから公開している治験登録データベースClinicalTrials.govには、2020年10月15日の時点で、COVID-19/SARS-CoV-2を対象とするワクチンや抗体医薬などの治験が3,611件登録されている (同一主催者からの複数登録もカウント)。独BioNTechと米ファイザー両社の第2/3相試験のデータベース登録番号はNCT04368728である。
[ファイザー社からの情報公開]
- "ファイザーとBioNTech、COVID-19に対するmRNAワクチン候補を決定し、国際共同第2/3相試験を開始" ファイザー株式会社, 2020-07-29
- "ファイザーとBioNTech、COVID-19ワクチン主要試験の拡大を提案"ファイザー株式会社, 2020-09-14
- Webサイト: OUR PROGRESS IN DEVELOPING A POTENTIAL COVID-19 VACCINE https://www.pfizer.com/science/coronavirus/vaccine
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