[出典] "Abrogation of HLA surface expression using CRISPR/Cas9 genome editing: a step toward universal T cell therapy" Lee J, Sheen JH [..] Kim M. Sci Rep. 2020-10-20. https://doi.org/10.1038/s41598-020-74772-9

 MOGAM Institute for Biomedical Research (韓国)の研究グループは今回、標題の手法により、自家T細胞をベースとすることなく
他家T細胞をベースとするユニバーサルCAR-T療法の可能性を広げるに至った。
  • HLA-IとHLA-IIの発現を除去することを目的として、B2M (β2ミクログロブリン)とHLA-IIのα鎖 (DPA, DQA, およびDRA)をそれぞれコードする遺伝子を標的とするgRNAs候補を、複数のgRNAs設計ツール (CHOPCHOP, E-CRISPおよびCRISPR-ERP)を組合せて各遺伝子ごとに60種類選び出し、さらに、Raji細胞において編集活性を判定し、最適なgRNAへと絞り込んだ。
  • CRISPR-Cas9と多重なgRNAsによる多重遺伝子編集を介して、ヒト初代T細胞からHLA-I欠失またはHLA-I/II欠失T細胞を作出した。この多重遺伝子編集は、表現型もエフェクターとしての活性にも影響を及ぼさなかった。
  • 一晩の混合リンパ球反応 (mixed lymphocyte reaction: LPR)において、HLA-I欠失がIFN-γおよびTNF-αの生成を抑制し、HLA-I/II欠失がHLA-I欠失よりも強く炎症反応を抑制することを見出した。
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