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論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "SNP CRISPR: A Web Tool for SNP-Specific Genome Editing" Chen C, Rodiger J, Chung V, Viswanatha R, Mohr SE, Hu Y, Perrimon N. G3 (Bethesda) 2020-02-06

スクリーンショット 2020-10-30 11.01.03 Harvard Medical Schoolの研究グループは、CRISPR/Cas9ゲノム編集において、参照(標準)ゲノムをベースとして設計されるsgRNAsは、非標準ゲノム、遺伝的背景が異なるゲノム、および、疾患の病因となることもあるSNPを帯びたアレル、を標的とする場合には、必ずしも最適ではないという問題意識のもとに、WebツールSNP-CRISPRを開発し [*]、そのWebアプリケーションとソースコードをそれぞれhttps://www.flyrnai.org/tools/snp_crispr/ttps://github.com/jrodiger/snp_crisprから公開した
[*] Webサイトの紹介ページ (About)を画面キャプチャした右図参照。
  • プログラム開発に着手する前に、CHOPCHOPから始まる22種類のsgRNA設計ツール (原論文Table 1 https://www.g3journal.org/content/10/2/489#T1参照)を評価し、その半数 (11種類)が変異特異的sgRNAs設計機能を備えているがウエット実験研究者 (bench scientists)には極めて使い勝手が悪いとした:
     いわく、「関心のある変異を含む領域のゲノム配列をデータベースから抽出し、変異領域を選択的に標的するsgRNAsを設計することを求められる。例えば、エクソンとイントロンの境界の近傍の変異の場合は、エクソンの配列とイントロンの配列の双方を検索・ダウンロードし、プログラムへアップロードすることになる; バッチ処理に対応しているプログラムは少ない; 多重なSNPsをそれぞれ独立に標的とするか、グループとして同時多重で標的とするかを選択できない; 変異型と野生型それぞれに対するsgRNAsプログラム内で比較することができない」。
  • SNP-CRISPRはこうした課題を解決した。例えば、多重なSNPsをアップロードし、近傍の一塩基、または多重塩基を同時に標的可能とする単一のsgRNAの設計を可能とした。また、公開されている変異データセットまたは利用者独自の変異データセットを入力とし、変異型と野生型の双方それぞれについて、編集効率と特異度のスコアを出力する。
  • SNP-CRISPRは、2020年10月30日時点でショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウス、ラットおよびイネに対応している。
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