[出典] "Prime Editing in Mice Reveals the Essentiality of a Single Base in Driving Tissue-Specific Gene Expression" Gao P, Lyu Q [..] Long X, Miano JM. bioRxiv 2020-11-09. [Preprint]

 一塩基変異 (SNVs)のほとんどは、数百万の転写因子結合サイト (TFBS)が分布しているノンコーディング配列で発生する。Medical College of Georgia at Augusta University, St. Jude Children’s Research Hospital, Broad Institute, Albany Medical College, Synthego CorporationおよびCornell Uの研究グループは今回、マウスにおいて、CRISPRが誘導する相同組み換え修復 (HDR)と、PE2 [crisp_bio 2019-10-22]による塩基変換を比較する中で、PE2を介した1塩基置換により、組織特異的編集の可否に関与する塩基の特定が可能なことを示した。
  • マウスにおいてTspan2遺伝子のプロモーター領域におけるCArGボックスにおいて単一のTFBSの必須性を証明した。
  • HDRを介したTspan2 CArGボックスの3塩基対の置換効率は、ファウンダーマウスにおいて20/37 (54%)であった。
  • HDRの場合と同じプロトスペーサをベースとしたPE2によるTspan2 CArGボックスの1塩基編集の効率は、ファウンダーマウスにおいて12/47 (26%)であった。また、大動脈膀胱ではTspan2の発現が~90%減じたが、心臓またはではTspan2の発現の変動が見られなかった。
  • シーケンシング解析から、HDRにしてもPE2についても全てのファウンダーにおいてオンターゲット編集を確認できた。一方で、オンターゲットサイトでのindels発生とオフタゲーット編集が、HDRファウンダーのみに見られた。
 本研究は、PE2により、高精度なTFBSの編集、および、Cre/loxP に依存することなく1塩基置換による組織特異的遺伝子不活性化が可能であり、PE2が、マウスにおいてノンコーデョングSNVsのモデリングと修復に強力なツールであることを示した。