[出典] "Genome editing in plants using CRISPR type I-D nuclease" Osakabe K [..] Osakabe Y. Commun Biol 2020-11-06

 徳島大学の刑部敬史グループはMicrocystis aeruginosa 由来のCRISPR I-D (
M. aeruginosa TiD: MaTiD)のCas10dヌクレアーゼの機能を同定し、ヒト細胞ゲノム編集が可能なことを2020年3月にbioRxiv 投稿していたが[crisp_bio 2020-09-24参照]、今回、MaTiDによる植物ゲノム編集論文を明治大学との共同でCommunication Biology 誌に発表した。
  • MaTiDは8種類のCas遺伝子(Cas1d-Cas7d, Cas10d)とCRISPRアレイ (36 リピート-スペーサ・ユニット)で構成 [Fig. 1引用右図参照]され、2021-06-05 12.09.25クラス1タイプ1のサブタイプD (I-D)に分類される。
  • クラス1タイプIのCRISPRシステムは,クラス2タイプIIのエフェクターCas9と対照的にCasサブユニット複合体からなるCascadeがエフェクタターであり,タイプIのサブタイプの多くでCascadeの中のCas3がヌクレアーゼ・ドメインを帯びている
  • MaTiDはタイプIに属するが,MaTiDのCas3はDNA切断活性を担うHDヌクレアーゼ・ドメインを欠き,その一方で、Cas10dがHD様ヌクレアーゼ・ドメイン*を帯び、in vivoでヌクレアーゼ活性を発揮する [* タイプIIIファミリーのCas10sからは遠縁であり、タイプI-B/-C/-E/-FのCas3のHDドメインに似たドメインを帯びている]
  • MaTiDをガイドするRNAは標的として、Cas9をガイドするRNAが20塩基の配列を認識するのに対して,30塩基以上の長さの配列を認識することから、標的特異性がCas9より高いことを期待できる. また,Cas9と異なりPAM配列として、GTA, GTC, およびGTTの3種類を認識する
  • MaTiDとCas10dヌクレアーゼの活性をNanoLucルシフェラーゼレポーターを介してHEK293T細胞のAAVS1遺伝子、トマトのSlIAA9遺伝子およびイネのNADK2遺伝子を標的として、確認した [挿入図参照]
  • トマト (Solanum lycopersicum L.: Sl)のSlIAA9遺伝子とSlRIN遺伝子を標的として実験を進めた
  • MaTiDによる編集はCRISPR/Cas9と異なり、標的サイトから双方向の大規模な削除 (∆2463 nt;∆4305 nt; ∆4930 nt; ∆7257 nt )と、短いindelsを残した。また、F1世代に両アレル変異をもたらした。
  • MaTiDのオフターゲット候補配列は、トマトゲノムに加えてシロイヌナズナおよびイネについて、SpCas9よりも少数であった.