crisp_bio

科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

2023-05-27 Metagenomi Incからの新規論文紹介を追記
"Novel CRISPR-Associated Gene-Editing Systems Discovered in Metagenomic Samples Enable Efficient and Specific Genome Engineering" Lamothe RC [..] Cost GJ. CRISPR J 2023-05-23. https://doi.org/10.1089/crispr.2022.0089 [著者所属] Metegnomi Inc.
 メタゲノムから発見した3種類の新奇CRISPR-Casシステムが、初代免疫細胞における再現性が高い高効率な遺伝子編集を実現可能なことを示し、免疫療法に有望なツールであるとした。
  • ヒトT細胞において、それぞれヒトマイクロバイオームと熱水噴出孔に由来するタイプII (MG3-6とキメラバージョンのMG3-6/4)およびタイプV (MG29-1) の3種類のCRISPR-Casシステムが、TCRα鎖の破壊 > 95%、TCRβ鎖の両パラログの破壊 >  90%、および β2ミクログロブリン, TIGIT, FAS  ならびにPDCD1 のKO > 90% の効率を達成した。
  • TRAC TRBC のダブルノックアウトの効率は、それぞれを単独にノックアウトした場合の効率と同等であった。
  • T細胞の生存性への影響はミニマルであった。
  • TRAC へのCARのノックイン効率は ~60%に達し、CARの発現と細胞障害性も確認された。
  • T細胞の他に、NK細胞、B細胞、造血幹細胞およびiPS細胞においても、T細胞の場合と同様の効率で遺伝子編集が可能なことも確認し、さらに、CAR-NK細胞を作出した。
  • 新奇CRISPR-Casシステムの特異性はSpCas9に優り、また、非病原性微生物由来のためか、液性免疫と細胞性免疫がみられなかった。 
2022-12-20 Metegenomi Incからの論文紹介crisp_bio記事へのリンク追記:未培養微生物から小型かつゲノム編集に利用可能なCas9dとHEAROを発見;"Compact Cas9d and HEARO enzymes for genome editing discovered from uncultivated microbes" Goltsman DSA [..] Brown CT. Nat Commun 2022-12-15.

2021-06-06
Metagenomi, IncのグループによるメタゲノミクスからのType IIファミリーの発見に関するスライドへのリンクおよび関連crisp_bio記事へのリンクを追加: 
2020-11-13 初稿
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[出典] "Novel Type V-A CRISPR Effectors Are Active Nucleases with Expanded Targeting Capabilities" Goltsman DSA [..] Brown CT, Thomas BC. CRISPR J. 2020-11-03

 タイプIIのエフェクターSpCas9に続いてタイプV-AのエフェクターCas12a (Cpf1)の応用が広がっている。Cas12aは、オフターゲット活性が低い、gRNAが小型 (42-44 nt)、自身がgRNAをCRISPRアレイの転写から生成し多重化が容易、粘着末端を誘導するといった特徴を備えている。

 これまで発見されたCas12aオーソログのPAM配列は、LbCas12aとAsCas12aの5′-TTTV-3′, FnCa12aの5′-TTV-3′ からはじまり、最近、YTV, YYN, またはTTNをPAMとするオーソログが発見されたが、Metagenomi, Incは今回、多様な環境のメタゲノム解析からタイプV-Aエフェクターの幅を大きく広げた。
  • 土壌、バイオフィルム、堆積物およびヒトと動物のマイクロバイオームからのシーケンシングデータ (140,867 Mbp)から、タイプV-A CRISPRヌクレアーゼを同定・解析・分類し、14種類の新たなタイプV-Aファミリーを得て、ヌクレアーゼをCas12a-MX-Yの形式で命名した。ここで、Mはメタゲノム由来を意味し、Xはファミリー識別子、Yはファミリーの中のメンバーの識別子を意味する。
  • 新奇Cas12aヌクレアーゼのサイズは、1,000~1,400 aaの範囲であった。
  • PAM配列の多くはTリッチな2塩基または3塩基であったが、YYNとプリミジン塩基からなる配列もあった。
  • タイプV-Aシステムの一部にはタイプV-Aから遠縁のエフェクターがコードされていた (タイプV-Lと命名)。
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