[出典] "RNAi-mediated Control of CRISPR Functions" Huang X, Chen Z, Liu Y. Theranostics. 2020-05-17.

 RNAiによるCRISPR/Cas9の制御はこれまで、Cas9 mRNAの5'UTR [1]またはsgRNAの5'末端と3'末端に [2]miRNAを挿入または結合する手法によって実現されてきたが、深セン市第二人民病院は今回、sgRNAを標的とする人工のmiRNA (artificai miRNAs: amiRNAs)を設計・作出しRNAiを増強するエノキサシンと併用し、加えて、miRNAスポンジを利用することで、CRISPR/Cas9の活性制御と編集の精度向上を実現した [Figure 7引用右下図参照]。2020-11-19 16.14.08
  • sgRNAのバックボーンを標的するamiRNAとエノキサシン (< 50 μM)によって、細胞内のCRISPR/Cas9システム全ての活性を阻害
  • sgRNAのスペサーを標的とするamiRNAとエノキサシンによって、そのスペーサーに相補的な配列の領域に対するCas9/sgRNAの活性を選択的に阻害
  • オフターゲット・サイトでの活性を選択的に阻害
  • 加えて、細胞内在のmiRNAsがCas9/sgRNAの活性を阻害することを示し、この影響をmiRNAスポンジを介して排除することで、Cas9/sgRNAの編集効率向上を実現
  • amiRNA/エノキサシンの効果はHEK293T細胞とマウスin vivoの双方で実証し、miRNAスポンジの効果はHEK293T細胞で実証した。
  • amiRNAはエノキサシン存在下で、sgRNA発現の直接阻害ではなく、sgRNAとCas9の結合を効果的に阻害することで、Cas9-sgRNAシステムの活性を抑制する。
 [参考論文とcrisp_bio記事]
  1. 2017-05-22 細胞種に応じてゲノム編集を制御する:  (2017). "Cell-type-specific genome editing with a microRNA-responsive CRISPR-Cas9 switch" Hirosawa M, Fujita Y, Parr CJC, Hayashi K, Shunnichi Kashida S, Hotta A, Woltjen K, Saito H. Nucleic Acids Res. 2017-05-19.
  2. 2019-03-10 マイクロRNA (miRNA)で活性化可能なCRISPR-Cas9プラットフォームを開発し、miRNAレポーターと簡便な細胞型特異的遺伝子編集法を実現