2021-04-15_2 タイトルを「オックスフォード大・アストラゼネカのワクチン1回接種, 90日間有効性を維持」から「オックスフォード大・アストラゼネカのCIVD-19ワクチンVaxzevria」へと改題
2021-04-15_1 欧州医薬品庁 (EMA)と英医薬品・医療製品規制庁 (MHRA)は7日、アストラゼネカ製ワクチン"Vaxzevria"使用に関して注意喚起した.
[出典] "AstraZeneca’s COVID-19 vaccine: EMA finds possible link to very rare cases of unusual blood clots with low blood platelets" European Medicines Agency 2021-04-07. https://www.ema.europa.eu/en/news/astrazenecas-covid-19-vaccine-ema-finds-possible-link-very-rare-cases-unusual-blood-clots-low-blood"MHRA issues new advice, concluding a possible link between COVID-19 Vaccine AstraZeneca and extremely rare, unlikely to occur blood clots" 2021-04-07.
  • 2021年3月22日時点で,欧州および英国において~250万人がアストラゼネカ社のCOVID-19ワクチン"Vaxzevria"の接種を受け,脳静脈血栓症/cerebral venous sinus thrombosis (CVST)と脾静脈血栓症/splanchnic vein thrombosis (SVT)の発症例それぞれ62例と24例 (死亡 18例)が発生していた.
  • 欧州医薬品庁 (EMA)は,ワクチン接種後2週間以内,60歳以下の女性に血小板減少症を伴う脳,腹部,および動脈における血栓発症を極めて希な副作用と認定し,ワクチン接種後2週間以内の注意喚起を呼びかけた [*]
  •  [*] 症状として,息切れ,胸の痛み,下肢の腫れ,持続的な腹痛,持続的頭痛または目のかすみなどの神経症状,接種部位以外における皮下の点状出血斑
  • その上で,COVID-19の予防効果が副作用のリスクを上回るとした.
 報道によると各国政府の受け止め方は様々なようである ["新型コロナウイルスワクチン「血栓」で混乱…各国政府、ベネフィット強調も対応に追われる" Andswers News. 2021-04-12. https://answers.ten-navi.com/pharmanews/20875/]

[crisp_bio注] アストラゼネカのワクチンは,複製欠損性チンパンジーアデノウイルスをベースとしている.J&J製ワクチンは,非増殖型アデノウイルス26ベクターをベースとしている.

2021-02-04 Oxford COVID Vaccine Trial GroupのLANCET誌プレプリント投稿に応じて、ブログタイトルを「..., 英国で緊急使用承認」から「...1回接種, 90日間有効性を維持」に改訂
[出典] "Oxford coronavirus vaccine shows sustained protection of 76% during the 3-month interval until the second dose" Oxford News 2021-02-02.; "Dose Administration, And The Influence Of The Timing Of The Booster Dose On Immunogenicity and Efficacy Of ChAdOx1 nCoV-19 (AZD1222) Vaccine" Voysey M et al. Preprints with THE LANCET. 2021-02-01.
 オックスフォード大学は2021年2月2日にアウトラゼネカと共同開発し、
プライミング接種とブースター接種の2回接種で緊急使用を承認されていたChAdOx1 nCoV-19 (AZD1222)ワクチンの性能について新たな知見を発表した。
  • 英国とブラジルの第3相試験と英国と南アフリカでの第1/2相試験の参加者17,177名の2020年12月7日までのデータ*を解析した。[*] 第1回ブースター接種が低用量 (LD)の場合と標準用量 (SD)のデータが混在している。
  • ウイルス陽性になった感染者は619名であり、その中で、有症感染者は332名であった。
  • 治験において、ブースター接種を辞退した参加者と、ワクチン製造が間に合わずブースター接種が遅れた参加者が存在したことから、第1回接種の比較的長期にわたる効果と、2回接種の間隔の影響の分析が可能になった。また、英国での治験中の感染者のボランティアから毎週、鼻と喉のスワブ検体を提供を受けPCR陽性率を判定した。
  • 第1回接種 (SD)の有効性: 22日から90日まで、有症感染に対して76% (95%信頼区間, 59%, 86%)の有効性を維持したが、無症状感染に対する有効性は16% (95%信頼区間 -88%, 62%)に留まった。
  • 2回接種の間隔が有効性に与える影響:第1回接種と第2回接種 (SD/SD)の間隔が12週間以上の場合、有効性は82.4% (95%信頼区間 62.7% - 91.7%; > 12週間)であり、6週間未満の場合の 54.9% (95%信頼区間 32.7, 69.7%)よりも高いことが判明した。免疫原性のデータもこれを裏付けた。
  • 英国における無症状感染者のスワブ解析から、第1回プライミング接種によってPCR陽性率が67%減少し、第2回ブースター接種後にPCR陽性率が全体で49.5%減少し、ワクチンがウイルス陽性者の減少を介して感染拡大を抑制することが示唆された。
2021-01-01 12月30日に英国医薬品・医療製品規制庁 (Medicines and Healthcare Products Regulatory Agency, MHRA)はアストラゼネカ社とオックフフォードが治験を進めていたウイルスベクターワクチンChAdOx1-S (AZD1222)の緊急使用を承認した。
[出典] "Information for healthcare professionals and the public about the COVID-19 Vaccine AstraZeneca" MHRA 2020-12-30. https://www.gov.uk/government/publications/regulatory-approval-of-covid-19-vaccine-astrazeneca; "Covid: What is the Oxford-AstraZeneca vaccine?" BBC NEWS 2020-12-30. https://www.bbc.com/news/health-55302595
  • ChAdOx1-Sは、SARS-CoV-2のスパイク(S)糖タンパク質をコードしている複製欠損性チンパンジーアデノウイルスをヒトHEK293細胞で生産する遺伝子組み換え体である。
  • 4週間から12週間の間に同量0.5 mlを2回注射する。
  • 対象は18歳以上であり、有効性と安全性が18歳未満については確定しておらず、65歳以上についての有効性と安全性のデータが限られている。
  • PDF版のp.7のTable 2に有効性のデータがまとめられている。
2020-11-26 更新 ミスから生まれた有効率90%とその謎

(1) 半量/全量のレジメンが生まれた経緯
[出典] "Oxford Covid vaccine hit 90% success rate thanks to dosing error" The Guardian 2020-11-23.
 11月23日にオックスフォード大学がプレス発表したアストラゼネカと共同開発してきた新型コロナウルスワクチン候補の発表には、「全量二回接種の有効率が62%、半量と全量の接種の有効率が90%」と「ミスプリント」かと思わせる部分があった。これに対して、The Guardianが、そもそも「半量/全量のレジメンは、接種ミスから始まった」と報道した。
 4月末から接種を始めたところ、副作用が想定よりも軽い事例が続き、再確認したところ、半量接種と相関していたことが判明した。しかし、~ 3,000名に対して半量/全量のレジメンも継続したところ、その方が全量/全量のレジメンよりも有効率が高い結果に至った。

(2) 半量/全量レジメンの有効率が高い理由は謎
[出典] NEWS "Why Oxford’s positive COVID vaccine results are puzzling scientists" Callaway E. Nature. 2020-11-23.
 オックスフォード大学・アストラゼネカのワクチン候補は、チンパンジー由来のウイルスを不活化 (複製不可)したアデノウイルスをベースとし、体内でSARS-CoV-2スパイク・タンパク質の生産を促し、ヒトの免疫応答を活性化する。
仮説 1: 治験の規模 (131名のCOVID-19感染者)が半量/全量と全量/全量の有効率の差を見るに小さすぎる。事例が今後増えた後は、両者の差はなくなる。なお、現時点で、半量/全量の有効率は66%まで低下する可能性もあるとする研究者もいる。
仮説 2: 半量接種の方が効果的にT細胞を活性化する。
仮説 3: このワクチン候補は, SARS-CoV-2スパイクタンパク質に対する免疫応答に加えて、チンパンジーに由来するアデノウイルスベクターに対する免疫応答も誘導するが、1回目の全量接種は、後者の免疫応答を抑制する。
仮説4: 先行研究にてマウスに対するワクチン接種実験で低用量のワクチンが高用量よりも効果的な例を経験した研究者はこれを、一回目の低用量接種は二回目の接種によるメモリー免疫細胞をより迅速に確立するため,
と考えている。

2020-11-23 更新 ブログ記事のタイトルを「アストラゼネカのワクチン高齢者にも有効」から「オックスフォード大・アストラゼネカのワクチンも有効率90%達成」に改訂
[出典] Oxford University News 2020-11-23 "Oxford University breakthrough on global COVID-19 vaccine". https://www.ox.ac.uk/news/2020-11-23-oxford-university-breakthrough-global-covid-19-vaccine
 オックスフォード大学はアストラゼネカと共同で、第3相試験の2020年11月4日までのデータに基づいて、新型コロナウイルスワクチン候補ChAdOx1 nCoV-2019の感染予防効果を確認したと発表した。
  • 第3相試験において発生した131名のCOVID-19感染者のデータに基づいて、2種類の接種パターンの結果を総合して有効率70.4%を達成: 2回全量接種のパターンで62%; 第1回半量, 第2回全量接種のパターンで90%
  • ワクチン候補接種者において無症状感染が抑制され、ウイルス伝播の抑制効果があることが示唆された。
  • ワクチン候補接種者に重篤な副作用は見られなかった。
  • 2020年4月以来、24,000名を超える治験参加者に由来するデータが蓄積され、年末までに60,000名のデータを蓄積する予定である。
  • ChAdOx1 nCoV-2019は実績があるアデノウイルスベクター・ワクチンの一種であり、また、冷蔵庫 (2-8 °C)で保管可能なことから、これまでの医療システムの中で接種していくことが容易である。
  • 大量生産が10カ国で進行中である。
  • 緊急使用を含む承認を求めるために、第3相試験からの有効性と安全性のデータを英国、欧州およびブラジルの当局に提供し、また、査読付ジャーナルに投稿する予定である。
---------------
[出典] "Safety and immunogenicity of ChAdOx1 nCoV-19 vaccine administered in a prime-boost regimen in young and old adults (COV002): a single-blind, randomised, controlled, phase 2/3 trial"  Ramasamy MN et al (Oxford COVID Vaccine Trial Group). Lancet 2020-11-18 ; ClinicalTrials.gov NCT04400838.

 アストラゼネカとオックスフォード大学の新型コロナウイルスに対するアデノウイルスベクター・ワクチンChAdOx1 nCoV-19の560名の参加者を対象とする第2/3相試験のうち第2相試験からの報告がThe Lancetにて公開された。
  • 参加者は18-55歳 160名, 56-69歳 160名, および70歳以上 240名であった。年齢によらずワクチンの効果が見られ、また、ワクチンに起因する重大な副作用も見られなかったが、ワクチンに対する忍容性は、若年者よりも高齢者の方が高い結果となった。
  • SARS-CoV-2のスパイクタンパク質に抗する抗体が、70歳以上を含む接種 (筋肉注射)者全員に誘導され、2回目の接種後28日の時点でブースター効果が維持されていた。細胞免疫応答もまた接種者全員に誘導され、接種後14日でピークに達した。
  • ワクチンの有効性と安全性を確認するための第3相試験が、英国、ブラジルおよび米国で進行中である。