[出典] "Next-Generation Lineage Tracing and Fate Mapping to Interrogate Development" VanHorn S, Morris SA. Dev Cell. 2020-11-19.

 細胞系譜追跡 (lineage tracing)の研究分野は細胞運命マッピング (fate mapping)の研究から生まれた。近年、細胞系譜追跡技術は、単一細胞トランスクリプトミクスと空間的トランスプリプトミクス (spatial transcriptomics; Nat Rev Genet 2019 ; Wikipedia)といった技術の発展とともに長足の進歩を遂げたが、細胞運命地図の鍵となる空間情報を捉えることはできない。一方で、1970年代以降、細胞運命地図を描く技術の進歩は、細胞系譜追跡技術と異なり停滞し、高精度な細胞運命地図を描くに至っていない。

 WUSTLの著者らは今回、細胞運命マッピングと細胞系譜追跡の研究の歴史を辿り、階層的な細胞系譜の再構成の限界を乗り越える単一細胞ゲノミクスの進歩に焦点を当て、新興技術によってもたらされた発見を取り上げながら、新興技術による空間情報を統合を論じた。その上で、次世代のダイナミックな細胞運命地図の概念を提示し、そのために必要な技術開発を論じた。

[レビューから引用した図のリスト]
  • 図1 細胞運命マッピングと細胞系譜追跡の対照
  • 図2 細胞系譜追跡技術の進化
  • 図3 単一細胞系譜追跡法におけるバーコードの継承: CellTagging; scGESTALT; MEMOIR; CARLIN; TracerSeq
  • 図4 空間トランスクリプトミクス技術: smFISH; MERFISH; SeqFish+; Slide-seq
  • 図5 高次元でダイナミックな細胞運命地図構築に向けたデータ統合: 細胞運命マッピング技術 (生細胞イメージング; 深層学習; ライトシート顕微鏡) + 空間的トランスクリプトミクス (in situシーケンシングと図4の手法) +マルチオミックス (scRNA-seq, CITE-seq, scATAC-seq, sci-MET) + 細胞系譜追跡 (図3の手法とscartrace; LINNAEUS)
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