2021-09-23 eLife 論文の書誌情報を追記し図の一部を引用
2021-12-14 bioRxiv 投稿をベースとした初稿
[出典] "An Optimized CRISPR/Cas9 Approach for Precise Genome Editing in Neurons" Fang H, Bygrave AM, Roth RH, Johnson RC, Huganir RL. (bioRxiv. 2020-11-30) eLife 2021-03-10. https://doi.org/10.7554/eLife.65202

 Johns Hopkins University School of Medicineの研究グループが、非翻訳領域を標的とする一対のsgRNAsを利用することで、INDEL変異誘導を抑制しつつ神経細胞内在遺伝子に長いDNA断片を精密にノックインする手法"TKIT"を開発した。TKITは、Targeted Knock-In with Two-guidesに由来する。

 TKITを利用して、マウスとラットに由来する初代培養神経細胞において、受容体サブユニットのAMPAとNMDAへの、pH依存性GFP変異体"Super Ecliptic pHluorin (SEP)"とその他のタンパク質タグのノックイン、ひいては、タギング、に成功した。

 また、マウスin vivoでも、子宮内エレクトロポレーション法またはウイルスベクター注入により、TKITによる精密ノックインが可能なことも実証した。

TKIT法について
  • HITI [*]により分裂後細胞においてCRISPRシステムを介した遺伝子ノックインによるタンパク質標識が実現していたが、HITI法ではエクソンを直接標的とするためにINELs変異がもたらすリスクを伴っていた。
  • TKIT法では、2021-09-23 8.26.10関心のあるタンパク質コーディング遺伝子のエクソン (仮にXとする)の左右に位置する非翻訳領域を標的とする2種類のgRNAsと、内在エクソンXと同一の配列にタグの配列を融合したドナーDNAを利用する [Figure 1の(A)~(D)を右図に引用]。
  • AMPA受容体のサブユニットGluA2の標識にあたっては、それをコードするGria2 遺伝子の5'-UTRとエクソン1とエクソン2の間のイントロン領域を標的とするgRNAsペアを利用した。
[*] crisp_bio 2019-08-30 HITI法からSATI法へ進化 - 早老症モデルマウスの点変異修復