crisp_bio

論文・記事紹介:CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム工学, エピゲノム工学, 代謝工学/遺伝子治療, 分子診断/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野); タンパク質工学;情報資源・生物資源;新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症;研究公正

[出典] "Structure of the miniature type V-F CRISPR-Cas effector enzyme" Takeda SN [..] Nishimasu H, Nureki O. Mol Cell. 2020-12-16. https://doi.org/10.1016/j.molcel.2020.11.035 (2020-12-17の時点ではDOI無効); https://www.cell.com/molecular-cell/fulltext/S1097-2765(20)30835-2
[構造情報] EMDB 30299/PDB 7C7L : Cryo-EM structure of the Cas12f1-sgRNA-target DNA complex (2020-12-17時点でHPUB)
  • 西増・濡木グループは今回、タイプV-F CRISPR-Casエフェクター, Cas14aとしても知られているCas12f, とsgRNAおよび標的DNAの三者複合体の構造をクライオ電顕法により3.3 Åの分解能で再構成し、Cas9と異なりCas12fが非対称的二量体を形成していることを発見した。さらに、変異導入実験なども行なってCas12fが二本鎖DNA (dsDNA)を切断する分子機序を詳らかにした。
  • Cas12f (529-aa)はSpCas9 (1368-aa)さらにはSaCas9 (1053 aa)よりもはるかに小型であり、ウイルスベクターによるデリバリの観点から今後の応用展開を期待できる。
 本研究の日本語解説が東京大学・大学院理学系研究科・理学部のプレスリリースから公開されている:ゲノム編集のための最小のはさみ - CRISPR-Cas12fの立体構造を解明 - 武田 聖(生物科学専攻 修士課程1年); 西増 弘志 (先端科学技術研究センター 教授); 濡木 理(生物科学専攻 教授)https://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/press/2020/7160/

Cas12fとは [CRISPRメモ_2020/04/10 [第1項]を以下に引用)
  • Cas12fクラス2 タイプV-Fに分類されている小型 (422–603 aa)のCRISPR-Cas12fファミリー10種類が5' T- またはCリッチなPAM配列を認識し、sgRNAに誘導されて標的dsDNAを切断し (Figure 1から引用した右図のCRISPR-Cas遺伝子座とエフェクタタンパク質の構成図を参照)、ファミリーの一部がE. coliを侵入dsDNAから保護することを同定した。また、標的ssDNA切断と同様に標的dsDNA切断が、ssDNAコラテラル切断活性を示すことも同定した。
  • [出典] "PAM recognition by miniature CRISPR–Cas12f nucleases triggers programmable double-stranded DNA target cleavage" Karvelis T, Bigelyte G, Young JK [..] Siksnys V (Vilnius University). Nucleic Acids Res 2020-04-04. https://dx.doi.org/10.1093/nar/gkaa208
Cas14ファミリーとは
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