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科学分野の比較的新しい論文と記事を記録しておくサイト: 主に、CRISPR生物学・技術開発・応用 (ゲノム編集, エピゲノム編集, 遺伝子治療, 分子診断/代謝工学, 合成生物学/進化, がん, 免疫, 老化, 育種 - 結果的に生物が関わる全分野) の観点から選択し、時折、タンパク質工学、情報資源・生物資源、新型コロナウイルスの起源・ワクチン・後遺症、機械学習・AIや研究公正からも選択

[出典] "A simple method using CRISPR-Cas9 to knock-out genes in murine cancerous cell lines" Ishibashi A [..] Nimura K. Sci Rep. 2020-12-18. https://doi.org/10.1038/s41598-020-79303-0

 CRISPR/Cas9が誘導するindelsを介した遺伝子ノックアウトには漏れがある。Indelsが挿入されたエクソンのスキップを介してmRNA/タンパク質を発現、あるいは、スプライシングバリアントを介したmRNA/タンパク質発現する細胞が存在するからである。

 遺伝子ノックアウトの漏れを回避する手法として、遺伝子全域を選択マーカで置換する遺伝子ターゲッティングが考えられるが、ターゲッティング・ベクターである5'末端と3'末端に相同組み換え修復用の相同アームを結合した選択マーカを作出する作業には長時間を要する。

 大阪大学の研究グループは今回、ターゲッティング・ベクターを構築することなく、標的遺伝子をノックアウトする単純かつ簡易な手法を開発し、SUCCESS (Single-strand oligodeoxynucleotides, Universal Cassette, and CRISPR/Cas9 produce Easy Simple knock-out System)として発表した。2020-12-25 9.58.20
  • SUCCESSは、Cas9とgRNAをコードする2種類のpX330プラスミド、2種類の80merのssODN、および、平滑末端の汎用の選択マーカ配列を導入し、最適な抗生物質により強力な選択を掛けることで、標的とする大規模なゲノム領域のターゲッティングを実現する [Figure 1引用右図参照]。
  • SUCCESSによって、多倍性のB16F10マウス黒色種細胞株 (~18 kbpの長さのApod 遺伝子)と、ID8-luc2マウス卵巣癌細胞株 (Antxr2 遺伝子)にて、標的遺伝子のホモ型欠損を実現した。
 SUCCESSは、ホモ型ノックイン細胞株とホモ型ノックアウト細胞株の樹立に有用である。
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