[出典] "Model uncertainty, political contestation, and public trust in science: Evidence from the COVID-19 pandemic" Kreps SE, Kriner DL. Sci Adv. 2020-10-21. https://doi.org/10.1126/sciadv.abd4563

 科学的不確実性は常に政治問題化を招き、科学コミュニケーションに疑義を投げかける。COIVD-19はこのリスクを増幅した。データが限られていながら研究が急がれる中では、注目を集めた (prominent)予測モデルや発見が覆されたり取り下げられることを避けることはできない。

 Cornell Universityの著者らは今回、COVID-19に関する科学的に不確実な情報のやり取りの中で、一般社会の科学に対する信頼と科学に基づいた政策への支持に生じた変化を、5種類の調査に基づくのべ6,000名を超える米国人の反応をベースとして、分析した。
  • 一般社会の科学に対する信頼は、共和党からの批判よりも、民主党のエリート (Democratic political elites)による批判によって損なわれた。
  • 予測の不確実性を認めたり説明することは、科学に対する信頼性を高めることにはつながらない。
  • 不確実性を軽く見せることは、短期的には信頼性を高めるが、予測が外れればその効果は失われ、あるいは、長期的には科学の信頼性を損なうに至る。
 COVID-19パンデミックにみられているように科学的コンセンサスが時間とともに変化していく場合には、科学に基づく政策に対する一般社会の支持を維持していくために、ひときわ注意深い科学コミュニケーションが必要である。

[関連crisp_bio記事]
  • crisp_bio 2020-11-15 [論説] 新型コロナウイルス: ヒドロキシクロロキンの誤用を招いた科学への政治の浸潤