2022-09-15 デルタ株流行期・オミクロン株流行期における新型コロナワクチンの有効性評価 ( 日本のデータ):[出典] 国立感染症研究所研究情報 2022-08-04 https://www.niid.go.jp/niid/ja/basic-science/epidemi/11369-epi-2022-02.html; [論文] "COVID-19 vaccine effectiveness against symptomatic SARS-CoV-2 infection during Delta-dominant and Omicron-dominant periods in Japan: a multi-center prospective case-control study (Factors Associated with SARS-CoV-2 Infection and the Effectiveness of COVID-19 Vaccines Study) Takeshi Arashiro et al. Clinical Infectious Diseases 2022-08-03 https://doi.org/10.1093/cid/ciac635
オミクロン株(BA.1/BA.2)流行期 (1月-3月, 2022)においては、2回接種後14日-3ヶ月では56%(95%CI 37-70)、2回接種後3-6ヶ月では52%(95%CI 40-62)、2回接種後6ヶ月以降では49%(95%CI 34-61)であった。3回(ブースター)接種後14日以降では74%(95%CI 62-83)まで回復した。
重症化リスクの高い者(65歳以上または基礎疾患あり)に限定した解析およびマスク着用状況とリスク行動の有無でさらに調整した解析においても、結果は同様であった。
2023-02-03追記 -------------------
インドも経鼻ワクチンを承認
[出典] "China and India approve nasal COVID vaccines — are they a game changer?" Waltz E. Nature 2022-09-07. https://doi.org/10.1038/d41586-022-02851-0
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- “Scientists urged the Biden administration to launch an ‘Operation Warp Speed’ to develop inhaled COVID vaccines. China beat the U.S. to the punch” McGregor G. Fortune 2022-09-06 10:25 PM GMT+9. https://fortune.com/2022/09/06/inhaled-covid-vaccine-china-us-operation-warp-speed/
- NEWS FEATURE "How nasal-spray vaccines could change the pandemic" Waltz E. Nature 2022-09-06. https://doi.org/10.1038/d41586-022-02824-3
2022-09-04 モデルナとファイザー・ビオンテックのオミクロン対応ワクチンの解説図 (Eric Topolのツイートから引用)。
右図のツイートにあるように米国では各地の薬局で入手可能 (available)になったようだ。日本では、4回目接種の対象となっている高齢者など重症化リスクの高い人や医療従事者らから、9月半ばにも接種を始めることを決まったようだ [9月2日付けの共同通信]。
2022-09-02 オミクロン・ブースターワクチン接種について知っておくべきこと
るリスクが平均で12%減少するという用量反応関係も発見した。一方で、ワクチンを接種時期も感染させやすさを左右し、最後にワクチンを接種してから5週間経過するごとに、同房者に感染させるリスクが6%増加することも発見した。
2022-08-30 mRNAワクチンを巡る特許係争
国内外の報道によるとモデルナが26日にCOVID-19ワクチンをめぐる特許侵害でファイザーとビオンテックを提訴した。損害賠償を求め、販売停止は求めず [NHK NEWS WEB 2022-08-27 6:58 AM]
2022-08-26 経鼻粘膜ワクチンを光速で [*]開発すべし
- 臨床開発中の経鼻ワクチンは少なくとも12種類あり、4種類が第3相ランダム化プラセボ対照試験に到達している。
- 4種類のうち3種類はウイルスベクター (Bharat Biotech、Codagenix、Beijing Wantal Biological)で、組み換えスパイクタンパク質やRBD (受容体結合ドメイン)、または弱毒化ウイルスを使用し、残る1種類はタンパク質サブユニットワクチン (Razi Vaccine and Serum Research Institute)である。
- このうち、Codagenixは、オミクロンBA.2に対して強い細胞性免疫と粘膜抗体反応を示すという良好な結果をプレスリリースし、このワクチンをWHOの多施設臨床試験ネットワークに組み込むと発表している。
- また、現時点では第1相試験に留まっているが、Astra Zenecaのワクチン(ChADOx1/AZD1222)がマカクザルとハムスターで、D614G変異体に対して強い粘膜反応を引き起こし、また、鼻腔内投与の方が筋肉内投与よりも良い体液反応を引き起こすことも報告されている。
- ワクチン接種者は、血中のスパイク (S)特異的抗体反応が強い一方で、BAL中のD614G変異株、デルタ株、オミクロン株 (BA.1.1)に対する中和抗体レベルが回復者に比べて有意に低かった。
- mRNAワクチン接種者では、血中のS特異的B/T細胞免疫が誘導されたが、回復者と対照的に、BALにはこれらの応答が見られなかった。
- マウス免疫モデルにおいて、mRNAワクチン接種単独では弱い呼吸粘膜中和抗体反応が誘導されるに過ぎないが、粘膜ワクチンを組み合わせることで、祖先ウイルスに加えてBA.1.1に対しても強い中和抗体反応が誘導されることを見出した。
- 2022-08-26 バクテリオファージT4をベースに経鼻投与型COVID-19粘膜ワクチンを開発 https://crisp-bio.blog.jp/archives/30105183.html
- 2022-08-26 肺細胞から分泌されるエクソソームをベースに経鼻投与型COVID-19粘膜ワクチンを開発 https://crisp-bio.blog.jp/archives/30090245.html
2022-08-12 5~17歳の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方 (日本)
[出典] 公益社団法人「日本小児科学会」2022年8月10日 http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=451
日本小児科学会予防接種・感染症対策員会が「小児におけるCOVID-19の重症化予防に寄与することが確認されたことをふまえ、メリット(発症予防や重症化予防等)がデメリット(副反応等)を更に大きく上回ると判断し、健康な小児へのワクチン接種は『意義がある』という表現から、『推奨します』という表現に変更する方針としました。」と発表した.上記ホームページにその理由と考え方が詳細に述べらている.
2022-08-12 5歳未満のCOVID-19ワクチン接種について,保護者が知っておくべきこと (米国)
[出典] "COVID-19 Vaccines for Kids Under 5: What Parents Need To Know" Macmillan C. Yale Medicine 2022-06-19. https://www.yalemedicine.org/news/covid-19-vaccines-kids-under-5
米国FDAがファイザー・ビオンテックとモデルナのワクチンの幼児への緊急使用を承認したことを受けて,イエール大学のプレスが,大学の専門家の見解をまとめて以下のQ&Aの形式で公開した:
- 現在、どのCOVIDワクチンが幼児に認可されていますか?
- COVIDワクチンは幼児に安全ですか?
- COVIDワクチンは有効ですか?
- 子供のためのCOVIDワクチンの用量は、大人のためのものと同じですか?
- 幼児はいつ,どこで,COVIDワクチンを接種することができますか?
- 夏が来て,子どもたちはより外に出るようになりました.秋まで接種を遅らせてもよいですか?
- 子どもがすでにCOVID-19に感染していた場合はどうすればよいですか?
- オミクロン特異的なワクチンが開発されるまで、待つべきでしょうか?
- COVIDブースターが必要ですか?
- 6ヶ月未満の子供用のCOVIDワクチンはあるのでしょうか?
1)ファイザー・ビオンテックの新型コロナワクチンBNT162b2,6ヶ月から5歳未満を対象とする3回接種の第2/3相試験で好成績
2022-05-22 モデルナワクチンはファイザー・ビオンテックのワクチンよりも強い免疫応答を誘導する
[出典] "mRNA-1273 and BNT162b2 COVID-19 vaccines elicit antibodies with differences in Fc-mediated effector functions" Kaplonek P, Cizmeci D [..] Alter G. Sci Transl Med 2022-05-18. https://doi.org/10.1126/scitranslmed.abm2311 [著者所属] Ragon Institute (of MGH, MIT, and Harvard), Harvard Medical School, Seromyx Systems Inc, The Scripps Research Institute, Icah School of Medicine at Mount Sinai, Space Exploration Technologies Corp, Brigham Women's Hospital, MIT
mRNA-1273接種者では機能的抗体のみならず,スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン (RBD)およびN末ドメイン (NTD)に特異的な免疫グロブリンA (IgA)がより高レベルであった.さらに、RBD特異的抗体の枯渇により,濃度は異なるものの、両方のプラットフォームで展開される非RBD特異的抗体エフェクター機能の存在が明らかになった.mRNA-1273接種者は,好中球の貪食を誘発する抗体やナチュラルキラー細胞の活性化についても,BNT162b2接種者よりも増加した.
- 2022年1月11日から25日にかけて,BNT162b2を3回接種した参加者166名が無作為化され,4回目のワクチン接種を受けた.
- 年齢中央値は70.1歳(四分位範囲:51.6-77.5), 3回目と4回目の接種間隔の中央値は208.5日(四分位範囲:203.25-214.75)であった.
- BNT162b2およびhalf-m1273 (50 μg)の局所および全身性の有害事象は,疼痛および疲労が最多であった.4回投与後に3例の重篤な有害事象が報告されたが,いずれもワクチンとの関連はなかった.
- 4回目の投与前後の抗スパイクIgGの増加倍率は、BNT162b2およびhalf-m1273群でそれぞれ12.19 (95%CI:10.37-14.32)および15.90 (95%CI:12.92-19.58),3回接種後のピークの1.59倍 (95%CI:1.41-1.78)と2.19倍 (95%CI:1.90-2.52)であり,T細胞反応もブーストされた.
- イスラエルでは,2022年1月2日に60歳以上へのBNT162b2ワクチン4回目接種を開始
- イスラエル保健省のデータベースを用いて、SARS-CoV-2のB.1.1.529(omicron)変異型が優勢だった期間(2022年1月10日から3月2日)に、60歳以上で4次接種対象者である125万2331人のデータを抽出
- 4回目投与後8日目からの感染確定率および重症Covid-19の発生率を,3回のみの投与者(3回投与群)および3〜7日前に4回目の投与を受けた者(内部統制群)と比較
- 10万人日あたりの重症Covid-19の発生数(未調整率)は,4回投与集約群で1.5,3回投与集約群で3.9,内部統制群で4.2であった。
- 4回目の接種後6週間は,重症化に対する予防効果は低下しなかった.
- 4回目投与後4週目の感染確定率は,3回目投与群より2.0倍(95%CI, 1.9~2.1 )低く,内部統制群より1.8倍(95%CI, 1.7~1.9 )低いことが確認された.しかし、この保護作用は4週経過後の週には弱くなった。
- フィンランドの70歳以上の全住民を対象として,2020年12月27日から2022年2月19日まで,COVID-19関連の入院およびICU処置を,追跡照査を行い,2022年1月1日以降の観察結果を,オミクロン変異株特異的ワクチン効果として評価した.
- コホートの規模は897,932人の規模となった.
- COVID-19関連入院を予防するコミナティー (BioNTech/Pfizer)の有効性は,2回目接種後14-90日および91-180日でそれぞれ93% (95%信頼区間[CI]: 90%-95%)および87% (CI: 84%-89%),3回目接種後は14-60日まで96% (95%-97%)に増加した.他の同種・異種の3回投与の接種の効果も同程度であった.
- ICUでの治療を必要とする重症のCOVID-19に対する予防効果はさらに良好であった.
- 2022年1月1日以降におけるコミナティーの有効性は,2回目接種後14-90日および91-180日後にそれぞれ91% (CI: 79%-96%)および76% (56%-86%),3回目接種後14-60日後に95% (94%-97%)へと増加した.
各種報道によると,日本でも,mRNAワクチンの3回目接種6ヶ月以上経過後の4回目接種の検討が始まったようだ [朝日新聞デジタル 2022-03-09 15:00; 讀賣新聞オンライン 2022-03-11 06:41].
イスラエルでは1月2日に3回目接種から4ヶ月以上経過した60歳以上の成人,医療従事者および免疫不全患者への4回目接種を正式に承認した [JETROビジネス短信2022-01-06].その後,1月17日にイスラエル最大の病院シェバ・メディカル・センターが初期段階の解析から「抗体の量は増えたものの、オミクロン株の感染を防ぐ効果は十分には得られない可能性がある」と発表した.[NHK 特設サイト 新型コロナウイルス 2022-01-18].
EUは1月に4回目接種の準備に入り[青田秀樹 朝日新聞DIGITAL 医療サイト 朝日新聞アピタル 2022-01-22 08:31] ,米国も秋以後の4回目接種の検討を開始した [CNN.CO.JP 2022-02-20 12:54 JST].
2月24日のNature Medicine 誌掲載News & Views記事は,互いに独立な4種類のブースター接種の解析結果を「mRNAワクチンを追加接種することがオミクロン変異株に対する中和抗体の生成に重要であること,一方で,より優れた治療用抗体が必要である」とまとめた上で,第4回接種 (2回目のブースター接種)が,新型コロナウイルスに対する免疫応答を増強する可能性を示唆した [Figure 1参照].
ここで,イスラエルと日本の「日別感染者数と日別死者数」,および,「ワクチン接種回数,少なくとも1回接種した比率,当初指定の回数のワクチンを接種した比率(以下,接種完了)とブースータ接種の比率」を,Our World in Dataのサイトをベースにして比較してみた.2021年12月1日から2022年3月9日までの間のそれぞれの推移グラフを,左下図と右下図に引用した.左下図では,ワクチン接種で世界に先行していたとされるイスラエルの死者数が,1月から2月にかけて日本の10倍以上 (2022年2月4日時点 7.87 vs 0.53)に達したことが示されている.また,右下図では,12月1日以後,少なくとも1回ワクチン接種と接種完了のいずれも,日本がイスラエルを先行していたことが示されている.
- ChAdOx1が野生型Sタンパク質 (野生型S)を発現するのに対し,mRNAワクチンのmRNA-1273はヒト細胞に融合する前の状態 (プレフュージョンコンフォメーション)に安定化されたSタンパク質 (プレフュージョンS)を発現する.
- 同種接種に対して異種接種が,野生型のSARS-CoV-2および懸念される変異株 (variants of concern, VOC)に対してより強力かつ広域な血清中和抗体およびMBC反応を誘導した.
- ChAdOx1による野生型Sの発現が,プレフュージョンSに存在する標的部位に対するB細胞応答を回避させ,同種ブースター接種が,この非中和特異性をさらに拡大させるように見える.
- mRNA-1273はChAdOx1と比較して,プレフュージョンSに対してより高い親和性とより広い反応性をもってB細胞を活性化することが示された.
- 同種と異種の差異をもたらす要因として,野生型Sに対するS-2P (SのS2サブユニットにおける連続したプロリン置換)の細胞表面発現の差,ChAdOx1を送達するアデノウイルス粒子とmRNA-1273を送達する脂質ナノ粒子に対する自然免疫刺激特性に関連している可能性があるが,差異をもたらす分子機構の詳細は不明である.
- 異種接種は,同種接種に優る免疫原性を示すが,誘導されるB細胞応答は非中和抗体によって支配されているため,中和抗体の大部分がオミクロン株を認識しない結果となる.
- 受容体結合ドメインおよびS2サブユニット内に保存されたエピトープに対して,B細胞応答を集中させるように合理的に設計された免疫原が,SARS-CoV-2および今後の新たな変異株やおよび潜在的なβ-コロナウイルスに対する効果を高めるであろう.
[出典] "WHO announces 2nd hub for training countries to make COVID vaccine" Maddipatla M. Reuters 2022-02-24. https://www.reuters.com/business/healthcare-pharmaceuticals/who-plans-second-hub-training-countries-make-covid-vaccines-2022-02-23/
- 南アフリカのハブは,COVID-19ワクチン製造のノウハウやライセンスを提供し,アフリカの企業によるmRNAワクチン製造を目指している [Reuters 2021-06-22].
- ソウル郊外の新しいハブは,ワクチン,インスリン,モノクローナル抗体などの製品の製造を希望するすべての国にトレーニングを提供する.
- 韓国の施設はすでに韓国に拠点を置く企業のための訓練を行っており,今後は他の国からの訓練生を受け入れることになる.
[出典] 第76回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検 討部会、令和3年度第28回薬事・食品衛生審議会薬事分科 会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(合同開催) 2022年2月18日 資料1-8 ファイザー社ワクチン初回接種者に対する 3回目接種後中間報告(3) https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000899481.pdf: 新型コロナワクチン追加接種(3回目接種)にかかわる免疫持続性および安全性調査(コホート[*]調査) 順天堂大学 コロナワクチン研究事務局作成提供資料.p. 34「まとめ」
[有効性]
- 3回目追加接種28日後の幾何平均抗体価はコミナティ 20,219U/mL,スパイクバックス 30,164U/mL (幾何平均抗体価倍率はそれぞれ54.1倍,67.9倍)と,スパイクバックスの方が高かった.抗体価につい ては,性年齢を調整した上で,スパイクバックスの方が統計学的有意に高値であった.
- 3回接種前の抗体価は,抗N抗体が陰性の629人において年齢が高くなるにつれて低い傾向が見られたが,3回接種後は,幾何平均抗体価倍率が年齢とともに増加し,結果として1か月後の幾何平均抗体価は年齢ごとの差はなかった.
- コミナティでは3回目接種後1週間(Day8)までの日誌が回収できた2,626人では,37.5°C以上の発熱が39.8% (38°C以上は21.4%)にみられ,局所反応は疼痛が91.6%にみられた.スパイクバックス筋注では3回目接種後1週間 (Day8)までの日誌が回収できた437人では,37.5°C以上の発熱が68.0%(38°C以上は49.2%)にみられ、局所反応は 疼痛が93.8%にみられた.
- 発熱の発現頻度は、スパイクバックスの方が,コミナティよりも高かった.接種1日後の発現頻度が最も高く,接種 3日後にはほぼ消失していた。高齢者の方が、発熱の発現頻度は低かった。
- 発熱,頭痛などの副反応はコミナティの3回目接種に比べて,スパイクバックス筋注の3回目接種は頻度が高かった.なお 両ワクチンとも腋窩痛,リンパ節症(リンパ節腫脹),リンパ節痛の頻度は2回目接種後に比べて3回目接種後の方が高かった.
- 3回目接種後,接種翌日を中心としてコミナティでは8.83%,スパイクバックスでは10.30%の被接種者が病休を取得していたが,大差はなかった.病休日数は、病休を取得した人のうちほとんどが2日以内であった。
- コミナティ追加接種において,2件のPMDA (Pharmaceutical and Medical Devices Agency/医薬品医療機器総合機構)への副反応疑い報告 (予防接種法上の報告義務になっている心筋炎が疑われた2症例は、重篤ではなく,既に軽快が確認されている),1件の因果関係のないSAE (Serious Adverse Event/重篤な有害事象)が認められた.スパイクバックス追加接種においては,PMDAへの副反応疑い報告,SAEとも認められなかった.
入院予防の有効性については,ファイザー/ビオンテック3回接種では4~9週間後と10-14週間後でそれぞれ約85%と約75%,ファイザー/ビオンテック2回にモデルナのブースター接種では5~9週間後で90%以上の有効性が維持されていた (10~14週間後のデータは無し)
2022-02-17 新型コロナワクチンの有効性 (国立感染症研究所報告から抜粋)
[出典] 2022-02-15 新型コロナワクチンの有効性を検討した症例対照研究の暫定報告(第三報)
- 関東において上旬にはオミクロン株が9割以上を占め、下旬にはほぼ全ての検出株がオミクロン株であったと想定される2022年1月3日以降の調査における暫定結果の報告
- 発熱外来受診者(陽性 547名; 陰性 805名)を対象
- 発症から14日以内で、37.5℃以上の発熱、全身倦怠感、寒気、関節痛、頭痛、鼻汁、咳嗽、咽頭痛、呼吸困難感、嘔気・下痢・腹痛、嗅覚味覚障害のいずれか1症状のある者に限定して解析
- 調整オッズ比を元にワクチン有効率 (発症予防効果)を算出
[注] 95%CI (信頼区間)が広いことに留意
[出典] NEWS "Long-COVID symptoms less likely in vaccinated people, Israeli data say" Keien F. Nature 2022-01-25. https://doi.org/10.1038/d41586-022-00177-5
ロングCOVIDでは,SARS-CoV-2感染後,数週間,数ヶ月,あるいは数年間も,疲労,息切れ,さらには集中力の欠如といった症状を経験し続け,入院経験のない人も含めて感染者の30%が症状を持続していると推定されている.
ロングCOVIDに対するワクチンの効果についてはこれまで諸説あったが,今回,Bar-Ilan Universityを主とするイスラエルの研究グループが,ワクチンはロングCOVID防止にも効果があるとする報告をmedRxiv (2022-01-17)に投稿した.
2021年7月から11月にかけて3,388人 (SARS-CoV-2感染者 951人; 非感染者 2,437人)を対象として,ロングCOVIDの症状の有病率 (自己申告)とワクチン接種状況を比較した結果,ファイザー・ビオンテックのmRNAワクチンを2回接種したCOVID-19感染者は,ワクチン未接種者に比べて,疲労,頭痛,脱力 (weakness),および筋肉痛を訴える確率がそれぞれ,64%, 54%, 57%, および68%低いことを見出し,2021年9月の英国の報告 (Lancet Infect Dis, 2021)「ワクチン接種によってロングCOVIDのリスクが半減する」と整合するとした.
[注] オミクロン株に対応するワクチン接種については,crisp_bio記事"新型コロナウイルス:南アフリカ由来変異株オミクロン (B.1.1.529系統)"参照.
2021-11-03 米国5-11歳へのワクチン接種,FDAに続くCDCの推奨 (recommend)*を受けて,実施へ
- [米国での感染状況] 18歳未満の感染者の39%が5-11歳であり,〜8,300人の5-11歳が入院し,10月17日時点で18歳未満のCOVID-19による死亡者17,691人のところ,5-11歳の死亡者は146人であった.
- [処方] 12歳以上は30μg接種のところ,5歳から11歳には10μgを3週間おいて2回接種する.
- [有効性] 5歳から11歳の免疫反応は,16歳から25歳までの免疫反応と同等であり,感染予防の有効性は90.7%であった.
- [安全性] ワクチンを接種した約3,100人には,これまで重篤な副作用は見られなかった.
- [今後の予定] CDCの諮問委員会が来週火曜日に開催され,さらなる臨床上の推奨事項を議論し,その後,実施に向けた最終的な結論に至る.
・タンパク質ワクチンは四葉のクローバか.
・ナノ粒子ワクチンは汎コロナウイルスワクチンにまで手が届くか?
2021-10-01 植物由来ワクチンとは?
[出典] 田辺三菱製薬ニュースリリース「新型コロナウイルス感染症ワクチン候補MT-2766の日本における臨床試験の開始について」2021-09-30. https://www.mt-pharma.co.jp/news/2021/MTPC210930.html; [参考] DNA・mRNA・ベクター… 多様なワクチンの違いは?. 日経バイオテク. 2020-07-27 22:30. https://www.nikkei.com/article/DGXMZO61944150X20C20A7000000/
- MT-2766は,連結子会社であるMedicago Inc. (カナダ)が開発した新規ワクチンである.遺伝子操作によってウイルスのゲノムを含まない外殻たんぱく質だけで構成されるウイルス様粒子(Virus Like Particle, VLP)を細胞内で生成させ,効率的に抽出・精製する技術によって生産させる.
- ワクチンの製造工場として,微生物や昆虫細胞,哺乳類細胞などが利用されてきたが,MT-2766は植物細胞を工場として利用したことから,植物由来ワクチンと呼ばれていることになったようだ.今回は,植物の中で比較的増殖が早いタバコ属を利用している.
- 処方:VLPワクチン3.75μgとGSK社のアジュバントを併用し21日間隔で2回投与する.
- 2020年11月から開始したカナダ, 米国, 英国, ブラジル, アルゼンチン, およびメキシコで約24,000人を対象にした第2/3相臨床試験 [NCT04636697]の第3相パートの投与を終了し,データ解析中である.
- 2021年10月2日から日本において145名 (20歳以上)を対象とする第1/2相臨床試験 [jRCT2051210093]を開始する.
- 2022年3月までの承認申請を目指している.
2021-09-20 ワクチンのブースター接種について(3報). crisp_bio 2021-09-20. https://crisp-bio.blog.jp/archives/27463955.html
2021-09-12 ワクチンがデルタ変異株に対して,入院や救急受診,および,重症化を予防する
[出典] NEWS RELEASE"Vaccines effective against Delta variant" Regenstrief Institute. EurekAlert! 2021-09-10. https://www.eurekalert.org/news-releases/928139
- VISIONネットワークは,デルタ変異株が優勢になった2021年6月, 7月, 8月に,9つの州の32,000件以上の医療受診を分析した.
- COVID-19ワクチン未接種者は,ワクチン接種者と比較すると.救急治療や入院を必要とする可能性が,5~7倍に及んだ.この傾向は,デルタ変異株以前の新型コロナウイルスに対するワクチンの効果と同じ傾向であった.
- ただし,効果のレベルはワクチンの種類によって異なった:
ワクチンの種類
救急受診を予防する効果
入院を予防する効果
mRNA- 1273 (モデルナ)
92%
95%
BNT162b2 (ファイザー・ビオンテック)
77%
80%
Ad26.COV2 (ジョンソン・エンド・ジョンソン)
65%
60%
ワクチン接種者は,発症したとしても,重症化しない傾向がある.
75歳以上は相対的にワクチンの効果が低いという結果が出たが,高齢者はワクチン接種から今回の調査までの期間が相対的に長かったことなど様々な要因を評価する必要がある.
- [*1] CDCが資金提供しているVISIONネットワークは,COVID-19ワクチンの効果を知るために,米国の医療・健康管理システムからのデータを提供しかつ分析する7つの組織で構成されている: Regenstrief Instituteのほかに,Columbia University Irving Medical Center, HealthPartners, Intermountain Healthcare, Kaiser Permanente Northern California, Kaiser Permanente Northwest およびUniversity of Colorado.
2021-08-27 20:50 ワクチン接種後の抗体価の変動
臨床試験からの報告とは別に,実社会での接種が広がってから,mRNAワクチン二回接種後に抗体価が急上昇することが共通認識になってきたが,その後,抗体価の変化については,データが蓄積つつあるところのようだ.最近,国内において,第二回接種してから日をおいて抗体価レベルが急激に上昇し,その後低下する傾向が,個人 (n=1名)と医科大 (n=209名)から報告された [右図参照].
この件については,個人の例でいうと126日 (~4ヶ月)以後,医科大の例でいうと3ヶ月以後,抗体価のレベルが維持されるのか,そのレベルで感染予防効果があるのか,免疫記憶 (メモリーB細胞とメモリーT細胞)による感染予防効果が十分かつ長く続くのか,こうしたデータがこれからも蓄積・公開されることを期待する.
[crisp_bio注]「個人の例」の接種後30日までのデータは,本ブログ記事の2021-07-25の稿にて引用させていただいていた.
2021-08-24 米FDA,緊急使用許可 (EUA)のワクチンから初の正式承認を発表
COMIRNATYの由来 [出典: FORTUNE 2021-08-24 01:12 "Pfizer wants you to call its COVID vaccine Comirnaty. How the name came about" https://fortune.com/2021/08/23/pfizer-covid-vaccine-comirnaty-how-it-got-its-name/]
パンデミックと,研究者が想像を超える速さでワクチンを開発することを可能にした画期的な技術を表現するために,「COMIRNATY/コミルナティとは,COVID-19,mRNA,コミュニティ,イミュニティという言葉を組み合わせたもので、メッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンが初めて承認されたことと、この成果を可能にした世界的な共同作業を強調しています」とファイザー社は昨年,EUでの承認の際に発表した.COMIRNATYを分解すると,COはCOVID-19から,“MIRNA”は mRNAの"an adulterated version", “-TY”は,コミュニティティー (community)と免疫 (immunity) の意が込められている.
なお,一般名のtozinameranは,WHOが求めるプレフィックス"tozina-"と,mRNAワクチンに求められるサフィックス"meran"の合成語であった.
[出典] Rates of SARS-CoV-2 transmission and vaccination impact the fate of vaccine-resistant strains" Rella SA, Kulikova YA, Dermitzakis ET, Kondrashov FA. Sci Rep. 2021-07-30. https://doi.org/10.1038/s41598-021-95025-3
- ワクチンは、感染症に対する最も効果的な公衆衛生対策の一つであり,新型コロナウイルスもワクチン接種によって間もなく制圧されると期待され,主張されている.これに対して現時点では,ワクチン供給と接種率が低いことに加えて,ワクチンに対して大なり小なり耐性を帯びた感染率が高い変異株の出現が,懸念材料になっている.
- これまでに,ワクチン耐性株の集団内での感染拡大のダイナミクスを考慮したモデルは数多くあったが,集団内の接種率と感染率が耐性株の発生と定着にどのような影響を与えるかを示すモデルは存在していなかった.
- 研究グループのモデルのモデルの模式図とパラメーターについて,それぞれ,Figure 1 とTable 1 を参照.
- 予想通り,モデルは,ワクチンの接種率が高いほど耐性菌の出現確率が低下することを示した.
- モデルは一方で,ほとんどの人がワクチンを接種した時点で.感染抑制行動を解除すると,耐性株の出現確率が大幅に上昇することを告げた.
- すなわち,ワクチン接種キャンペーンが完了する間際に,ウイルスの感染率を低下させることで,耐性株の発生確率を大幅に低下させる必要があり,政策立案者や個人は,ワクチン接種が完了するまで,ソーシャルディスタンスを厳密に守るといった感染抑制行動を維持すべきである.
また,新型コロナウイルスのワクチンについて米国CDCのワレンスキー所長が8月5日[*3],新型コロナウイルスのワクチンについて、接種を完了した人でもウイルスを人に感染させることがあるとし「... 引き続きデルタ株によく効いている。重症化や死亡に関しては防止できる。だが,もはや感染を防ぐことはできなくなった」と指摘し,ワクチン接種完了者にもマスク着用を訴えた [*3 CNN 2021-08-06 11:50. https://www.cnn.co.jp/usa/35174910.html].
年内に数千人規模の臨床試験を「非劣性試験」で開始
2021-07-02
- 緊急使用を承認された種類のmRNA ワクチンはいずれも,実環境下で,成人の新型コロナウイルス,実環境下で,成人の新型コロなウイルス感染予防に非常に有効なことが示された; 3,975人の前向きコホート研究において,感染者数が,完全接種 (2回ワクチン接種後14日以上経過)で5 人,部分接種 (1 回目の接種後 14 日以上〜2 回目の接種後 14 日未満)で11 人,ワクチン未接種で156 人であった; ワクチンを接種したにもかかわらず感染が拡大した人のウイルス RNA 量 (40%),発熱症状のリスク (58%),および罹患期間 (数日)を有意に減じた; [出典] "Prevention and Attenuation of Covid-19 with the BNT162b2 and mRNA-1273 Vaccine" Thompson MG et al. NEJM. 2021-06-30. https://doi.org/10.1056/NEJMoa2107058
- NOVAVAXのワクチン第3相試験での好成績が,NHEJ論文にて報告された: [20210702更新] 新型コロナウイルス: J&Jに続いてノババックス (NOVAVAX)のNVX-CoV2373ワクチンも第3相試験で好成績. https://crisp-bio.blog.jp/archives/25468044.html
2021-06-21 COVID-19の品質管理の重要性を論じた「展望/Perspective」を,"crisp_bio 2021-06-21"にて取り上げた: "COVID-19ワクチンの生物学的特性評価とバッチリリースを考える"
https://crisp-bio.blog.jp/archives/26695990.html
[概要] 国内で特例承認された3種類のワクチンとジョンソン・ジョンソンのワクチンの特徴,変異株の特徴とワクチンの有効性がまとめられ [*],また,日本国内におけるワクチン開発についても触れられている;[*] アルファ株 (B.1.1.7系統), ベータ株 (B.1.351系統), ガンマ株 (P.1系統), およびカッパ株およびデルタ株 (B.1.617.1およびB.1.617.2系統)に対する既存ワクチンの有効率が低下する傾向にあるが,一定の効果を示し,特に,変異株に感染した場合に高い重症化予防効果を期待できる.
2021-06-11 23:07 BNT162b2は,インド由来変異株とナイジェリア由来変異株も中和する: crisp_bio記事「ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチン'BNT162b2' 」https://crisp-bio.blog.jp/archives/24484684.html 参照.
2021-06-01 プレプリントサーバーから「アストラゼネカワクチンの含まれる不純物が,有害事象に関連している可能性がある」「製造過程での品質管理が必要」とする研究報告が公開された [詳細: 2021-06-01 アストラゼネカのワクチンに含まれている不純物が有害事象をもたらす可能性がある.https://crisp-bio.blog.jp/archives/26521621.html]
2021-05-31 ワクチンに限らず新型コロナウイルス感染症全般について解説した記事へのリンクを追加: 忽那賢志「症状、予防、経過と治療… 新型コロナウイルス感染症とは? 現時点で分かっていること (2021年5月)」YAHOO!ニュース. 2021-05-30 06:00. https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210530-00240373/
2021-05-28 関連crisp_bio記事へのリンクを追加: 2021-05-28 新型コロナウイルス:「選択と集中」から漏れた研究成果がmRNAワクチンをもたらした.https://crisp-bio.blog.jp/archives/26487894.html
[出典] "Extended interval BNT162b2 vaccination enhances peak antibody generation in older people" Parry H, Bruton R, Stephens C, Brown K, Amirthalingam G, Hallis B, Otter A, Zuo J, Moss P. medRxiv 2021-05-17 [プレプリント]. https://doi.org/10.1101/2021.05.15.21257017
- 2021年1月,英国医薬品・医療製品規制庁 (UK MHRA )は,新型コロナウイルスの感染状況が悪化する中で,ファイザー/ビオンテックのmRNAワクチンBNT162b2の第1回接種を加速するために,第2回接種までの間隔を,臨床試験での3週間から12週間に延ばした.
- 研究グループは,80歳以上172人の参加を得て,99人には3週間の間隔で,73人に11~12週間後に2回目の接種を施し,2回接種後2週間の時点で,両グループのスパイクタンパク質特異的な抗体と細胞免疫反応を比較した.後者については,血液細胞をスパイクタンパク質特異的なペプチドで一晩刺激した後,T細胞から放出されるIFN-γレベルを測定した.
- その結果,12週間グループにおける抗スパイクタンパク質抗体値のピークは3週間グループの3.5倍に達したが,細胞免疫応答は低下した.
2021-05-23 新型コロナウイルスの混合接種は有効か ?
2021-05-11 12:09 米FDA、12~15歳へのファイザー製ワクチンの緊急使用を許可. BBC NEWS | Japan. 2021-05-11. https://www.bbc.com/japanese/57035456
2021-05-10 Scripps Research Translational InstituteのEric Topol [*]がツイート (2021/05/10)した「各種変異株 (英国, 南ア, ブラジル, 米国, およびインド由来)に対する各種ワクチンの有効性を,各種資料からまとめた表」を一部和訳し右図に掲載した [* https://en.wikipedia.org/wiki/Eric_Topol] .
オリジナルの表には参考文献が付されていなかったが,カタールでの評価については,crisp_bio記事「新型コロナウイルス: ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチン'BNT162b27'」https://crisp-bio.blog.jp/archives/24484684.htmlの"2021-05-10 BNT162b2の接種国のカタールでの評価"の項参照.
- 英紙タイムズは、英国では新型コロナの脅威をクリスマ スまでに完全に排除することを目的として,秋に50歳以上を対象に3回目の 新型コロナウイルスワクチン接種 (ブースター接種)を実施する見通しだと伝えた。3回目の接種には,変異株対応版のワクチン,または,ファイザー ・ビオンテック,オックフォード・アストラゼネカ ,またはモデルナのいずれかを,想定している.[出典] "Third Covid vaccine for over-50s before winter" Dunn TN. THE TIMES. 2021-05-05 09:00 BST. https://www.thetimes.co.uk/article/third-covid-vaccine-for-over-50s-before-winter-jhpj57g0d
- カナダ政府はファイザー ・ビオンテックのワクチンの16歳以上への接種を承認していたが,第3相試験の成績に基づいて,5日,12~15歳への接種も承認した [出典] BBC NEWS JAPAN. 2021-05-06 JST. https://www.bbc.com/japanese/57004644
- モデルナ社,mRNA-1273の2回接種に加えて,mRNA-1273または変異株対応mRNA-1273.351を接種 (ブースター接種)することで,SARS-CoV-2とその変異株 (B.1.351とP.1)に対する中和力が増加すると発表した.また,12~17歳を対象とするTeenCOVE第2/3相試験 [https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT04649151] の最初の解析結果から,有効性96%で重大な安全性の事象は確認されていないと,プレス発表した [出典] "Moderna Reports First Quarter Fiscal Year 2021 Financial Results and Provides Business Updates" Moderna. 2021-05-06. 07:03. Moderna. https://investors.modernatx.com/news-releases/news-release-details/moderna-reports-first-quarter-fiscal-year-2021-financial-results
https://ja.wikipedia.org/wiki/スプートニクV_COVID-19ワクチン (ロシア製)
などなど.
[*] CDC Real-World Study Confirms Protective Benefits of mRNA COVID-19 Vaccines. CDC Newsroom Releases. 2021-03-29 11:00 ET. https://www.cdc.gov/media/releases/2021/p0329-COVID-19-Vaccines.html
SARS-CoV-2のゲノム配列が公開されてから専門家の当時の予想を良い意味で裏切って極めて短期間で緊急使用許可を獲得するまでに至ったmRNAワクチン開発に関するcrisp_bio記事へのリンクを改めて,ここに記載した:[20201118更新] 新型コロナウイルス: 新興感染症に備えてきたmRNAワクチン開発から産まれたモデルナのmRNA-1273. https://crisp-bio.blog.jp/archives/23810396.html
2021-04-05 ファイザー社が3月31日から4月1日にかけて「(mRNAワクチンBNT162b2について) 12-15歳に有効性100%; 6ヶ月後の有効性91.3%; 重症予防効果 95.3%; 南ア由来変異株にも有効」とプレス発表 [参照: [20210405更新] 新型コロナウイルス: ファイザー社とビオンテック社のmRNAワクチン'BNT162b2' - 2021-04-05の投稿参照 https://crisp-bio.blog.jp/archives/24484684.html]
[*] 日本感染症学会, 日本集中治療医学会, 日本救急医学会, 日本内科学会, 日本呼吸器学会, 日本血液学会, 日本循環器学会, 日本糖尿病学会, 日本老年医学会, 日本リウマチ学会, 日本外科学会, 日本血栓止血学会, 日本移植学会, 日本小児科学会, 日本産科婦人科学会, 日本精神神経学会, 日本消化器内視鏡学会, 日本産業衛生学会, 日本疫学会, 日本呼吸療法医学会, 日本口腔科学会
https://www.jmsf.or.jp/uploads/media/2021/03/20210322161544.pdf
<目次>
2021-03-22 17:50 変異株とワクチンに関するcrisp_bio投稿へのリンクを以下に追加:
- "新型コロナウイルス: 南アフリカ由来変異株B.1.351"の2021-03-22の項"南アフリカ由来変異株B.1.351感染者は、他の変異株に有効な抗体を帯びている" https://crisp-bio.blog.jp/archives/25121488.html
- "新型コロナウイルス:ブラジル由来変異株P.1系統" https://crisp-bio.blog.jp/archives/25903541.html
Cell Press@CellPressNews2021-03-21 19:45 Centre de Recherche du CHUM (モントリオール)の研究者が、新型コロナウイルスの変異体と、ワクチンが誘導する免疫応答、回復者血清内在免疫応答、あるいは抗体分子がもたらす免疫応答からの回避能の相関関係を、Cell Host & Microbe誌から最近相次いで刊行された3論文を中心に11論文をベースとしてレビューし、再感染、ワクチンの有効性、および免疫療法に影響を及ぼず新たな変異体に備え制御するために、SARS-CoV-2変異体のサーベイランスが重要であるとした。&vquot;The great escape? SARS-CoV-2 variants evading neutralizing responses&vquot; - Read the Preview by @CRCHUM Jeremie Prevos… https://t.co/R28ErIhxb4
2021/03/21 07:00:00
[出典] PREVIEW "The great escape? SARS-CoV-2 variants evading neutralizing responses" Prévost J, Finzi A. Cell Host & Microbe. 2021-03-10. https://doi.org/10.1016/j.chom.2021.02.010
2021-03-21 14:20 南アフリカ由来変異株とブラジル由来変異株は、ヒトACE2を帯びていないマウス肺で増殖する: [出典] "The B1.351 and P.1 variants extend SARS-CoV-2 host range to mice" Montagutelli X [..] Simon-Loriere E. bioRxiv 2021-03-18 [査読無し投稿] https://doi.org/10.1101/2021.03.18.436013
- 地球規模でのSARS-CoV-2の蔓延は多様な変異株の発生を伴っている。その中には、伝播性や免疫回避能 [*3]が高まり、中には致死性も高まった一連の"懸念される変異株/Variants of Concern (VOC)"が含まれている。
- [*3] ワクチンBNT162b2または感染が誘導する中和抗体を回避: "SARS-CoV-2 variants B.1.351 and P.1 escape from neutralizing antibodies" Hoffmann M [..] Pöhlmann S. Cell 2021-03-20. https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.03.036; ワクチンが誘導する液性免疫を回避: "Multiple SARS-CoV-2 variants escape neutralization by vaccine-induced humoral immunity" Garcia-Beltran WF [..] Balszs AB. Cell 2021-03-12. https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.03.013; crisp_bio 2021-03-15 新型コロナウルス変異株7種類に対するmRNAワクチン接種の効果. https://crisp-bio.blog.jp/archives/25840577.html
- 研究グループは今回、英国由来変異株B.1.1.7、南アフリカ由来変異株B.1.351、およびブラジル由来変異株P.1、いずれもマウスACE2を発現する細胞に感染し、その中でB.1.351とP.1についてはマウス成体の肺において高力価まで複製されることを発見した。
- ただし、変異株感染マウスは無症状であり体重の減少も見られなかった。
- 今回の報告では、マウス間の感染およびマウスとヒトの間の感染は特定されておらず、マウスが、変異株のリザーバになるか否かは不明である。
- 3種類のVOCはいずれもウイルスのヒトACE2への結合親和性を高める変異N501Yを帯び、B.1.351とP.1は免疫回避能 [*]に貢献するとされるE484K変異を帯びている。
- B.1.1.7は、致死性を高めると報告されている。
- 野生株 (いわゆる武漢株)はマウスACE2には結合しないとされている.
忽那賢志@kutsunasatoshi2021-03-09 University of Texas Medical Branch, Pfizer Vaccine Research and Development, およびBioNTechの研究グループが、BNT162b2ワクチンは、英国変異株 (B.1.1.7系統), 南アフリカ変異株 (B.1.351系統), およびブラジル変異株 (P.1系統)に対して有効とNEJM誌にて発表した [出典] "Neutralizing Activity of BNT162b2-Elicited Serum" New Engl J Med. 2021-03-08. https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMc2102017]。変異株の検出例が国内でも増加しています。また、新たにフィリピンの変異株など、種類も増えてきており複雑化していますので、国内での状況などを含めまとめました。
2021/03/13 13:34:25
今後新型コロナの流行は、ワクチン接種の進み具合と、変異株の拡大との勝負にな… https://t.co/nqpBQ6BzhJ
- はじめに、5種類が全てmLあたり10の7乗のプラークを形成することを確認した。
- 治験参加者15名から、2回接種から2週間後または4週間後に採取した血清について、50%プラーク減少中和試験 (50% plaque reduction neutralization test, PRNT50)を行った。
- 全ての血清が、USA-WA1/2020と変異体モデル5種類全てに対して中和活性を示した。 幾何平均抗体価 (geometric mean titer, GMT)は、USA-WA1/2020, B.1.1.7-spike, P.1-spike, B.1.351-spike, B.1.351-∆242-244+D614G, and B.1.351-K417N+E484K+N501Y+D614Gに対して、それぞれ、532, 663, 437, 194, 485, および331となった。
- 中和活性を示しつつも南アフリカ株モデルB.1.351-spikeでの低下幅が大きいこと、および、ヒト受容体結合ドメイン (RBD)上の変異 "K417N+E484K+N501Y"の影響が比較的大きなことが見えて来た。
- 本投稿の最終段落は、この実験の限界を論じながら、臨床分離株での検証が必要と結ばれている。
- [crisp_bio注] このNEJM投稿は、少なくともB.1.351変異株については、オックスフォード大学を中心とするグループが、Public Health Englandから入手したSARS-CoV-2/B.1.351株を感染させたVero細胞で行った実験からの結論、「B.1.351は、回復者血清とワクチン接種血清から逃避する」と整合しない: "Evidence of escape of SARS-CoV-2 variant B.1.351 from natural and
vaccine induced sera" Zhou D, Dejnirattisai W, Supasa P, Liu C, Mentzer
AJ [..] Mongkolspaya J, Ren J, Stuart DI, Screaton GR. Cell. 2021-02-23 [Journal Pre-proof]. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0092867421002269; [20210309更新] 新型コロナウイルス: 南アフリカに特有の変異株 - 2021-03-09 10:20 amの項
https://crisp-bio.blog.jp/archives/25121488.html
- 忽那賢志ブログ: 感染症専門医。2004年に山口大学医学部を卒業し、2012年より国立国際医療研究センター 国際感染症センターに勤務。感染症全般を専門とするが、特に新興再興感染症、輸入感染症の診療に従事し、水際対策の最前線で診療にあたっている
https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/ - COVーNav:「こびナビ」は新型コロナウイルス感染症や新型コロナウイルスワクチンに関する正確な情報を皆さんにお届けするプロジェクトです。https://covnavi.jp/manager/
- これでわかる! 新型コロナワクチン情報: 最前線でコロナと闘う専門家が、“わかりやすさ”と統計情報にこだわってコロナのワクチンを易しく解説します。https://medicalnote.jp/covid19-vaccine/
- Eric Topol所長の一連のツイートの#8に変異株の特徴が一覧表にまとめられている:
Eric Topol@EricTopol8. Updated tabular summary of the 3 major variants https://t.co/e27lY5yUTH
2021/02/07 02:31:07
- 新型コロナ変異株と再感染リスク、ワクチン効果との関係 - 現時点で分かっていること. 2021-02-07 13:09. Yahoo!ニュース https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20210207-00221408/
- mRNAワクチン:新型コロナウイルス感染を抑える切り札となるか? 飯笹 久 (島根大学医学・看護学系) - mRNAワクチンをもたらしたブレークスルー, ファイザー/ビオンテック社とモデルナ社のmRNAワクチンの違いに加えて共通の課題 (温度管理, アレルギー, 自己免疫疾患)について解説。なお、アレルギーと自己免疫疾患について、mRNAワクチンは最終的には体内で分解されることから、頻度は稀としている。
- <走馬灯の逆廻しエッセイ> 第28話「コロナウイルスへのメッセンジャーRNAワクチン」古市康宏 (元ロシュ研究所/ジーンケア研究所) - mRNAワクチン製造技術について, RNA学の研究成果と照らし合わせながら詳細に解説, 2種類のmRNAワクチン, 12月30日に英国が緊急使用を承認*したアストラゼネカ社とオックフフォードが共同開発したウイルスベクターワクチンAZD1222 (AstraZeneca Press Release 2020-12-30)などについても簡潔に解説。
- [*] 中国は12月31日にシノファームが有効性79%とした不活性化ワクチンを条件付きで承認した (NHK Web 2020-12-31)
- モデルナ社のワクチンもファイザー社とビオンテック社のワクチンもいずれも、ウイルス変異株のゲノム配列が特定され次第、従来のウイルスの弱毒化や不活性化から始まるワクチンに比べれば、極めて短期間で開発することが可能である。
- 今回の開発で、mRNAワクチンに関する開発・評価・大量生産に加えてロジスティックスのノウハウが蓄積され、また、今後、安全性のデータが蓄積されていくことから、仮に、現行mRNAワクチンに対する耐性を帯びた新型コロナウイルスの変異株が発生したとしても、緊急使用可能なmRNAワクチンの迅速生産を期待できそうである。
- いずれにしても安全性の観点からは、SRAS-CoV-2に対するmRNAワクチン (mRNAワクチンそのものと、それをヒト細胞へ送り組むために利用されている脂質ナノ粒子*の双方)のヒトに対する影響を数十年にわたって追跡していくことが必須と思う。 [* ]参考crisp_bio記事 mRNA癌ワクチンに一歩近づく脂質ナノ粒子を開発
- また、新型コロナウイルスに限らず再興・新興感染症に対して"強靭な"社会を作り上げていくことも必要かと思う。例えば、野生生物から人へのウイルス感染を抑制する社会システムや、新たなウイルス感染症や変異株を短期間に発見し拡散を抑制する技術と体制の整備が必要と思う。これは、津波や氾濫に備えて防潮堤や堤防を築くことや、敵国からの攻撃に備えてイージス艦や戦闘機を備えるに似ているが、そのコストは、今回計上された予備費の規模で賄えていけるのではなかろうか。
- 開発状況
- 作用機序: 生ワクチンと不活性化ワクチン; mRNAワクチン; ウイルスベクターワクチン
- 有効性: 評価方法; COVID-19ワクチンの有効性/有効率
- 安全性: 有害事象と副反応; 臨床試験における有害事象/COVID-19ワクチンの臨床試験における1回目接種後の有害事象の頻度; COVID-19ワクチンの臨床試験における2回目接種後の有害事象の頻度; 長期的な有害事象の観察の必要性
- 国内での接種の方向性: 優先接種対象者; 予防接種法の改正[*];接種体制の確保 [* ...
COVID-19ワクチンの接種類型は臨時接種となり、国が接種を勧奨するとともに、国民には努力義務が課せられることになりました。費用の自己負担はなく、健康被害に対する救済も高水準で実施されます。....]
- 終わりに [ワクチンも他の薬剤と同様にゼロリスクはあり得ません。病気を予防するという利益と副反応のリスクを比較して、利益がリスクを大きく上回る場合に接種が推奨されます。.......].
- crisp_bio 2020-10-17 ウイルス学の進化と課題 (1/2) http://crisp-bio.blog.jp/archives/24504871.html
- crisp_bio 2020-10-17 ウイルス学の進化と課題 (2/2) https://crisp-bio.blog.jp/archives/24504874.html
- crisp_bio [20201130更新] 新型コロナウイルス: 超速のタンパク質構造解析, ワクチン開発も https://crisp-bio.blog.jp/archives/22970447.html
- crisp_bio [20201118更新] 新型コロナウイルス: 新興感染症に備えてきたmRNAワクチン開発から産まれたモデルナのmRNA-1273 https://crisp-bio.blog.jp/archives/23810396.html
- ロックフェラー大学の船引宏則教授ツイート22本: 米ファイザーと独BioNTechの新型コロナウイルスに対する革命的なmRNAワクチンの接種が明日から始まるが、このワクチン開発にいたるまでの経緯が実に感慨深いので紹介してみる。まさに、大逆転ストーリー
Hironori Funabiki@HironoriFunabi1
米ファイザーと独BioNTechの新型コロナウイルスに対する革命的なmRNAワクチンの接種が明日から始まるが、このワクチン開発にいたるまでの経緯が実に感慨深いので紹介してみる。まさに、大逆転ストーリー。1/22
2020/12/14 08:15:49
コメント
コメント一覧 (6)
3回目接種が始まって間もないのですが、『接種からの期間を問わない』というのは、2ヶ月未満ぐらいになるのでしょうか。
そうすれば、3回目接種後の抗体価とその推移(低下)は、2回目接種後と変わらなくなるように感じますね。(同じ山の高さと形となる?)
お問い合わせありがとうございました.感染研の報告が参考文献(#9)にあげていた英国保健安全保障庁の報告には,ブースター接種の症候性COVID-19防止の有効性が低下していくデータが記載されていました.感染研のブースター接種の有効性は,接種から中央値 (範囲) 16日 (3-37日)の22例のデータに基づいているようですが,経時変化のデータは見当たりませんでした.英国からの報告にあるブースター接種後の経時変化の部分を2月18日の投稿として本記事に追加いたしましたので,ご参照下さい.
[追伸] 過日,モデルナの3回目接種を済ませました.翌朝から熱が出ましたが (< 37.8度),夜に入ってから平熱に戻りました.
お示しのデータ等を見てみます。
ワクチン接種は毎回2回接種と思っていました。(コロナワクチン未接種です。)
2回目、3回目、4回目、・・・は、1回接種なんですね。
1回目は2回セットで接種(1回目接種と1回目追加接種)、
すると、2回目は2回目追加接種、3回目は・・・
本来ワクチンは、最初の接種から最後の接種まで決まっているものだから、今回のような最終接種がないワクチンはまれ(初めて?)ですね。
1回目追加接種1ヶ月後の私と、4回目接種6ヶ月後の人を比較すると、入院治療リスクはどちらが低いんだろうかって考えています。
証明書の効力は、後者が強いでしょうね。
でも、献血ルームだけは歓迎されます。
退職して、
田舎暮らし、
他人との接触もないので、
ワクチンを接種しませんでした。
ノババックスのワクチンは接種してもいいかなと思っていますが、一番打ちたいのはやはり
不活化ワクチンです。