2021-02-04 原論文を取り上げたNature Microbiology News & Views記事へのリンクを追加し、記事の分かり易い記述を参考にテキスト本文を一部改訂, また、ブログタイトルも「Rcsストレス応答がバクテリアの自然免疫と獲得免疫の応答を調節し、プラスミドとファージに個別対応する」から「ストレス下でバクテリアが自然免疫と獲得免疫を使い分ける機構と意味」に改訂:"Stressed Serratia curb CRISPR" Christen B. Nat Microbiol. 2021-01-28. https://doi.org/10.1038/s41564-020-00848-x
2021-01-06 初稿
----------------------
[出典] "The Rcs stress response inversely controls surface and CRISPR–Cas adaptive immunity to discriminate plasmids and phages" Smith LM, Jackson SA, Malone LM et al. Nat Microbiol. 2021-01-04. https://doi.org/10.1038/s41564-020-00822-7
バクテリアは、バクテリオファージと可動遺伝因子に対する防衛システムとして、多重な自然免疫応答と, CRISPR-Casシステムによる獲得免疫応答を備えている。バクテリアによっては、細胞密度、ストレスおよび代謝状態に応じて防衛システムを調節するが、その戦略を調節する因子をハイスループットで同定する手法が無いため、その分子機構の解明が進んで来なかった。
University of Otagoの研究グループは今回、トランスポゾンをベースとする網羅的変異誘発、FACSおよびディープシーケンシングを組み合わせた手法"SorTn-seq"[*]を開発し、Serratia sp. ATCC 39006株のCRISPR-Cas免疫を制御する調節ネットワークの解明を試みた [*] SorTn-seq combines saturation transposon mutagenesis, fluorescence-activated cell sorting and deep sequencing; Nature Microbiology News & Views掲載解説図Fig. 1参照]。
- およそ30万種の変異株におけるcsm 遺伝子発現をアッセイし、タイプIII-A CRISPR-Cas発現を下方制御するパスウエイの中で、抗生物質などのよる外膜へのストレスに応答して外膜をリモデルするRcsパスウエイが主役であることを同定した。
- このRcsパスウエイを介した外膜リモデリングは、受容体の下方制御を介して広範なSerratia ファージに対する外膜表面での自然免疫応答を引き出す。
- このRcsストレス応答の活性化は同時に三種類のタイプIとIIIのCRISPR-Casシステムの獲得免疫応答を抑制し、接合 (conjugation)を介したSerratia に有用なプラスミドの獲得と維持を促進する。
[バクテリア防衛システム関連crisp_bio記事]
- crisp_bio 2020-09-02 [レビュー] バクテリアにおけるCRISPR-Cas免疫応答の分子機構
- crisp_bio 2019-11-13 [展望] バクテリアは集団として、バクテリオファージに抗する多彩な防衛システムを共有している
コメント