2021-01-30 crisp_bio 2021-01-29 新型コロナウイルス: 英国変異株と南アフリカ変異株の傾向と対策 (6報)へのリンク追加 https://crisp-bio.blog.jp/archives/25441681.html

[注] この投稿は, 2021-01-10に「新型コロナウイルス:英国変異株の変異と感染性の因果関係のエビデンスはこれから」の投稿に追記した部分を抜き出して, 再投稿したものです。

[出典] "Neutralization of N501Y mutant SARS-CoV-2 by BNT162b2 vaccine-elicited sera" Xie X [..] ormitzer PR, Shi P-Y. bioRixv 2021-01-07 (プレプリント). https://doi.org/10.1101/2021.01.07.425740

 英国と南アフリカで急拡大した変異株に共通した変異N501Yは、ヒト細胞のACE2受容体に結合するスパイクタンパク質の受容体結合ドメイン (RBD)に位置しており、加えて、ACE2への結合親和性を高めるとされた。このため、N501Y変異が緊急使用が承認されたワクチンを無力化するのか、関心を集めていた。

 University of Texas Medical Branchとファイザー社は今回、501番目のアミノ酸残基がNの臨床分離株USA-WA1/202から501番目のアミノ酸残基がYのN501Y変異株を作出し、これまでの治験でCOVID-19ワクチンBNT162b2を2回接種した20名の血清 (接種後2週と4週後に採血)のN501 SARS-CoV-2株とY501 SARS-CoV-2株に対する中和活性を測定した。

 その結果、血清はY501 SARS-CoV-2に対してもN501 SARS-CoV-2に対すると同等の中和活性を示すことを確認し、2021年1月7日にプレプリントサーバであるbioRxivに投稿し、1月8日にプレス発表した。

 今回、英国変異株と南アフリカ変異株に見られるN501Y以外の変異については検証していないが、D614Gを含む既知の変異を帯びた15種類のシュードウイルスに対しては、中和活性を確認してきたとしている。

 一方で、SARS-CoV-2は他のウイルス同様に変異し続けていくことから、各変異の生物学的意味を今後も追跡していく必要があるとしながらも、mRNAをベースとしたワクチンは、不活性化や弱毒化したワクチンと異なり、比較的短期間で新たな変異に柔軟に対応していくことが可能である、としている。

 [参考1] 注目されている変異株の解説が、国立感染症研究所のWebサイトに掲載されている:
 [参考2] 国立感染症研究所もウイルスゲノムデータに基づいた感染拡大の分析を続けている - 国立感染症研究所のゲノム分子疫学調査が示唆してきたこと (各報告のごく一部を抜粋)
  1. 第一回報告 (2020-04-27)曰く: 第3、第4の波が来ることは必然であり、今後、クラスター発生を最小限に留めるためにも迅速な情報公開と効果的な感染症対策の構築を図っていく。
  2. 第二回報告 (2020-07-16)曰く:6月下旬から、充分な感染症対策を前提に部分的な経済再開が始まったが、収束に至らなかった感染者群を起点にクラスターが発生し、地方出張等が一つの要因になって東京一極では収まらず全国拡散へ発展してしまった可能性が推察された。
  3. 第三回報告 (2020-12-11)曰く:この期間、特定の陽性者として顕在化せず保健所が探知しづらい対象(軽症者もしくは無症状陽性者)が感染リンクをつないでいた可能性が残る。
 [参考3] 新型コロナウイルスの変異と感染性・抗原性との相関に関する研究紹介