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[出典] "Engineered dual selection for directed evolution of SpCas9 PAM specificity" Goldberg GW, Spencer JM, Giganti DO et al. Nat Commun 2021-01-13. https://doi.org/10.1038/s41467-020-20650-x

 SpCas9ヌクレアーゼは、gRNAと標的DNAとの間の塩基対合に先立つタンパク質 (ヌクレアーゼ)とDNAの接触を介して、標的を認識して選択的に切断する。SpCas9は、NGG PAMsと最も強く相互作用し、続いて、NAGとNGA PAMsとある程度相互作用し、NCC PAMsとは相互作用しないことが知られている。

 前述のようにSpCas9のゲノム編集は特有なPAM配列の制約を受けることから、異なるPAMsを認識するCas9のオーソログの探索に加えて、指向性進化法やその他のタンパク質工学の手法によりSpCaspが認識するPAM配列を制御する試みがされてきた。

 Institute for Systems Genetics, NYU Langone Healthを主とする研究グループは今回、大腸菌と酵母におけるin vivo 指向性進化法を進めるにあたって、従来の正の選択と同時に負の選択も加えることで (dual-selection system*)、野生型SpCas9と比較して、NAG PAMsに対して同等以上の活性を帯びつつ、NGG PAMs (特に、YGG PAMs)に対する活性が抑制されたSpCas9改変体の作出を実現した。
[*] 正の選択と負の選択を重ねるdual-selection systemは、高精度版Cas9の作出に利用された例**があるが、PAM配列制御に利用された例は無い.
[**] 原論文Referencesの#32 Sniper Cas9#33 参照]

 研究グループは、double-selection systemを介して得られたアミノ酸置換をCas9とPAMの複合体構造にマップし、指向性進化の過程でPAM配列が変化していく分子モデルも提案した
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