[出典] "Structural basis for self-cleavage prevention by tag:anti-tag pairing complementarity in type VI Cas13 CRISPR systems" Wang B, Zhang T, Yin J [..] Ding J, Patel DJ, Yang H. Mol Cell 2021-01-19. https://doi.org/10.1016/j.molcel.2020.12.033 [構造情報] 7DMQ:  LshCas13a-crRNA-anti-tag RNA

 バクテリアとアーケアはファージやプラスミドのDNAそしてまたはRNAを捉えその断片をスペーサとして反復配列で構成されるCRISPRアレイに組み込み、その後の侵入DNA/RNAをスペーサーの配列と照合して破壊するCRISPR-Casシステムを備えている。

 クラス2 CRISPRシステムの中で、タイプII Cas9とタイプV Cas12システムが二本鎖DNAを標的とするのに対して、タイプIV Cas13aは、crRNA内の長さ20-30 ntのスペーサーと相補的な一本鎖RNAを標的とするCas13はまた、標的RNAをcis に切断する活性に加えて、標的RNAの周辺のRNAを無差別にtrans 切断する活性 (コラテラル活性)を帯びている。

 CRISPR-Casシステムは、侵入した非自己DNA/RNAと自己DNA/RNAを識別する安全装置を備えている。スペーサの標的配列となる侵入DNA/RNA内のプロトスペーサに隣接するPAM配列 (タイプI, IIおよびV)や、タイプVIの一部に見られるprotospacer flanking site (PFS)と呼ばれる単一ヌクレオチドが知られているが、その他の機構も報告されている。その一つがタイプIIIとタイプVI-Aの一部に見られる機構である。

 タイプVI-AのListeria seeligeri LseCas13aとL. buccalis LbuCas13では、CRISPRアレイのスペーサー配列ではなくリピート配列から転写される"tag"とプロトスペーサに隣接する配列("anti-tag"と命名)の間の少なくとも7-ntの長さの相補性によって、Cas13の活性が阻害そしてRNA切断が阻害され、ひいては自己ターゲッティングが回避されることが明らかにされてる [詳細: CRISPRメモ_2018/08/22 [第5項] RNAを標的とするタイプVI-A CRISPRにおいて自己ターゲッティングを回避するルールは?]

 上海生物化学与细胞生物学研究所に米国MSKCCが加わった研究グループは今回、Leptotrichia shahii 由来Cas13a (LshCas13a), crRNAおよびanti-tag RNAの三者複合体の構造 [*1]をクライオ電顕法で再構成し、anti-tag配列を帯びている標的RNAの場合は、anti-tag配列がcrRNA上のtag配列と二重鎖を形成し、tag領域のコンフォメーションを変え [*2]、Cas13aのNUCローブにおいてドメインが再配置され、Cas13aの2ヶ所のHEPNドメインの近接による触媒活性ポケットが形成されなくなることによって、基質RNAの切断が進行しなくなることを、同定した。
 [*1]遺伝子構造と立体構造モデルなど論文Figure 2参照
 [*2] 論文Figure 5参照

 この構造情報からのモデルは、in vitroおよびin vivoでの変異誘発実験の結果によって支持され、今後、anti-tagによるRNA切断活性のオンオフを可能にするツールの開発が待たれる。

 [Cas13a関連crisp_bio記事]