[出典] "A genome-scale CRISPR screen reveals factors regulating Wnt-dependent renewal of mouse gastric epithelial cells" Murakami K [..] Barker N. PNAS 2021-01-26. https://doi.org/10.1073/pnas.2016806118

 成体幹細胞を臨床応用するには、その活性制御機構を包括的に理解しておく必要がある。組織幹細胞の維持と再生にはWntの活性化が必須であることが知られているが、胃におけるWnt依存性の上皮の再生と分化の分子機構の解明も課題であった。

 金沢大学の研究グループは今回、正常マウスの胃オルガノイド (胃体/幽門)を対象とするゲノムスケールのCRISPR-Cas9ノックアウトスクリーンにより、胃粘膜においてWntが活性化する組織幹細胞の再生能を介した上皮再生の過程を制御する因子群を同定した。
  • Apcを含む既報のWntシグナル伝達パスウエイの抑制因子に加えて、新たにAlk, Bclaf3, およびPrkraを同定した。
  • さらに、Alkが Gsk3βのチロシンをリン酸化することでWntシグナル伝達を阻害し、Bclaf3とPrkraが、上皮インターロイキンの発現調節を介して、regenerating islet-derived (Reg) 遺伝子を抑制することを同定した。