[出典] "Genetic manipulation of pathogenic Leptospira: CRISPR interference (CRISPRi)-mediated gene silencing and rapid mutant recovery at 37 °C" Fernandes LGV, Hornsby RL, Nascimento ALTO, Nally JE. Sci Rep 2021-01-19. https://doi.org/10.1038/s41598-021-81400-7

 レプトスピラ症は病原性Leptospira に起因し年間60,000名に死をもたらす人獣共通感染症であるが、これまで、Leptospira への標的変異誘発や遺伝子サイレンシング誘導が困難であったことから発症機序の解明が進んで来なかった。また、Leptospira 自体の取り扱いが難しく、固形寒天培地での変異体の回収には最大6週間を要することも障害になっていた。

 National Animal Disease Center (米国)とInstituto Butantan (ブラジル)は今回、CRISPRiによって、病原性L. interrogans の外膜タンパク質をコードする遺伝子のサイレンシングを実現 [*]し、また、著者らが 2020年にScience Report誌で報告したHornsby-Alt-Nall (HAN)*培地を利用して、8日以内の変異体回収 (二酸化炭素 3 %, 37 °C)を実現した。

 [*] LipL32の完全なサイレンシングと、LigAとLigB双方の完全なサイレンシングを実現し、Ligタンパク質が、病原性Leptospira の血清耐性を担っていることを初めて明らかにした。