[出典] "Genome-wide CRISPR-Cas9 knockout library screening identified PTPMT1 in cardiolipin synthesis is crucial to survival in hypoxia in liver cancer" Bao M H-R, Yang C, Tse A P-W, Wei L [..] Wong C-M, Wong C C-L. Cell Rep 2021-01-26. https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.108676
 肝細胞癌 (HCC)を含むほとんどの固形癌に低酸素環境が伴っている。香港大学の研究グループは今回、ゲノムワイドCRISPR-Casノックアウトスクリーニングにより、HCCの治療標的として有効なHCCの低酸素環境への適応応答因子として、カルジオリピン合成経路のProtein Tyrosine Phosphatase, Mitochondrial 1 (PTPMT1) を同定した。
  • HCC細胞を対象とするゲノムワイドCRISPR-Casスクリーニングから、低酸素状態でのHCCの生存に必要な遺伝子群を同定した。その中で、PTPMT1がHIF-1αとHIF-1βに次ぐトップヒットに来た。
  • CLは、ミトコンドリア膜を構成し、呼吸鎖(electron transport chain, ETC)を整え、ミトコンドリア内での電子伝達を維持する。
  • ヒトのHCC組織におけるPTPMT1 mRNAのレベルもタンパク質のレベルも、正常組織におけるレベルよりも有意に上昇していた。
  • PTPMT1のノックアウトはCLの合成ひいてはETC形成を阻害し、呼吸鎖からの電子漏出を介して活性酸素 (ROS)が蓄積されるに到る。
  • HCC細胞は、低酸素状態で特に、PTPMT1阻害剤のアレキシジン二塩酸塩 (Alexidine dihydrochloride, AD)に対する高い感受性を示し、PTPMT1が、低酸素環境に適応している固形癌の治療標的として期待できることを裏付けた。