[出典] "CRISPR/Cas9-mediated knockout of clinically relevant alloantigenes in human primary T cells" Kamali E, Rahbarizadeh F, Hojati Z, Frödin M. BMC Biotechnol. 2021-01-29. https://doi.org/10.1186/s12896-020-00665-4
イランのUniversity of IsfahanとTarbiat Modares UniversityにUniversity of Copenhagenが加わった研究チームの報告。
背景
研究チームは、CRISPR/Cas9プラスミドのエレクトロポレーションによる初代T細胞の遺伝子およびタンパク質のノックアウトに、低効率であるが、利用可能とした。
イランのUniversity of IsfahanとTarbiat Modares UniversityにUniversity of Copenhagenが加わった研究チームの報告。
背景
- 患者由来のT細胞をCRISPR/Cas9ゲノム編集によって改変・増殖した後に患者に戻す癌免疫療が試みられているが、この自家癌免疫療法には、製造時間, コスト, 実現可能性, およびスケーラビリティーに難がある。一方でこれらの課題は、健常人ドナーからの同種T細胞を利用する他家癌療法によって解決できる可能性がある。
- 他家癌免疫療法を実現するには、正常組織を損傷する移植片対宿主病を回避するために内在するT細胞受容体 (TCR)をノックアウトする必要がある。ドナーT細胞からさらに、CD52もノックアウトすることが望ましい。改変T細胞を移植する前処理として移植受容者体内のリンパ球の枯渇 (lymphodepletion)を促すために広く利用されている抗CD52モノクローナル抗体に対する耐性を持たせるためである。
- CRISPR/Cas9によってドナーT細胞において内在TCRとCD52をノックアウトするにあたっては、CRISPR/Cas9システムの効率的デリバリーが課題である。研究チームは、ウイルスベクターによるデリバリーは癌遺伝子の発現を改変するリスクを伴い、RNPの形でのデリバリーには、コンストラクトの堅牢性と構築に技術的な課題があるとし、コンストラクトが堅牢で簡単に構築でき、デリバリーが一過性であるCRISPR/Cas9発現プラスミドのエレクトロポレーションというシンプルな手法を選択した。
- この手法によるゲノム編集の効率を、ヒト胎児腎由来293T細胞株において、TIDE (Tracking of Indels by Decomposition; NAR 2014)法とIDAA (Indel Detection by Amplicon Analysis; Nat Protoc 2017)法によるオンターゲットのゲノム解析で評価した後、初代T細胞でのノックアウト効率を解析した。
- エレクトロポレーションから4日後に、ゲノム解析により2遺伝子のノックアウト効率が12-14%であり、フローサイトメトリー解析により、細胞表面でのTCRとCD52のタンパク質のノックアウト率が7-8%であることを確認した。
研究チームは、CRISPR/Cas9プラスミドのエレクトロポレーションによる初代T細胞の遺伝子およびタンパク質のノックアウトに、低効率であるが、利用可能とした。
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