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[出典] "Multiplexed CRISPR-Cas9 system in a single adeno-associated virus to simultaneously knock out redundant clock genes" Kim B, Kim J, Chun M, Park I, Kwak D, Choi M, Kim K, Choe HK. Sci Rep. 2021-01-28. https://doi.org/10.1038/s41598-021-82287-0
 哺乳類の分子時計は、Period1, 2 (Per1, 2 ), Cryptochrome1, 2 (Cry1, 2 ), およびBrain and Muscle ARNT-Like 1 (Bmal1 )の因子 (遺伝子)群で構成される転写翻訳フィードバックループ (transcription-translation feedback loop, TTFL)で構成されている。このTTFLの堅牢性の分子機構の解明は単一遺伝子を標的とする遺伝子操作では困難であった。堅牢性は、いくつかの必須時計遺伝子間の冗長性によってもたらされるからである。
 Daegu Gyeongbuk Institute of Science and Technology (DGIST)の研究グループは今回、CRISPR-Cas9-based single adeno-associated viral (AAV) system targeting the circadian clock (CSAC) を開発することで、冗長性がもたらすこの課題を解決した。
  • CSACでは、一連の必須時計遺伝子を標的とする多重なsgRNAsを帯びたプラスミドをGolden Gateアッセンブリーで構築しAAVにパッケージングし、デリバリーする [Figure 2-a参照 https://www.nature.com/articles/s41598-021-82287-0/figures/2]
  • はじめにNeuro2a神経芽細胞腫細胞において、Cry1, Cry2, Per1, Per2, およびBmal1の各遺伝子を標的とするsgRNAsを個別にデリバリーしそれぞれの活性を評価し、Cry1イとCry2を標的とするsgRNAsの組合せ、Per1Per2を標的とするsgRNAsの組合せ、およびBmal1の複数箇所を標的とするsgRNAsの組合せを最適化した多重化sgRNAsを、CSACに組み立て、CSACが標的遺伝子に該当するタンパク質の発現抑制を介して生物時計の振動を抑制することを確認した。
  • 次に、Cas9を恒常的に発現させたモデルマウス由来の器官型視交叉上核(suprachiasmatic nucleus, SCN)においてCSACが、Neuro2a細胞の場合と同様に生物時計の振動を抑制することを確認した。
  • さらに、Cas9を恒常的に発現させたマウスモデルのSCNにCSACを注入することで、標的遺伝子がコードするタンパク質の発現抑制と共に、概日行動リズム周期と体温リズムを変調することも確認した。
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