[出典] "Microbial single-strand annealing proteins enable CRISPR gene-editing tools with improved knock-in efficiencies and reduced off-target effects" Wang C [..] Cong L. Nucleic Acids Res 2021-02-22. https://doi.org/10.1093/nar/gkaa1264
 CRISPR-Cas9ゲノム編集ツールボックスはgRNAの改変によって拡充されてきたところがある。2021-02-28 10.48.36Stanford University School of Medicineの研究グループは今回、gRNAにファージ由来の一本鎖アニーリングタンパク質 (single strand annealing protein, SSAP)の一種であるRecTを融合することで、Cas9-sgRNAとテンプレートDNAを介したHDR過程を経るノックインの効率の向上を実現し, RecT Editor via Designer-Cas9-Initiated Targeting (REDIT)として発表した [Figure 1-a引用右図参照]。
  • REDITを長さの異なるドナーDNAsでテストし、長さがキロベース (kb)のスケールの外来配列を標的サイトへ高効率 (従来型のCRISPR-Cas9 HDRの最大5倍)でノックイン可能なことを確認した。
  • また、REDITは、Cas9へのCtIP融合 (Cas9-HE), Cas9へのGemininタンパク質の機能ドメイン融合 (Cas9-Gem), 及び、細胞周期アレスト剤ノコダゾールによるHDR効率向上法にも優った。
  • また、REDITは、オンターゲットでもオフタゲーットでもindels誘導が抑制された高精度なノックインを実現した。
  • REDITは、多様な細胞型で機能した: HEK293T, A549, HeLa, HepG2, およびhES-H9.
  • REDITは、SpCas9をベースとしてもSaCas9をベースとしても機能した。
  • さらにCas9ニッカーゼ(Cas9n:Cas9-D10A)をベースとしたREDITも、一本鎖ニッキングとしても, sgRNAペアを利用する二本鎖ニッキング (REDIT-double-nicking, REDITdn)としても、従来のCas9およびCas9nによる編集よりも高いノックイン効率を示した。その中でREDITdnは、望ましく無い編集を大きく抑制し、特に精密なノックインを必要とする場合にお薦めである。
  • ファージSSAPの活性はRAD51やATPに依存しないとされていたが、今回、REDITが細胞内在のDNA修復酵素を阻害することで、高効率なノックインを実現しているエビデンスも得た。
[参考] DNA二本鎖切断 (double-strand break, DSB)の修復機構: 相同組換え修復 (homology-directed repair, HDR); 非相同末端結合 (non-homologous end-joining, NHEJ), マイクロホモロジー媒介末端結合 (microhomology-mediated end-joining, MMEJ)/代替非相同末端結合 (alternative non-homologous end-joining, alt-NHEJ), 一本鎖アニーリング (single-strand annealing, SSA)