[出典] "Polyvalent Guide RNAs for CRISPR Antivirals" Bagchi R, Tinker-Kulberg, R [..] Josephs EA. bioRixv 2021-02-25 [Preprint]. https://doi.org/10.1101/2021.02.25.430352
 University of North Carolina at Greensboroの研究グループの成果。
 ゲノム編集技術として脚光を浴びたCRISPR-Casシステムの応用分野は、ウイルスの診断、予防、および治療にも急速に広がっている。研究グループは今回、Cas9またはCas13dと組み合わせることで、ウイルス検出の感度向上, 臨床変異株の識別能向上, および, ウイルスの変異を介した逃避抑制を期待できるウイルスゲノムの複数箇所を同時標的可能とする"polyvalent" gRNA (pgRNA)を開発した。
  • pgRNAは、gRNAのオフターゲット性を逆手にとった戦略である。
  • 研究グループは始めに、関心のあるウイルスゲノムにおいて、単一のスペーサで標的可能なプロトスペーサのペアを同定するアルゴリズムを開発した。このペアは、互いに少なくとも70%の相同性を帯び、Cas9またはCas13dによる切断活性が上位4分の1に属している2箇所のサイトであり、2,372種類のRNAゲノムの5,000 ntと10,000 ntの領域においてCas13で標的可能なペアそれぞれ30ペアと120ペア, 89種類のヒトRNAウイルスにて19,926ペアを同定した。SARS-CoV-2ゲノム上では, 205ペアを同定した。
  • In vitroおよび植物in vivoにて、期待通り通常の"monovalent" gRNAに優ることを実証した。
  • ペアの部位の塩基配列の違いは40%まで許容された。