[出典] "Anti-CRISPR AcrIF9 functions by inducing the CRISPR–Cas complex to bind DNA non-specifically" Lu W-T, Trost CN, Müller-Esparza H, Randau L, Davidson AR. Nucleic Acids Res. 2021-02-28. https://doi.org/10.1093/nar/gkab092
 University of TorontoとUniversity of Marburgの研究グループの成果。
  • これまでに多数のAcrsが発見されされてきたが、配列が極めて多様であり、CRISPR-Casの活性を阻害する機構も多様であることが知られている。研究グループは今回、タイプI-FCRISPR-Cas (Csy)複合体に機能強化を誘導し、Csyに、PAM配列もcrRNAとの間に相補性も帯びていないDNA配列への非特異的な強い結合をもたらすAcrIF9を研究対象とした。
  • Csy:AcrIF9の同一サイトへの結合において特異的dsDNAと非特異的dsDNAが競合し迅速交換する。その中で、特異的dsDNAは相補性をもとに結合するように見え、また、非特異的dsDNAの結合はAcrIF9のホモログに共通する特徴であった。
  • AcrIF9上に保存されている正に帯電した表面を置換すると、Csy:AcrIF9複合体への非特異的なdsDNA結合が阻害されたが、特異的なdsDNA結合は維持された。
  • In vitroで非特異的dsDNAへの結合が阻害されたAcrIF9変異体は、in vivoでのCRISPR-Cas活性の阻害性が低下した。
  • 研究グループは、AcrIF9がCRISPR-Cas複合体を非選択的DNAへの結合へ誘導することが、AcrIF9がCRISPR-Casを阻害する機構と結論した。この機構は、Csy複合体にAcrIF9が結合するのと同じ部位に結合する抗-CRISPRタンパク質AcrIF1が、CsyのdsDNAへの結合を立体障害により阻害するのと、対照的である。
[AcrIF9関連crisp_bio記事]