2021-03-21 Proof済版公開 Cell 2021-03-12. https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.03.013
2021-03-15 初稿
-----------------------
[出典] "Multiple SARS-CoV-2 variants escape neutralization by vaccine-induced humoral immunity" Garcia-Beltran WF, Lam EC, Denis EC [..] Balazs AB.  (medRxiv 2021-02-18) Cell. 2021-03-08 (Pre-proof版). 2021-03-12 https://doi.org/10.1016/j.cell.2021.03.013
スクリーンショット 2021-05-14 23.35.38
 2種類のmRNAワクチンのVOCsなど各国に比較的広がっている株 [右図参照]に対する有効性に関する報告が3月8日にCell 誌 Pre-proof版として発表された21日にCell誌から刊行された。

実験条件 
  • BNT16b2 (ファイザー/ビオンテック)またはmRNA-1273 (モデルナ)を接種した99人の血清 (一回接種後と二回接種後)のウイルスに対する中和活性
  • レンチウイルスにSARS-CoV-2のスパイクタンパク質を組み込んだシュードウイルスについて、受容体ACE2を発現する293T細胞で測定
  • 変異株7種類[*]と対照とする野生株 (武漢由来株), 新型コロナウイルス以外の2種類のコロナウイルス (SARS-CoVとSARS様コウモリコロナウイルスWIV1-CoV); [* D614G変異株 (早期に国際的に感染拡大), B.1.1.7 (501Y.V1, VOC-202012/01; 英国), B.1.1.298 (デンマーク, ミンク由来) , B.1.1.429, P.2, P.1(VOC 501Y.V3; ブラジル), B.1.351 3 種類 (VOC 501Y.V2; 南アフリカ)スクリーンショット 2021-03-12 12.13.27
  • [注] VOC (Variants of Concern/懸念される変異体)の比較表 [Scripps Research Translational Instituteの設立者・所長であるEric Topol博士の2021年2月7日のツイートから再度引用]
ワクチン接種者の血清の中和活性
  • 野生株を含むほとんどの株に対して、一回接種後よりも二回接種後の方が高い。
  • 中和活性は、野生型, D614G, B.1.1.7, B.1.1.298, 及びB.1.1.429に対しては十分であり、P.2, P.1そしてB.1.351の順に大きく低下した。
  • B.1.351に対する中和活性は、新型コロナウイルス株ではないSARS-CoV及びWIV1-CoVに対する中和活性と同レベルであった。
  • B.1.351の変異の中で、RBD領域だけの変異だと低下度合いがやや抑制され、RBD以外の領域だけの変異だとさらに低下の度合いが抑制された。
  • P.1株とB.1.351株の特徴であるスパイクタンパク質RBDにおけるK417N/T, E484K, 及びN501Yの変異により中和活性が大きく損なわれる [P.1とB.1.351株がそれぞれ K417TとK417N変異を帯びている]。
本研究の限界 (limitations)
  • 293T-ACE2細胞をプラットフォームとした解析のため、TMPRSS2とNRP1を介した感染性については測定の対象外である。
  • ワクチンを接種後の血清を解析対象としたことから、抗体依存性細胞傷害や抗体依存性細胞貪食、また、T細胞とNK細胞を介した細胞性免疫などを介したワクチンの効果は見ていない。