[出典] "Structural basis for substrate recognition and cleavage by the dimerization-dependent CRISPR–Cas12f nuclease" Xiao R, Li Z, Wang S, Han R, Chang L. Nucleic Acids Res. 2021-03-25. https://doi.org/10.1093/nar/gkab179
Purdue Universityの研究グループは今回,Cas12f (Cas14)の基質認識と切断のメカニズムを明らかにすることを目的として,Cas12f-sgRNA-target DNA三者複合体構造 (EMD-23158/PDB 7L49 https://pdbj.org/mine/summary/7L49, 解像度 3.1 Å) とCas12f-sgRNA二者複合体構造 EMD-23157/PDB 7L48 https://pdbj.org/mine/summary/7L48, 解像度 3.9 Å)をクライオ電顕法により再構成した (EMDBとPDBのエントリーは2021-04-01時点で公開待ち)
西増・濡木グループの報告と同じく,Cas12fが非対称二量体を形成することで切断活性を示すことを明らかにした [*].
- Cas12f二量体はsgRNAに結合しT-リッチなPAM配列を伴うdsDNA基質を認識し切断する.
- Cas12fは二量体化するにも関わらず,タイプV CRISPRシステムのヌクレアーゼに共通していた機構によって活性化する.すなわち,RuVCドメインのリッド・モチーフのクローズからオープンへの遷移を含むcrRNAと標的DNAのヘテロ二量体形成に伴うコンフォメーション変化を介して,活性化する.今回の構造解析から,基質認識に応じて,非対称Cas12f二量体のRuvCドメインのうち一方のRuvCドメインだけが活性化し,基質が活性化されたRuvCドメインに結合することが見えてきた.
- 構造情報に基づいてオリジナルのsgRNAの半分以下まで短縮しても,標的DNAの切断活性が維持されることも見出した.
[*] crisp_bio 2020-12-17. 529-aaと小型なCas12f(Cas14a)の三者複合体構造. https://crisp-bio.blog.jp/archives/25052278.html - クライオ電顕単粒子再構成法 (解像度3.3 Å)
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