[出典] REVIEW "Interrogating immune cells and cancer with CRISPR-Cas9" Buquicchio FA, Satpathy AT. Trends Immunol. 2021-03-31. https://doi.org/10.1016/j.it.2021.03.003
Stanford University School of Medicineの著者らが,CRISPR-Cas9技術の最新動向を概観し,免疫システムにおける新規な遺伝調節因子の発見と操作への応用を論じ,免疫学と癌免疫学におけるCRISPR-Cas9をベースとするスクリーンの設計,実装および解釈を支援する資源として発表した.
ハイライト
ハイライト
- 最近,ヒトとマウスの初代T細胞のCRISPR-Casスクリーンが実現し,T細胞の分化と機能の新たな制御因子が同定された.
- In vivo T細胞スクリーンから,エフェクターCD8陽性T細胞分化の制限するFLI1など,感染症や癌においてT細胞の分化を制御する因子が明らかになった.
- 制御性T細胞 (Treg)のCRISPR-Cas9スクリーンから,マウスにおいて,USP22を介したFoxp3 遺伝子座の脱ユビキチン化など,FOXP3の新たな調節機構が明らかになった.
- 癌細胞におけるCRISPR-Cas9スクリーンから,IFNγシグナル伝達を負に制御するSWI/SNFクロマチン再構成複合体など,癌細胞内在の新たな免疫回避機構が同定された.
- 前臨床試験において,CRISPR-Cas9によるCD8陽性T細胞の機能強化が実証され,CRISPR-Cas9で編集したT細胞のヒトを対象とする第I相試験に至った.
構成
- CRISPR-Casスクリーンと免疫制御
- 免疫細胞を対象とするCRISPRスクリーン [Box1 CRISPR-Cas9ツールボックスの拡張] [Figure 1 https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S147149062100051X-gr1_lrg.jpg]
- マウス骨髄系細胞を対象とするマウスCRISPRスクリーン [Box 2 シングルセルCRISPRスクリーニング]
- ヒトT細胞を対象とするCRISPRスクリーン
- 癌細胞を対象とするCRISPRスクリーン [Box 3 CRISPR-Cas9編集免疫細胞の前臨床試験] [Figure 2 免疫療法への展開 https://ars.els-cdn.com/content/image/1-s2.0-S147149062100051X-gr2_lrg.jpg]
- まとめ [Box4 CRISPRで編集した初代T細胞療法の臨床試験; NCT03399448 https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT03399448]
- 課題: T細胞から骨髄細胞とB細胞へと展開可能か?; コーディング遺伝子から高特異性のエンハンサーなどのノンコーディング遺伝子へと展開可能か?; シングルセル解像度のトランスクリプトミクスとエピゲノミクスとCRISPRスクリーンを融合する; Perturb-seqなどの技術によって,単純な選択圧をかけたスクリーンでは捉えられない免疫系の複雑なフェノタイプの発見が可能か?; CRISPRシステムをベースとする遺伝子挿入技術と塩基エディター (BE)技術の継続的開発によって,免疫遺伝子ドライバーの精密な改変と調節を実現できるか? 免疫学者はこれらの技術を利用して,天然に存在しない新奇またはハイブリッド免疫細胞を設計できるか?; 一連の鍵となる遺伝子の多重編集によって,ヒトにおける免疫療法の有効性を高め,さらに臨床への展開が可能か?
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