[出典] PERSPECTIVE "CRISPR-activated patient fibroblasts for modeling of familial Alzheimer's disease" Inoue K. Neurosci Res. 2021-04-02. https://doi.org/10.1016/j.neures.2021.03.008
 神経変性疾患モデルシステムをCRISPR SAM転写活性化技術によって構築・実証した [*]新潟大学大学院医歯学総合研究科井上敬一博士 (当時,コロンビア大学)による展望.
[*] Inoue K, Oliveira LMA, Abeliovich A."CRISPR Transcriptional Activation Analysis Unmasks an Occult γ-Secretase Processivity Defect in Familial Alzheimer’s Disease Skin Fibroblasts" Cell Rep. 2017 Nov 14;21:1727-1736. https://doi.org/10.1016/j.celrep.2017.10.075; 2017-11-19; 神経変性疾患モデルシステムをCRISPR SAM転写活性化技術によって構築・実証. https://crisp-bio.blog.jp/archives/5192573.html
 特定の疾患の患者由来の細胞の解析が,病態メカニズムの解明や新たな治療法の開発に有用であり,さらには個別化医療の実現にも貢献する.しかし,神経変性疾患の患者から神経細胞を採取し・培養することは極めて困難である.皮膚線維芽細胞は比較的容易に採取できるが,神経変性疾患に関連する遺伝子が十分に発現していない場合は,然るべき病態を示さない問題を伴う.
 ここでは,内在性の疾患関連遺伝子をCRISPRaで活性化することで,患者由来の皮膚線維芽細胞による神経変性疾患の病態メカニズムの解析を実現したin vitroモデルシステムを展望した.